閑話2 土地神性転換?!
作者の体調不良により、今回の更新分は後書きがありません。
申し訳ないです。
今日もヒノモト村は良い天気、見事な快晴。
最近は物の怪の出現も少なく、平和そのもの。
住人も少しずつ増え、商売事も盛んになってきています。
一歩一歩焦らずに頑張って良かったなぁ……もちろんまだまだ村を発展させたいですし、色んな方とも交流していきたいですね。
「おぉ~い、そこの嬢ちゃん。ちょいと良いかい? 」
「……私ですか?」
「嬢ちゃんって言ったらアンタしかいないだろう、道を訪ねたいんだが」
まぁ村を歩いていると村人によく間違われます。
多分、神様的なオーラが無いからでしょうかね?
後々土地神であることを知って謝ってくる方もいますが、個人的には普通に接して貰う方が良いのであまりに気にしてはいません。
「そうか、ありがとうよ嬢ちゃん。俺ぁ元々この村で育ったんだが、大分変わっちまってなぁ……」
「あぁ、そうなんですか。 おじさんがいた頃よりそんなに変わりましたか? 」
「住んでたのはもう数十年も前さ。こんなに店なんざなかったからな、大きくなったもんだ」
おじさんは通りに並ぶ様々な店を見ながら何処か寂しそうな表情で答えてくれました。
発展した分、昔の風景が無くなった事を悲しんでいるのでしょうか……だとしたら少し申し訳ない気持ちになりますね。あぁそうだ、今見ているのは【商売通り】と言います。旅に必要な道具を扱う萬屋、武器の販売と打ち直し等を行う鍛冶屋、他には八百屋に魚屋等々……数えてみるとホント増えましたね。
「もしかして何か思い出が……? 」
「いや……まぁ昔色々とな、とりあえずはアイツとも会えそうだ。じゃぁな~ありがとうよ」
お礼を言うとそのまま村人の方々の住む長屋へと向かっていきました、何やら友人に会いに来たと言ってましたね。途中何かを思い出したかのように振り向き、木の筒を投げてきました。
「っとと、コレは?」
「道教えてくれた礼だ。この天才薬師、平白様特性の薬よ。身体の疲れが嘘のように取れるぜ~」
ほぇ~なんとお医者さんでしたか、村の玄内さんと同じですね。
うぁ……色んな草が混じったような匂いがします、あとで鼻をつまんで飲んでみましょうか。
そういえばあのおじさんが聞いてたのって……まぁ良いか。
「ん~特に異常はないね。あとの予定は神社の倉庫整理……か」
神社の仕事に、定期巡回、村人からの依頼等々……色々とやる事が多いんですよ。今日は道を聞かれたくらいだけど、見回りの時には急な依頼とかも来ますし。どんな依頼か、ですか? 大体は道具の修理とかちょっとしたお手伝い、稀に瘴気の濃い場所に迷い込んでしまった人の救出と霊気治療……侵入した物の怪の退治、挙げるとしたらこれ位かな。
「少し寄り道してあまてるに行こうかな、自分へのご褒美も大事だよね。お団子お団子~」
少し足早になっちゃうなぁ~、なんてったって今日は御手洗団子の日! 私のいた時代みたいに甘しょっぱいタレではないけど焼いた時の香る醤油の匂い、そしてあの味……美味しんだよね。おばちゃんから作り方を教えて貰いたいんだけど、いくらマコト様でも……って断られちゃうんだよ。
人気商品みたいだから少し急がないと……
※※※
~次の日の朝 神社にて~
時刻は朝五ツ……現代風に言えば早朝8時~9時頃。
いつもであればこの時刻ならばマコトは起床しており、境内の掃除を終わらせている筈なのだがその姿は見えない。まだ布団の中で寝ているようだ。様子を見に来たクロは主の姿が見えない事を不審に思い家の戸を叩く。
トントントン
「マコト様? どうかされましたか? 」
声をかけても中から返答はない、ただ気配は感じる。
「マコト様~、入りますよ? 体調がよろ……ッ?! 」
「……んん、何だぁ? もう少し寝かせてくれ」
「だだだッ誰だ貴様! マコト様を何処へ――― 」
「お前、うるさいよ」
