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土地神ライフ  作者: KUMA
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第28話 与作の顔をとり戻せ


夜九ツ……現代の時刻で言うと深夜0時頃の事。

ヒノモト村にて奇妙な噂が流れていた。


【長屋前にて、月がてっぺんに上る頃。何者かがすすり泣く声が聞こえる】


始めは子供たちの流している嘘と思われていたが、次第に実際に聞いたと言う声も上がりマコトにも依頼が回ってくる。彼女が見回りを行うと泣き声はピタリと止まり、その後も聞こえる事は無くなった。


しかしマコトは何もしていない。彼女でさえ聞こえない、そして視えない相手には対処できなかった。


「念のために長屋の近くにお札を張っておきます、シロとクロにも手伝ってもらいます。再び声が聞こえた時は家の外に出ないでください。魔除けのお札もお渡ししておきますね」


不安な顔色を見せる村人たちにお札を渡すマコト……しかしこの場に与作の姿は見えなかった。

現在彼は山へ狩りに出ているらしい。


「あぁ……与作さだったらオラが渡しておくだぁ」


しかし、その日のうちに与作を見た者はいなかった……



             ※※※



次の日の朝……長屋は大騒ぎとなっていました。

駆け付けた私、クロ、シロ、三人とも困惑しています。

何故なら―――


「こんの偽者(にせもん)めぇッ! オラの……オラの顔を返せっ!! 」

「何を言うこのトンチンカンめ、 顔の()ぇヤツが何を言ってるだ! 」


与作さんが二人、互いに取っ組み合っていました。

背丈、服装、髪型は全く同じ……違う場所と言えば片方には顔がない。

鼻や口、目などが存在せずツルリとした面、誰がどう見ても物の怪と思うのですが……


「ねぇシロ、クロ。私がおかしいのかな? 」

「いや主殿、アチキもおそらく同意見だ」

「僕もです、あの顔のある与作殿は―――」


二人も偽者という意見でした。

でもこの状況で指摘したとしても村人の方たちは納得しないだろうし、どうしよう……ん?

なんで彼が偽者と分かるかですか? せ、説明が難しい……感覚的なものなんですが、顔のある与作さんの存在そのもの(・・・・・・)というのかな。人としての在り方に妙な違和感を感じるんです。


「とりあえずアチキが顔無しの方を追い払う、そのまま神社へ誘導するから後の事は頼む」


シロは武器を出現させ二人の間に割って入りました。刃を向けられた顔の無い与作さんは後退り……顔の有る与作さんはその様子を見て勝ち誇った表情をし、シロを煽っています。


「早く、早くソイツを殺してくれ! 自分の偽者なんて見たくもねぇッ」

「黙ってろ、後ろで騒ぐな。手元が狂って刃が当たったらどうする」


「ウグッ……こ、殺されてたまるか! 」


顏の無い与作さんは背を向けて私達とは反対方向へ逃げ出し、シロは此方を見て頷くと彼の後を追いかけました。残った私たちは村人へ家へ隠れるように指示を出したら神社へ向かいましょう。


すれ違う際に彼は不敵な笑みを浮かべてました。私が見た事に気づいたのかは分かりませんがそそくさと家の中へと入っていきましたよ、……やっぱり怪しい。


「クロ、少し調べ事お願いできるかな」

「ハイ。何について調べれば? 」

「えっと……」



~神社~


さて、少し時間が経過して私は神社で待機中です。

鳥居の向こうから様々な音が聞こえますね、爆発音や空気を斬る音等々……後で直すの私なんだけどなぁ、シロも容赦なく追い立ててるみたいですね。


「そろそろかな」


ドドドンッ


「どわぁァァァァッ!? 」


階段から立ち上がると同時に爆発音が複数回なり、顔の無い与作さんが吹き飛ばされてきました。

数回バウンドして石畳の丁度分岐点辺りで止まりましたね。うん、とても痛そうだ。


「あ、あの……大丈夫ですか? 」

「ツツツ……なッ、ま、マコト様もオラを疑ってるだか!? 」


おっと少し失敗、今の与作さんは人間不信になっているみたいですね。

治療しようと目の前でお札を取り出したのは不味かったかな……


「落ち着い―――」

「オラは、オラが本物(ほんもん)だ! 嘘は言っでねぇッ!! 」

「……大丈夫。私たちは与作さんが本物だって事分かってますから」


一言告げてから治療を開始、まぁおでこにお札を張り付けただけなんだけどね。

シロも本気で攻撃してたんだね……アチコチ切り傷や軽い火傷があるや。

私の治療方法は2つ。1つはお札での治療、肉体的な傷はこっちの方が早く治るんだよね。もう一つは霊気治療、身体を蝕む瘴気の浄化が主で傷の治療はおまけ程度。


「あ、あぁ? 傷が……」

「これで信じてもらえます? 私達は貴方の味方ですから」

「う、うゥゥゥっ……」


泣いてる、みたいですね。ツルンとした顔だと涙すら出てないので分かりにくいのですが、声でなんとか……しかし、どうしてこのような事になったんでしょうかね?


