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土地神ライフ  作者: KUMA
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第43話 無実を示す者

今回は作者の体調不良につき後書きはありません……ゴメンね


はい、マコトです!

ちょっと余裕がないのですが今回も語りを頑張ろうと思います。

……さすがにシロが相手だとねぇ、常に気を張ってないと大変なんです。

あ、言い方がややこしいと思いますけど、いつもお仕事中は大真面目ですよ。

村の存亡が掛かってますからねぇ、それは今回も同じ。シロはヒノモト村に無くてはならない存在ですからね、無理やりにでも連れて帰ります。


「クッ……しつこいにも程があるぞ、主殿! 」


薙刀から繰り出される斬、突、打の三種を織り交ぜた連撃の嵐……一手一手よく見て対処しています。

とは言ってもこちらは防戦一方。隙が中々見つかりません。


正直そろそろ辛くなってきました、時折肩や脇辺りを攻撃が掠めます。


「ムムムッ、まだまだぁ! 」

『急くなよ、そのままよく動きを見て攻撃を受け流すんだ』


華ちゃんがアドバイスをくれるのがとても心強いです。

反応が間に合わない時は火で形成された花を出現させて防御してくれるんですよ、いわゆるオート防御ってやつですね。攻撃を受けた際に花弁が散っていくように消滅するのがまた綺麗なんです。

最初見た時は目が離せなくて直撃しちゃいました、気を付けないと……脇腹を柄の部分で小突かれたんですよ。


「このッ……」


『放てぃッ!! 』

「たぁぁぁぁぁっ! 」


ゴォッ


「ウグッ!? 」


大振りになった瞬間を狙って華ちゃんを振るうと炎が放たれました。これって鞘に収まっている状態でも出せるんですね。


シロは完全に炎に飲まれちゃいましたけど、ちゃんと手加減してますよ?

見た目は派手だけど軽い火傷程度で済む、はずです。


「おおおッ! ……やるじゃないか主殿」


わぉ……薙刀で風を発生させて無理やり炎を掻き消したみたいです。

衣服は少々焦げてるみたいだけど、まだまだ元気みたい。


「怪我は、無いみたいだね」

『流石神使を務める者……一筋縄ではいかんか』


技は使えるけどあまり出力を上げちゃうと山火事になってしまいます。

華ちゃんは強力ですけど、こういった自然が溢れる場所だと技や威力に制限が掛かってしまうんですよ。


『阿保ぅ、そこはお前の腕の見せ所だろう』

「うぅ……華ちゃんの鬼ぃ」


「相談するのは良いが―――」

「いぃッ?! 」

「余所見はいかんぞ、主殿! 」


ちょっと目を逸らした瞬間にシロは間合いに入り薙刀を突き出そうとしています。

場数が違うとはこの事ですね多分、実戦経験は圧倒的に彼女の方が多いですもの。


迫りくる矛先……華ちゃんが防壁を創ってくれましたがアッサリ斬り裂かれてしまいました。


「む、むぅぅぅぅッ! 」

「んなぁッ? 」


「わ、ととと……アイタぁッ?!」


身体をくの字に反らせてなんとか回避、でも無理に動いたので姿勢を崩してしまいます。

後ろに二、三歩下がると尻もちをついてしまいましたよ。

シロは勢いそのままに突進を続け、薙刀を木へ突き刺してしまいます。

……結構深く刺さったらしく中々抜けないようです。


『マコト、今だ! 』

「は、ハイッ」


華ちゃんの切っ先をシロに向けると炎が伸びていきシロの身体を巻きつけてしまいます。

拘束が目的なので威力は無いに等しいですが、引きちぎるのは彼女でも難しい……はずです。


既にブチブチと音が聞こえてきそうな様子なのですが、だ、大丈夫だよね?


「ヌグッ、このッ……」

「し、シロ。いい加減諦め―――」


「よくぞ捕まえました」


え……なんであの人の声が聞こえるの?

私の後方から猫美弥(ねこみや)さんが現れ、隣まで近づいてくるとパイプを蒸してきます。


「けほッ……近くで蒸すのは―――」

「お黙りなさいな、たかが犬一匹捕まえるのに時間が掛かり過ぎというモノです」

「……すみませんね、でもまだ彼女の話を―――」

「さ、今すぐ下手人の首を斬りなさい。彼らの目の前でね」


猫美弥さんが後方へ振り向き手を上げると、点々と灯りが灯り始めます。

部下であろう厳つい男性達が松明を掲げている様です……その後ろには村の方たちがズラッと並んでいますね。いつの間に連れて来たんでしょう、戦っている間だとは思うのですが全く気配を感じれなかったのですが……シロはどうなんだろ?