布団から出て来たのは青年、髪型と色はマコトと似ているが体格が明らかに違う。
男が手のひらを向け、横に振るうとクロは家の外へと吹き飛ばされた。
不意の攻撃を受けるも何とか着地し顔を上げた、彼には受けた霊力の波動に覚えがある。
タラリと額から冷や汗が流れ落ちた。
「そんな……この霊力はッ?! 」
「俺の眠りを妨げるたぁ……お前良い度胸してるなぁ」
「僕です、クロですよ!! マ―――」
「だからうるさいって」
必死に呼びかけるも謎の青年の耳には届いていなかった。
マコトであれば多種多様なお札を使用するような戦い方だが、彼は自身の霊力のみを扱い風を出現させている。手を振るうだけで荒々しい風を巻き起こし、真空刃がクロの身体を斬り裂いていく。
「グゥゥゥゥっ?! 」
「まぁこれ位にしといてやるか、ホレ」
その場に膝を着くクロを見て攻撃を止める。
青年は玄関先に立掛けられていた箒を目の前に投げた。
「こ、これは……? 」
「掃除、やっとけよ。境内を汚したんだからな、じゃぁな~」
欠伸をしながら頭を掻き、そのまま鳥居の方角に歩いていく。
服装も徐々に変化し、階段を降りるときには寝間着から神職衣装へと変わっていた。
その姿は徐々に見えなくなっていくが、クロに引き留める力は残されていなかった。
「は、早く……伝えないとッ」
※※※
~ヒノモト村~
青年が階段を降り終えると白い羽織を来た少女、シロが薙刀を持ち、待ち構えていた。
その場から一歩でも動けば身体を貫くと言わんばかりの殺気を放っている。
「何だ嬢ちゃん、物騒だな」
「お前の事はクロから聞いてはいる、主殿らしいが……彼女は我らへ危害は加えないような方だ」
「知らん。俺は降りかかる火の粉を払っただけだ」
「……ならば仕方がない、村へ危害を与える前にこの場で倒させてもらう」
切っ先を青年に向け、戦闘態勢に入るシロ。
だが彼は構えを取らない、引く事もなく自然体で近づいていく。
「……(馬鹿かコイツは?! し、しかし一見無防備なのに隙が―――)」
「お前は、よく分かっているみたいだな」
気づいた時には脇を通り過ぎていた。青年はすれ違いざまに頭へ手を置いて、振り替えることなく村へと向かっていく。シロはその場に膝を着く、表情は困惑したモノに変わっており冷や汗が流れていた。
「ハァッ…ハァッ……! 何なんだアイツは、ホントに主殿なのか? 」
口では強気な事を言っていたが、心の奥底ではシロには彼がマコトの偽物であると思えなかったようだ。
薙刀を手放した際に手のひらを見ると汗が滲んでいた。
「クソッ……何をやってるんだアチキは! 何か問題を起こす前に———」
再び立ち上がると村の方角から玄内の声が聞こえてくる。
何やら誰かに怒鳴りながらこちらに向かっているようだ。
「お前は面倒事を起こす事だけは変わってないな! 」
「だからスマねぇって謝っとるだろうが! まさかあんな娘っ子が土地神様なんて思わんだろう?! 」
「まったく……おぉシロ! 少し訪ねたいんだが大丈夫か? 」
「あ、あぁ大丈夫だ。そちらのご老人は? 」
「ん? まぁ俺の腐れ縁ってやつだ。チョイと面倒事を起こしてな」
玄内は説明を始めた。
まず首根っこを掴んで無理やり連れて来た老人の名は平白、彼の幼い頃からの悪友らしい。
昨日マコトに道を尋ねた人物でもある。そして本題は彼が渡したという薬についてだった。
「この馬鹿タレが作った薬は確かに効果は出るんだがなぁ……副作用があるんだよ」
「……それは薬師として良いのだろうか? 」
「江戸じゃあんなヘマはせんよ、あの娘っ子に渡したのはチョイと遊び心で作った試作品の方だったんだ」
「そんなもん持ち歩いてんじゃねぇッ! 昔その試作品とやらで俺は何度も死にかけたってのに……テメェ忘れたとは言わせんぞ」
「何を言うこのすっとこどっこい! それはオメェが勝手に———」
