体の部位考察シリーズ ~口角~
最近の若者を見ていて、常々思う事がある。
唇の両端、つまり口角がキュッと上がっているのである。
特に芸能人などは、ほとんどがこの種の口角を持っている。
キュッと上がった口角でないと、芸能人になれないのか、と思う位だ。
もしかして、みんなプチ○○であの口角を手に入れているのか?
だとしたら、いくら位でできるんだろう。
少々の蓄えならあるぞ、とまあ、要するに羨ましいのである。
男性にしても、女性にしても、口角が上がっているだけで
明るくて優しい印象になるのは間違いない。
最近は出来るだけ口角が上がるように、普段から唇をキュッと結んだりして、
涙ぐましい努力をしてみたりもするが、油断するとついゆるんでへの字になってしまう。
昔はキュッと上がった口角を持った人はあまりいなかったように思うし、
そんな事気にも留めなかった。
だけど最近は、たとえ飲み会の席で同席者に
『ねぇ、楽しんでる?』としょっちゅう聞かれても、
それが口角が下がっているからつまらなそうに見えるという訳ではなかろうが、
それも、こう聞かれる原因の一つではないか、と勘繰ってしまうのだ。
もしも、私がキュッと上がった口角を持ち合わせていたら、
今頃どんな人生を生きていただろう。
たかだか口角が下がっているだけで、チラッとでもこんな事を考えるなんて
いい歳をして我ながら呆れてしまう。
とりあえず、死ぬまでの間に私がキュッと上がった口角を手に入れるのは難しそうだ。
だとしたら、「たられば」で一喜一憂するのはやめにしておこう。
どうあがいても、今の日々の生活の積み重ねが、紛れもない私の人生になるのだから。