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土地神ライフ  作者: KUMA
42/68

第40話 土地神に取り憑くは座敷童?

今回は作者が体調の為、後書きはなしです

~温泉宿 つくよみ~


「ふぅ、ごちそうさまでした」


……あ、皆さんおはようございます、マコトです。

今丁度朝ごはんを食べ終えたところでして、白米と大根の漬物、そして焼き魚とみそ汁を頂きました。

まさか妖刀から傷を受けていたなんて気が付かなかったなぁ。次の日からちょっと身体が重かったとしか感じませんでしたし、一寸さんからは”鈍感すぎる”と一蹴されましたよ。


暫くの間は絶対安静と言う事で、クロ達の宿で療養中です。


「お粗末様でした、ですがまだ油断は禁物ですよマコト様」

「う~ん……もう大丈夫だと思うんだけどなぁ。ダメかな、クロ? 」

「駄目です、一寸様も”一月(ひとつき)は安静にしてろ”と仰っていたではないですか」


清々しい程真直ぐな瞳で言われちゃいました。たしかに一週間しか経っていないのですが……むぅ、無性にソワソワします。神社のお仕事はシロとクロが交代で行ってくれているみたいですが、私も手伝いたい。


でも、この手首に巻かれた数珠の所為でお仕事はできないんですよ。一寸さん特製の”療養の数珠”、身体に一定の負荷を掛かると……ってよりも本来のお仕事をしようとすると強制的にこの宿に転送されちゃうんです。三日前に華ちゃんと特訓しようとしたら戻されてお説教を受けました。


……華ちゃんは現在シロが持ち歩いています、見回りの際に一緒にいると便利だそうです。


「しかし、お昼のお弁当用におにぎりを一緒に用意していたのですがもう食べられてしまったのですね」

「……え? 」

「……ハイ? 」

「あ~……うん、お腹空いちゃって。絶妙な塩加減で美味しかったよ、私ちょっと散歩に行ってくるね」


ふむ……私は食べてないのですが、もしかしてあの子(・・・)が食べたのかな?

背丈は璃狐さんよりも小さい黒髪の女の子、意識が曖昧な時に見たから幻と思ってたんですがね実在していたみたいです。今はこの場に居ませんが、たぶん一足先にお出かけでしたのでしょう。


目的地は甘味処あまてるだと思いますよ、おばちゃんがお見舞いで持ってきてくれたお団子が気に入ったみたいですからね。とりあえず行ってみましょう。



             ※※※



~甘味処 あまてる~


「……お、いたいた」

『……(羨ましそうに指をくわえながら客の食べる団子を見つめている)』


うん、一目で分かるね……あの子は注文しないのかですか? 何故かは分かりませんが私以外にあの子の存在を認知できていないみたいなんです、先ほどのクロのようにね。言葉も発しないのですが、私には何となくですけど言いたい事が分かるんですよ。袖をクイっと引っ張って、見上げるようにジィッと見つめてくるんです。


……いくら可愛くても、駄目な時は駄目って言いますけどね。


「お団子、食べましょうか? 」

『……! (表情がパァッと明るくなった)』


店の外に設置されている席に座ると私の膝の上にちょこんと乗っかってきます、不思議と重さは全く感じません。……よほど楽しみなのか身体を揺らしながらニコニコと笑っていますよ、注文をしちゃいましょうか。


「よしっ、おばちゃ~ん! お団子六本お願いします~、三色のを三本とみたらしを三本ね」

「は~い、少しお待ちくださいね」


店の奥からおばちゃんの元気な声が聞こえてきます。枯狸さんがお茶を持ってきてくれましたが、湯飲みは一つだけ……もう一つお願いするとやはり不思議そうな顔をされていました。


「なんで誰も君の事が見えないのかな? 」

『……? (視線に気づくと不思議そうな表情でマコトの顔を見つめてくる)』


抱えながらながら聞いてみますけどもちろん返答はありません、そんな事をしている間に今度は璃狐さんがお団子を持ってきてくれました。


「は~い、追加のお茶とお団子四本お待たせ……ってアンタどうしたの? 」

「ふぇ? 何がですか? 」

「いや、なんか小さい子と二人いるようでそうじゃない様にも見えるし……疲れてるのかしら? とりあえず、ハイどうぞ」

「あ、ありがとうございます」


ん~? 璃狐さんには見えてるのかな? 彼女の視界では時折ぶれて見えるらしいです、小さい子を乗っけている姿と、一人で座っている姿……不思議ですねぇ。宿に戻ったらクロにお願いして神界にでも行かせてもらいましょうか、陽光さんなら何か分かるかもしれません。