「グズッ……じ、実は昨日顔の無ぇヤツと会っただぁ。オラはそん時山で狩りしてて、アブねぇと思って声掛けたら気ぃ失ってで―――」


与作さん山中で気絶したんですか……ヒノモト山も稀に熊も出るって聞いてますよ、危ないなぁ。

しかし実際、覚醒した場所は山の入り口付近だったらしく結界も発動していて安全だったそうです。

私が張ったわけではないですよ? もしシロやクロだとしてもそのような場所には放置しないと思う。


そして顔が無いと分かったのは水で顔を洗おうとした時。その後は人を避けて長屋の自宅に辿り着くと全く同じ姿の自分がいて今朝の状況に至ると。


「な、なぁマコト様ッ! オラは……オラは一生このままだか!? 」

「もし偽者の与作さんが顔を盗ったのであれば戻す方法もあるはずです。クロに対処方法と物の怪について調べてもらっています」


「……主殿、少し時間を良いか? 」

「うわっ!? 」「しししシロ様ッ!? 」


い、いつの間かシロも神社へ到着していました。与作さんも怯えていましたが、シロも謝罪してましたよ。どうやら一旦長屋の方へ寄って村人に退治した旨を伝えてきてくれたそうです。

その際偽者の与作さんは顔色を変えて何処かへ走って行ったそうですが、動物型の式神を追尾させてるとの事……流石だねぇ。


「与作、お前は主殿の家に入ってろ。今の状態ならその方が安全だろう」

「へ、へぇ。分かりました、ではマコト様お邪魔させていただきます」


「入ったな……さて、主殿。今回の物の怪だが、おそらくのっぺ―――」

「お待たせしました! マコト様今回出現した物の怪ですが……あ」


ドヤ顔で説明しようとしたシロを遮っての登場……クロもやるねぇ。

みるみるうちに赤くなり、無言で彼を蹴り倒しました。よし、一旦彼女を落ち着かせよう。



             ※※※



「え、のっぺら坊じゃないの? 」


二人は無言で頷き返してきます、しかしクロの顔はもうひどい事になってますね。

おしりをゲシゲシ蹴って終わったと思えば、彼が立ち上がった所を狙って往復ビンタ……ほっぺが真っ赤です。


「ふぁい……ふぉんふぁいの(はい……今回の)―――」

「いやスマンだな、クロ。アチキが話す」


今回の物の怪についてなんですが、内容が少し難しいなぁ……。

名前は【顔盗り】。神界では一応物の怪にも分類されてるようですが―――


「時間経過で顔を盗った人間や妖怪と存在が入れ替わる? 」

「そう、本来の持ち主は物の怪になってしまうのだ。どの程度の時間が必要か分からんがな」

「せ、制限時間付きですか? なら早く対応しないと……」

「与作に顔を戻すためには正体を見抜く必要がある、アチキ達以外がな」


私達以外が、見抜く? 待って待って……村の人達は完全にコッチの与作さんを疑ってましたよ。

シロはその方法を考えると言ってますが、状況的には私達が不利じゃないですか。


「手っ取り早いのは偽者を呼び出して直接手を下す事、しかし呼び出すまでが難しい」


相手は用心深く、絶対に隙を見せないそうです。本物よりも言葉が達者になり、下手に刺激すればこちら側がさらに不利になる様な状況を作り出して対応してくる。……私の悪い噂を流して不信感を募らせて来るのかな? 信仰されなくなってくると神様って存在が難しくなるって聞きますし、さてさてどうしたもんかなぁ。


「偽者に強い不信感を持ってくれる人がいれば何とかなりそうなんだけど……そうだ! り―――」

「璃狐と枯狸なら店の仕入れでいないぞ、例えいたとしてもアイツ等では無理だ」


彼女たちなら人を騙す事に関してプロだからと期待してましたが、なんと言う事でしょう。

スサノさんや八頭さんではおそらく私達と同じ状態だと思いますし、早く手を打たないと……


え~2月は体調不良、3月は若干回復しましたが引きずっていながらも予定がビッチリ……フム、中々ハードな日々を過ごしました。ど~もKUMAです。

人生初の胃カメラ、いやぁもうあんな思いは二度としたくないものですな……(;´・ω・)

月日も変わって今日は4月1日、エイプリルフールです。特に嘘も思いつく事もなく時間がただ過ぎていくのですが、まぁそれはそれで良し。


そんなこんなで今回も無事更新できましたよ。

久しぶりなので何を書くべきか迷っている所もあるのですが、結構大切な事がありましたね。

2月14日の段階で土地神ライフが3年目……つまり2周年です! いやはや、まさかここまで続けられるとは思ってもいませんでした。読んでくださる皆様方、いつもありがとうございます。

今後もこの作品更新を続けられるよう頑張っていきますよ~(●´ω`●)


さて今回は此処まで。

また次の更新でお会いしましょう、ではでは~。


挿絵(By みてみん)



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