「……(シロ、気配は感じた? )」

「……(いや全く。何かしらの力で消してたにしても匂いくらいは分るはずだ)」


「何をコソコソと……さっさと斬れって言ってるんだよ! できないってなら―――」

「あっ」


猫美弥さんが声を荒げたかと思うと私から華ちゃんを取り上げ、鞘から抜き放つとシロへ振り下ろしてきます。


「ッ~……いきなり何をするんですか! 」


突然の事で慌てましたが片手で刀身を掴むことで防ぎました。

しかし刃が手に喰い込んだ事で血が出てしまいましたね……痛みは徐々に増してきます、ジンジンと鋭い痛みが伝達するような感じです。紙で指を切った時に似てるかも、アレよりも辛いですけどね。


「それはこっちのセリフだねぇ、この白犬を逃がすつもりだったんだろう? 」

「違います! 私は彼女から話を聞こうと―――」


言葉を言い切る前に周囲の視線に気づきました。

この感じは私への不信感が混じってますね……どうやらこの場で何とかシロの無実を証明しないと私自身にも危険が及ぶような気がします。


「わ、分かりましたッ、今この場で彼女の無実を証明しましょう!!」


……もちろん自信はないけどね、でもこの状況で待ったは効かないでしょう。

とりあえずやるだけやってみます。


「ハンッ、アンタにできるのかい? 」

「ええ、できますとも。場所を整えますのでちょっと待ってくださいね」


式神さんを召喚し簡易的な話し合いの場を作ってもらいます。

イメージは……そうですね、裁判所かな。作ると言っても検察官と弁護士が立つ場所と、被告人が立つ位置くらいですよ。傍聴人の村人たちは茣蓙に座ってもらいます。


……奉行所の方が良かったかな?


             ※※※



~ヒノモト山 満月湖 簡易奉行所~


「では始めましょうか、私ことヒノモト村土地神のマコトはシロの無罪を主張します」

「アンタも往生際が悪いねぇ……アイツがやったのを見たって言ってるだろう? 」


まずはこの主張を覆さないといけないのかな?

シロが人を殺めた瞬間を見たのであれば状況を説明できるのか聞いてみましょう。


「その、見たという事は―――」

「全部言わなくても良いさね、三人だ。その白犬が薙刀でズバッと斬りつけたんだよ。見られて焦ったからか武器はその場に捨ててったみたいだけどねぇ」


おっといきなりチャンス? たしか現場には遺体が残っていなかったはずですよね。

あったのは薙刀を振るった痕跡と猫の皮だけ……ツッコミを入れてみましょう。


「ちょっと良いですか? 」

「あぁ? 」

「たしかに血の跡はありました。しかしその場で三人を斬りつけたなら、現場には相当な血が流れている筈です」

「そ、それは……そうだ水瓶があったろう? それで流されたんだよ」


むぅ、たしかに水瓶はあったみたいですね。

……でも位置はどうでしょう、見た方向によっては死角になりそうです。

あの通りからだと二ヶ所、シロの正面か真後ろのどちらか。

真後ろだったら見えますが、もう一方は―――


「ちなみに猫美弥さんが見たのはどの方向からですか? 彼女の正面か真後ろか、答えてください」

「……正面だよ、あの羽織が真っ赤に染まってたのをバッチリみたさ」

「それだと、おかしいですね」

「何ぃ? 」

「いや、猫美弥さんの言った方向だとその水瓶は丁度別の荷物の影に隠れるんです。その位置からだと見えるはずがないんですよ」

「そ、それは……その…………音! 陶器が割れた音が聞こえたんだ! 」


今度は音ときましたか、それだと今持っている情報だけだと指摘できそうにないです。

……ん? 傍聴席がザワついてますね、少し耳を傾けてみましょう。


『たしかに女の叫び声は聞こえたな』『シロ様の声もだ』『やっぱりシロ様が……』


おおぅ……どうやら現状で此方が不利である状況は変わらないようです、聞かない方が良かったかも。


「……主殿、一つ良いか? 」

「ん、大丈夫ですよ」

「猫美弥と言ったか、たしかに音はあった。アチキも聞いてたからな。ではその後だ、アチキは武器をどうした? 」

「何だと? そんなの捨ててったと言ったじゃないか」

「……ではアチキの手元に置かれているのはなんだ? 」

「それは、なぎな……あ」


シロは自身の目の前に置かれている薙刀を指さします。

そう言えば現場に薙刀は刺さったままでした、アレは誰のものなのでしょう?

猫美弥さんも自分の言っている事と現状の矛盾点に気づいたみたいです


「アチキはな、武器を複数本持たない主義なんだ。管理が大変になるからな、例えそれが予備であっても」

「……む、村で調達を―――」

「それはカジバラと忍びの親子が証明してくれるだろう、武器を扱っているのはその二店しかないからな」


確認を取って見ると、シロは鍛冶場と店に顔を出していなかったようです。

商品の在庫に関しても減ってはいないと……まぁそうですよね、血で汚れた姿だったなら記憶にもはっきり残りますし、仮に強盗をされても同じです。


「さて主殿、現場でもう一本の薙刀があったらしいな? 」

「あ、ハイ。ありましたよ、持ってきますか? 」

「頼む。その方が手っ取り早く終わる」


……?


