表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
土地神ライフ  作者: KUMA
39/68

第37話 食べ過ぎはいけません


ほんの一瞬の出来事でした。

私も何とか刀での打ち合いを繰り広げていたのですが、前に出過ぎていたようです。


「くぅッ?! 」

「オロチさん! 」

「まずは一撃……中々上質よのぉ」


攻撃を外した瞬間に後ろへ行かれてしまい、オロチさんの迎撃は外れ、左腕を斬られてしまいました。


「このぉッ! オロチさんから離れなさい! 」

「ム、さすがに二撃目まではいかんか」


土壁の札で自分を飛ばしてオロチさんとの間に割って入りました、さすがに分が悪いと感じたからかお爺さんは一時後退。念のため華ちゃんの力で結界も張りましょう。華ちゃんの説明では霊脈の力で作られた透明な壁を個々に出現させるとの事、要約すると防御力アップですね。


神居(かむい)の陣! ……オロチさん、大丈夫ですか!? 」

「え、えぇ。幸いにも傷は浅いのですが……塞がりません」

「斬られてすぐは無理でしょう、とりあえず止血を―――」

「違うんです! 私自身、再生能力は高いのですが、その力が全く使えないのです」


再生能力……自己再生って事なのかな? 徐々に傷が消えていく感じの……蛇ってすごい。

って違いますね、それよりも重要な事を言ってました。”力が使えない”と。

もしかしてあの刀に力を吸われた……?


「おぉ……そうか神喰よ、美味いか。愛い奴よのぉ」


視線をお爺さんの方へ戻すとより歪な形状へと変化した刀が目に移りました。

大きく変化した刀身には獣のような眼が一つ開いています、もはや刀って呼んでいいのか分からない形状、牙が生えてるみたいですね。かなり濃い瘴気の所為なのかは分かりませんが、土壁はボロボロと崩れてしまいました。


「うっはぁ……これはピンチ、かな? 」

「もっと喰らいたいと? 良い良い、その望みは儂が叶えてやる」


お爺さんは武器を上段に構えるとジリジリと距離を詰めてきます。

正直あんな威圧感を放つ人に斬り込みたくはない、一瞬で真っ二つにされちゃいますよ。

少しだけですが人の隙って分かるんですよ。土地神になってからその感覚が強化されたみたいですけどね。

簡単に言うと、隙のある部分はホンノリと青い光で覆われるんです。普通な所は黄色、警戒している所は赤色って感じでね。


あのお爺さんですか? もう全身が真っ赤です、隙なんてどこにもありませんよ。


「近づいたら……ザクっとヤられちゃいますねぇ」

「ゆ、悠長に言ってる場合ですか! マコトさん、貴女だけでも……」

「それは駄目。オロチさんが死んじゃったらスサノさんが悲しむじゃないですか、何とか乗り切りますよ」


とは言ったモノの、特に案は無いわけなんですが……どうしましょう?

華ちゃんに聞いてみますか。


「華ちゃん、何か良い策はありますか? 」

『……この際呼び方などどうでもいい。まずは力を送りながら俺を振るってみよ』


言われたとおりにやってみましょう、霊刀に霊力を送りながら……


「ていッ! 」

「マコトさん?! 相手はまだ離れているのに何を―――」


ゴォォォッ!!


「グ……小賢しい真似を、だが無理に行くわけにもいかんか」


「ひゃぁッ?! 華ちゃん、火が出ました! 火が!!」

『名付けるなら”火奔(ひばしり)”と言った所か、今のように振るえば火を飛ばす事が出来る。いくら妖刀を持っていても相手は人間だ、多少は時間を稼げるだろう」


こんな便利な技があるなら早めに言ってほしかったです……遠距離からチクチクと体力を削れるなら怖い思いをしなくて済みそう、かな? 火と土の壁に阻まれている間にオロチさんを治療しましょう。

傷口の上にお札を貼って―――


「とりあえず、これで武器も振るえるはずです。でも無理はしないでくださいね? 」

「ありがとうございます……しかし斬られる度に相手が強化されるのであれば早々に決着をつけなくてはいけません」


再び視線を戻すと、今度は火の壁が消えていました。地面は何かに(えぐ)られたかのように窪んでいますね……ま、まさか―――


「クハ、クハハハッ! 火までも喰らうと言うのか! 素晴らしいぞ神喰ィィぃッ!! 」


遂にお爺さんにまで変化が出てきてしまったようです。

多分、ってよりも絶対私が原因ですよね? あの火って私の力で生み出したようなモノだし、吸収されちゃったのかも。私自身に悪影響があるわけじゃないけど、状況はますます悪くなったみたい。