「……まぁ考えても仕方がないか、さっそく頂きましょう」

『……! (目を輝かせながら頷き、マコトから三色団子を受け取った)』

「みたらしも美味しいですよ、食べてみます? 」

『……(一口食べてみたがどうやら好みではなかったらしい)』

「お口に合いませんでしたかぁ……それは残念。お茶を飲みながら、それぞれゆっくり食べましょうか」

『……! (ゆっくり頷くとお茶を飲み、三色団子をほおばった)』



店の影から璃狐がマコトの様子を伺っている。どうやら先ほどの違和感が気になっているようだ。

見え隠れする自分よりも小さな女子……物の怪ではないか疑っているらしい。


「やっぱり変よね、いつもならみたらし二本と三色一本だけなのに……」

「姉さん、おばちゃんが―――」

「シッ! 今ちょと忙しいの、枯狸はおばちゃんの気を引いてて」

「いや、その……もう後ろにいるよ? 」

「え―――」

「何が忙しいって? 」


振り向いた先には腕組みをしながら串を構えるおばちゃんの姿があった。

スカカカカンッと連続で乾いた音が響き渡る。


「ひぃぃぃぃッ!? いつも以上に当てに来ている気がするぅッ! 」

「療養中のマコト様を不安にさせるんじゃないよ! 」


そのような状況であっても枯狸は仕事をするのであった。どうやら何度も起こるこの状況にも慣れ、慌てる事もなくなったようだ。


「ふぅ、次のお団子を作らないと。あ、お汁粉も頼まれてたっけ」

「枯狸ぃッ?! 姉ちゃんを助けてぇッ!! 」

「ゴメン、火を見なきゃいけないから。落ち着いたら姉さんも手伝ってね」

「う、裏切者ぉッ! 」


おばちゃんの手から複数の串が放たれると、璃狐は柱へ大の字に張り付けられてしまう。

器用に衣服のみを狙ったらしい。動きが止まった彼女の前に立つと説教が始まった。



             ※※※



~神界 陽光の執務室にて~


「なんだそのちんまい奴は? 」

『……! (何やら陽光の言葉に対して不満がある用だ)』

「ど、どうどう……陽光さん! 初対面なのにそんな事言っちゃ駄目ですよ? 」

「面倒事なら勘弁だぞ、お前さんは何かとそういう類のモンを引き寄せてるみたいだしな」


え~……ただこの子の正体を聞きたかっただけなのにこの仕打ちなの?

ちゃんと手続きしてきたのになぁ。


「馬鹿野郎ぅ、正規の手続きだと? ほぼほぼ顔パスだっての、お前さんの書いた書類なんざ見た事もねぇよ」

「そうなんですか? じゃぁ―――」

「駄目だ」

「まだ要件も言ってないのに?! 」

『……?! (マコトと同様の顔をしている、即座に断られた事がショックだったらしい)』

「どうせソイツを引っぺがせとか言うんだろ? それくらい自分で何とかしな」

「ち、違いますよ! この子の正体を知りたいんですッ、早とちりしないでください! 」

『……! (マコトの横に立ち、腰に手を当てながら頬を膨らませている)』


どうやらこの子も一緒に抗議してくれるみたいです、何を言っているのか分かりませんが少し心強いかも。

私達の回答を聞いた陽光さんは頭を掻きながら席を立ち、目の前にしゃがみ込みます。


左右から見たり、持ち上げたり、小突いたり……途中からいじめをしているようにしか見えなかったです。


『……!! (陽光の手を払いのけ、マコトの頭の上へと上ってしまう)』

「わわっと……陽光さん、ふざけないでください。怯えて登られちゃいましたよ」

「いや悪い悪い、地上の奴らには見えなかったんだって? コイツはそういう妖怪だ」

「璃狐さんは見えてましたよ? 」

「おそらく、前にお前さんの札で変身したのが影響を与えているんだろう。座敷童ってのはコイツが気に入った人間や妖怪にしか見えんからな。そのうち璃狐にも見えなくなるだろうさ」


この子が座敷童……たしか住み着いた家に幸福をもたらし、出ていった際は厄災が訪れるんでしたっけ?

でもこれと言って幸福な事って起きていない気がするんですが、むしろ出費が少し増えたくらいですよ。


「マコトよぉ……自分が今何(なん)なのか考えてみろよ」

「へ……? 土地神、ですけど」

「それだよ、人間のように暮らしているから勘違いしたのかもしれんが土地神である以上、お前さんに幸運は訪れん。神である時点で色んなヤツから幸福を分けて貰ってるんだからな」

「そうなんですね……ねぇ、貴女は私で良いの? 」

『…………』


座敷童さんも多少考えましたが、すぐに笑顔になり頷いてくれました。

でもなんで私なんでしょう? 何に惹かれたのか気になりますね。


……そうだ、せっかく来たんだから一つお願いしてみましょう。


「陽光さん、一つだけお願いがあるんですけど……」

「あぁ? 」

「実は―――」


             ※※※



~ヒノモト村 神社~


コレは翌日の話です。

今座敷童は村の子供達と境内で遊んでます。

陽光さんにお願いしたのは彼女の姿を他の人にも見えるようにするという事。


宿で何日か一緒に過ごしていて、村の子供達が遊んでいる所を羨ましそうに見てましたからね。

自分の姿が私以外に見えていない事は理解していたようですが……やはり孤独って辛いじゃないですか


(つぼみ)~! 早くこっち来いよ~! 」

『……! 』

「ほらッ、一緒に行こう! 」


そうそう、彼女に名前を付けてあげたんです。いつまでも”あの子”や”彼女”では可哀そうですからね。

小さい姿から花の開花前のように感じたので、”(つぼみ)”とね。

言葉は発せられないようですが、子供達も何となくやりたい事や話したい事は理解できているようです。


時折、自身の霊力を使ってモノを浮かせたり子供達と一緒に飛んだりしています……あ、安全面はしっかり管理していますよ? その度宿に強制送還されるんですけどね。

また一人、新しい家族が増えました……(*´ω`)

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