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プロローグ

よろしくお願いします!

こちらは一度削除したプロローグを修正した物になります。内容は第二章の初めと被っている部分があるため、ご注意下さい。

「はぁっ……!はぁっ……!」



 とある少女が、森の中をひたすらに走っていた。


 それは、何かから必死に逃げているようで、顔に貼り付けられた恐怖の表情からそのことがうかがえる。


 なぜ、少女はこのような事態に陥ってしまったのだろうか。それは数分前のことである。



*



「ここは、どこなの……?」



 とある少女がそんな言葉を口にする。


 見たことのない木に、見たことのないピンクや紫のグラデーションカラーの空、足元から伝わるマットのような感触の地面。他にも、空に浮かぶ雲が青かったり、川を流れる水が白かったりなどと、少女の辺り一帯には、異様な光景がひろがっていた。


 まるで幼稚園児の落書きのような光景を眺めながら少女は困惑している。ふいに出た言葉通り、ここはどこなのか、このような場所になぜ自分がいるのか、ほとんど少女に理解できることはない。


 最後に覚えているのは、明日の準備をして布団に入ったところまでだ。それならば、もしかして、これは夢であり、おそらく明晰夢というものではないかと少女は考えを巡らせる。


 そんな時、ふと、近くの茂みからガサッと音が聞こえた。



「ひゃあっ……!」



 少女は驚き、咄嗟に声をあげてしまう。音の鳴った方に視線を向けると、茂みからは未だにガサガサと音が鳴り続けている。嫌な予感がした。少女は不安によって心臓を大きく鼓動させ、



「キュイッ」



と、鳴き声が聞こえるや否や、その場から全速力で逃げ出した。


 少女はまだ気づいていないが、姿を現したのは、かわいい鳴き声のしたウサギであった。ウサギはぴょんっと飛び跳ね、少女の方につぶらな瞳を向けて眺めはじめた。


 その瞳は、不気味なほどに綺麗で、周りの風景をくっきりと映し出していた。もちろん、少女の逃げる背中も映っている。


 ウサギから逃げるために、少女は走っていた。少女の前に姿を現したウサギがただのかわいいウサギであったのであれば、逃げる必要などなかったはずである。しかし、少女は逃げ出している。


 少女は、背後から自身に対する害意を感じ、恐怖した。さらに、見ていないにも関わらず、背後のウサギに対して嫌悪感まで抱いたのだ。


 その理由は、ウサギが単なるウサギではなかったからだ。


 額には、ウサギにはまず生えないような似つかわしくない角が一本あり、それは鋭く、一目見て他のものを傷つけるためについているものであるとわかる。だが、それだけでなく、角にある禍々しい紋様から異様に恐怖を覚えさせられるのだ。


 そして、ウサギの額に生える角の先端が、少女の背に向けられていたことも、恐怖が湧き立ち、逃げる一因となっていた。



*



 少女の話は冒頭へと戻る。


 少女は、ウサギから逃げ回り、森をさまよっていた。森の中ではあちらこちらから葉の擦れる音が聞こえ、いつあの恐怖感、嫌悪感の原因が飛び出してくるのかと少女は戦々恐々していた。


 森の中に入ってすぐはウサギに追いつかれないことだけを考えてひたすらに走っていたが、背後から足音が聞こえないと気付いた時、自分がどこにいるかわからないことに気づいた。つまりは、迷子である。


 また、自分の入った森にそのほかの怪物がいる可能性に思い至り、走ってむやみに音をたてることを恐れ、少女の足取りは重いものとなっていき、歩みは止まってしまった。


 少女は、木陰に隠れて休憩していた。そもそも、気が付けば見たことの無い景色が目に移り、そんなわけのわからない状況で異様な禍々しさを放つ存在に追い掛け回されたのだ。精神的にも、身体的にも疲れるのは当然のことと言えるだろう。


 休憩を終わらせて、立ち上がるものの、未だ疲れは取れておらず、少女は足をもつれさせて転んでしまった。


 その直後に自分の元居た場所にある木から大きな音が鳴り、何かが突き刺さった。少女はとうとう追いつかれてしまったと、呆然と木の方向に目を向けていた。


 そこにいたのは、異形のウサギだった。木のそばに立っていたウサギがゆっくりとした動きでこちらを見て、だんだんと少女に向かって歩き出す。


 あぁ、もう逃げられない。


 少女は全てを諦めて泣き出し、その場でうずくまった。


 泣いても泣いても、なにも起きなかった。近くに怪物がいたのに、何も起きなかった。そのことを段々と不思議に思った少女は、顔を上げ、一度、辺りを見回してみた。


 すると、ウサギがいた場所には少女よりも小さな女の子が立っており、二人の目があった。



「あ!ごめんね、遅れちゃって。もう少し遅かったらやばかったかも」



 女の子は、私と目が合うとにっこりとした笑みを浮かべてそう言った。



「あ……え?」



 少女は腰を抜かしたまま動けず、状況を理解できないでいた。忽然と姿を消したウサギ。そして、ウサギがいたはずの場所には、にこやかな笑みを浮かべた女の子が立っていたのだ。


 少女の様子を見た女の子は、



「色々と聞きたいこと、言いたいことあると思うけど、それは一旦置いておいて、まず一言だけ言わせてね」



と、少女の疑問は置いておいて、話を聞くように言いつけた。そして、こう言い放ったのである。



「ようこそ!夢の世界へ!」



 女の子の笑顔はとても可愛らしい。そのはずなのに、どこか、ウサギから感じられたものに似た嫌悪感を覚えた。


 ここからは怒涛だった。


 女の子は自身を夢の世界の支配者と名乗り、この世界のことについて説明をした。


 この世界には、三十日間、夜に寝ている間の一日一時間、呼び出されること。


 ユユの友達である五人も同時に呼び出されるため、全員で協力して生き残ること。


 そして、最後に



「もし、この世界で死んじゃったら……あなた達にとって、大切なものを奪わせてもらうよ」



と、ニッコリとした笑みをニタリとしたものに変えて続けたのだ。


 言い終えるとすぐに女の子の表情は戻り、



「ばいばい、また明日」



と、少女の夢は、女の子の笑みで結末したのだった。

ありがとうございました!

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