お爺さんは、そうですね……人が堕ちた存在、いわゆる”悪鬼(あっき)”になってしまったようです。

肌は薄暗く変色し、頭部から鋭い角が三本。生え方はこめかみ付近から2本、おでこから一本って感じです。

刀も身体と同化しています、もはや人としての形状ではありませんね。


「どれ、軽く振ってみようかの。ムゥンッ! 」

「マコトさん伏せて! 」

「わわッ……へぶ?! 」


オロチさんから無理やり身体を押され、顔から倒れてしまいました……鼻が痛いけど助かった。

幸いにも火は飛ばせないようですが、周囲に張った結界が斬り裂かれてしまいました。

このままでは村の人達にまで被害が出てしまいます、急いで倒さないと……


『滾る! 滾るぞぉッ!! この地に立つだけで力が漲ってくる!! クハッ、クハッ、クハハハハハハッ!! 』

「立っているだけで……? うわぁっ?! 」


周囲を見渡すと草木が枯れ始めている事に気が付きました。

もはや接しているだけでこの地の霊脈から力を吸っているみたいです。

声質も変わり、板チョコのように割れていた腹筋もいつの間にかでっぷりと膨らんでいます。


「……マコトさん、コレは好機到来かもしれません」

「はぇ? な、何を言ってるんですかオロチさん」

「今から私の言う通りに動いてください、少し辛いかもしれませんがきっと大丈夫ですから」


オロチさんは私に耳打ちしてきます……うん、あまり聞きたくはなかった。

でも、もう悩んでいる時間もありませんし覚悟を決めるしかないでしょう。


「行きますよッ、てぇい! 」 

「後に続きます! 奥儀……八岐大蛇! 」


まずは私から、先ほどと同じように火の衝撃波を放って相手の視界を遮ります。

オロチさんはその後から分銅を投げつけました、奥儀と言ってましたが一体どんな技なのでしょうか?


『クハハッ、血迷ったか小娘ども! ……ぬぅ?! 』


私の攻撃は効いていないようですが、オロチさんの攻撃が不意を突けたようです。

突然遮られた視界に火を纏った8つの分銅が不規則に飛んでくるのにはとても驚いたのでしょう。

もちろん全て本物のようです、残念ながら分裂する前に火の中へ入ってしまったので仕組みはよく分かりません。ねじ伏せるまではいかなかったのですが、全身を縛り付けて動きを拘束する事が出来たようです。


『小癪……小癪なりぃ! ならば貴様から吸い尽くしてくれるわ!! 』

「ウグ……グゥゥゥ、ま、マコトさん、今です! 」

『なッ、初めから囮の―――』

「一つ良い事を教えてあげますよ」


そうですね、相手の視線からだと火が消えた瞬間に私が刀を構えて飛んできている感じになります。

最後の土壁のお札を使って自分自身を射出しました、あとできるのはこのまま刀を突き出す事だけ……どうか上手くいきますように!


『俺に力を送れ! 無いよりはマシだ!! 』

「華ちゃん……! 行きますよ!! 」



突き出す瞬間に指示通り霊力を送ると、刀身が炎に包まれました。

切っ先が悪鬼の腹部に触れると簡単に刺さってくれましたが、半分ほど刺さった所で失速し、遂には止まってしまいました。


『ガフッ……クハ、クハハハハハハ! これはいい、まとめて喰らって―――』


そして私の身体から力が抜けていくのを感じます、オロチさんと同じように武器を通して吸収されているようです。


「教えてあげると、言ったでしょう? 食べ過ぎは……」

『ヌ? ……グゥッ?! な、なんだ、急に腹が……!? 』

「身体に良くないんですよ!! 」


残った力を振り絞って刀を抜き取ると、悪鬼の腹部から光が溢れ、徐々にその勢いは増していきます。

傷も広がっていき、身体が浮いていきます。分かり易く言うとパンパンに空気を入れた風船の空気が抜ける感じです。


『ヌォォォォォォオオオオオオッ?! 』


吹き抜ける霊力で空に押し上げられた悪鬼は、宙で不規則に何度もグルグルと周っています。

散った霊力は本来の持ち主の元へと戻って行きます、私やオロチさんはもちろん、それ以外は光の帯となって各地へ伸びています。


「ふぅ、何とかなった……のかな? 」

「霊力を一点へ集中させて相手の腹を貫くとは……お見事ですマコトさん」

「華ちゃんのおかげですよ、私だけでは無理でしたから」

『ウム、色々と課題はあるがそれは今後の修業で直していけば良いだろう。攻撃の際の踏み込みと度胸は良かったぞ』


えへへ……オロチさんと華ちゃんに誉めてもらえました。

さて、変異したお爺さんの様子はどうでしょうか?

そろそろ落ちてくると思うのですが……



ドスッ……カラカラカラ………



空から落ちてきたのは妖刀 神喰と人の骨でした。


「え……? お爺さんは何処に? 」


※※※


念のため神喰に封印の処置をしたあと、カジバラさんの元へと持っていきました。どうやらこの刀は元々華ちゃんと同じ霊刀だったそうで、物の怪を斬りすぎた事で妖刀へ変異してしまったと言っていました。


帰り際にちゃんと手入れをするようにと、道具を一通り渡されましたよ。刀の整備なんてやったことないのですが……華ちゃんに聞きながらやってみましょうかね。



あけましておめでとうございます。

ど~もKUMAです。


2018年も終わり、2019年となりました。今年から仕事もガンガン忙しくなってきそうな気配が漂ってきてますが、毎月更新のペースを崩さない様に頑張っていきたいと思います。


さて現実の話はここまでとして、今回の土地神ライフはvs妖刀でしたね。

オロチの放った奥儀のイメージは名前のまんまで投げた分銅が8つに分裂し、不規則な動きで相手へ襲い掛かる技となっています。応用として鎌verもありますが、今回はマコトの事を考えて分銅としました。

鎌の方だと結構エグイ事になりますからね、鎖が絡みついて8つの刃がズブリと適当な場所に喰い込んでくる感じです。


そしてマコトもサラッと新技を使ったりもしてました。神居の陣……【神威】じゃないんですよね、更には火の衝撃波を飛ばしたりなど霊刀を得たことで中~後衛の戦闘方法に前衛も加わりオールマイティに戦えるようになりました。元々前衛もある程度は出来る子だったのですが、シロやクロもいたのであまりそのような場面は描写してなかった気がします。……気がするだけです。


とりあえずはこのような感じでしょうかね?



……おっと、忘れてた。

最後に久しぶりに描いた絵も載せておきます、読者の皆様の今年一年がより良いモノになりますように。

ではでは~


挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