多少時間が掛かりましたが満月湖まで届けてもらいました。

シロの持っている薙刀と同じ形、違うのは持ち手の部分くらいかな。

彼女がいつも使っているのは紅色、式神さんが持ってきてくれたのは空色です。


「さぁ主殿、出番だ」

「へ? いったい何を―――」

「今この場で聴くのだよ、この武器で殺された者達にな」


……てっきりこの武器を使って何かを証明するかと思ったのですが予想と違っていたみたいです。

でも幽霊を呼び出すなんて試したこともありませんし、どうすればいいのでしょうか?


「その様子……できないんだろ? 顔にハッキリ出ているぞ主殿」

「ハイ、まだやったことないので……」

「大丈夫だ、その薙刀に意識を集中させて問い掛ければいい。それだけで奴らが応えてくれる」


むぅ……本当にそれだけでできるのかな?

とりあえず前に立って、手を合わせましょう。後はシロが言った通りに―――


「……(お願いします、貴方達を殺めたのは誰ですか?)」

『……』


「さぁ……始まるぞ」


目を開くと薙刀の上に足の透けた人が三人現れました。

容姿は橋の下で見つけた遺体と同じ……周囲を見渡し、そして犯人を見つけたみたいです。

その視線には強い怒りや恨みが感じられます、ユラユラと触れながら猫美弥さんの元へ向かっていき周囲を飛び回りながら話しかけています。


『居タゾ』『アイツダ』『ヨクモ私達ヲ……』

「ひ、ひぃぃぃッ?! な、なんなんだいお前たちは! 」


「お前が殺した部下の魂だよ、何故手を下したのかまでは知らんが相当恨みがあったらしいな」


わぁ……三人の魂は次々と今までの悪事を語ってくれます。

詐欺に強盗、人さらい等々、そしてその度に”責任”を取らされた仲間の事まで全部。

傍聴席の人達もザワついています。


『死ニタクナカッタ』『ナノにオマエハ』『背中カラ斬りツケタ』

「ぐ、ぐぅぅぅッ! 邪魔だ! 失せろォッ!! ……お前たち、こんな亡霊の戯言を信じるってのかい? 」


傍聴席の村人たちに問いかけるも皆反応しない。

一緒にいた部下たちの視線にも彼女に対する不信感が込められていた。


手っ取り早いとはこの事なんですね、この世界だからこそできる証明の仕方……勉強になります。

正直不安だったんですよ。矛盾点を突いてもいくらでも誤魔化せそうでしたし、いざとなったら村の方たちを人質に取られていたかもしれません。それをシロはこのような方法で形勢を逆転させてしまいました。


「な、なんだその目は……」

「潮時です、姐さん」

「馬鹿言うんじゃないよ! この村が手に入ればあの方(・・・)だって……」


その単語を漏らした瞬間、猫美弥さんは口元に手を当てて私の方へ振り向きます。

……あの方とはいったい誰なのでしょうか? 村を手に入れるといってもヒノモト村はまだまだ小さいですし、あると言っても霊脈が通ってるくらいですよ。


「……あぁもう面倒くさいねぇ、いつも通り初めからこうしておけば良かった」


不敵な笑みを浮かべたかと思うと、後ろにいた部下の方たちが突然宙へ浮き上がりました。

薄暗いので若干見えにくいですが黒い紐状のモノで縛られているようです。


『ふぅ……この姿になるのも久しぶりだねぇ』


視線を猫美弥さんへ戻すと、半分獣状態となっていました。

なんというのでしょう……獣人と表現した方が良いのかな? 人の形状を保ちながらも猫の特徴を失っていない感じです。


『あぁやはり男の肉は旨い、育てた甲斐があった。おかげで目の前の土地神共を始末できそうだよ』


「おうおう、ようやく本性を現したかこの化猫め」

「あわわわ……シロ、危険だよ。皆を守りながら戦うとなると―――」

「大丈夫だ主殿。璃狐と枯狸に避難の誘導を任せてある、村の方はクロが踏ん張ってくれるしな」


あれ? いつの間にか色々と手を回してたのですか。気が付けば傍聴席にいる人数も最初に比べて少なくなっています。クロの姿もないですし、彼は村の方を守ってくれているのですね。


「さぁ主殿、アチキ達はこっちで化猫を討伐するぞ」

「う、うん! 」

「此処を抜けられ、村まで行かれたらクロも対処しきれないだろう。一夜にして全滅してしまうだろう」

「……なら絶対に負けられないね」


シロの拘束を解き、私達は猫美弥さん……いえ化猫の前に立ちはだかりました。

彼女とのタッグ戦は初めての様な気もしますが踏ん張りましょう、この村を守らないとね。




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