再び喧嘩を始める玄内と平白……あきれるシロは二人を宥め、マコトの現状を話すと解毒剤の有無を聞き出す。症状を聞いた平白は懐から小さな麻袋を取り出し、彼女へと投げた。
「中身は……全部同じようだが? 」
「俺の処方する薬は特殊でな。コイツを一つ飲ませりゃ効果は消える……しかし成程、性別が変わるときたか」
「おぃ、まだ懲りねぇのかテメェは……ようし分かった。俺特製の薬を飲ませてやる、試してぇ薬草があるんだ」
「ま、待て待てッ! コレは今後の―――」
玄内は必死に弁明する平白を連れて村へと戻って行く、シロは神社にてクロと合流後に村へと向かった。
※※※
神使二人は村中を探すも、見つけ出す事は出来なかった。
見かける村人は青年……姿の変わったマコトの文句を口にしていた。
主に依頼の拒否によるものであるが、彼らは青年がマコトであるとは分かっていないらしい。
代理で解決しているうちに時刻は既に昼飯時を過ぎていた。
「ああもうっ! あの馬鹿主は何処にいるんだ!! 」
「シロ……姿は変わっていてもマコト様である事には変わらないんだ、言葉は気を付けよう? 」
「分かっている! だが得体の知れない薬を飲むのは……いや、やめよう。アチキは疲れたよ」
その場にしゃがみ込むシロ。手に入れた情報を基に探し回っていたが残すのはこの商売通りのみ。
しかし各店にも立ち寄ったという話も聞かず、八方塞がり……クロは休憩のためにあまてるへ寄ってみる事を提案した。
数分歩いて甘味処へ到着……すると異様な光景が広がっていた。
店の前には子供たちと一緒に泣きじゃくる璃狐とそれをなだめる枯狸の姿があった。
「な、何があったんだ璃狐? 」
「ウェェェェ……グス、グス、変な男が来て……アタシの、アタシの甘味を、ウワァァァァンッ! 」
「ここも被害があったのか。クロ、彼女と一緒にこの場は頼んだ……枯狸! 」
「は、はひっ! あわわわ……な、何とかしてみますぅ。み、皆ぁ新しいお団子持ってきたから落ち着いてぇぇぇ……」
シロは戦闘音の聞こえる店の裏手へと向かった。
しかし音はすぐに止み、到着した時には地にうつぶせの状態で倒れている青年と、それを見下ろすおばちゃんがいた。
「おや? シロ様ではありませんか」
「あ~……ちょっと待ってくれ、アチキも少し混乱していてな。……よし、おばちゃん何があったんだ? 」
「いえいえ、この御方が子供達と璃狐に手荒な事をした上に土地神だから勘定を払わないと来たものですので少し躾けを」
おばちゃんの少しとは此処まで相手をボロ雑巾のようにのしてしまう事なのだろうかとシロは思うが口には出さないで置いた。事情を説明すると彼女の顔色は急変……落ち着かせた後店の奥に寝かせた。
暫くして薬師組が到着する。
「すまん、お前たちの行き先を辿っていたら遅くなった」
「玄内テメェ……よくもあんな、うぷっ」
平白の顔色は真っ青、時折込み上げてくるモノを抑えるために口に手を添えたりしている。
そんな状態の友人をその場に座らせると玄内は青年を診始めた。
顔から始め、身体、脚……念のため瞳孔の確認等々、触診ではあるが異常が発生していないかを慎重に診ていく。
「……フム、今のところは異常なし。平白、お前さんの作った解毒薬はいつ効果が出る? 」
「うぷっ、は、半刻もすりゃ出るはずだが」
「だとしたらそろそろだろう。お前たちがアチキを———」
ボンッ!
「ぬぉっ?! 」「ギャァッ!」「ブッ! な、何事だッ?!」
突如爆発音が聞こえたと思うと青年は白煙に包まれた。
しかし煙はすぐに晴れ、その中からは静かな寝息をたてるマコトが現れる。
「すぅ……すぅ……」
「……戻った、のか? 」「戻った……な」
「はぁ~……この馬鹿主め、やっとか」
その後シロはマコトをおぶって神社まで連れて行く。
目覚めた主に対して事情を聴くが本人にその記憶は全く無いらしい。
青年時の性格はマコトの心の奥底に潜めていた鬱憤が人格を得たのではないかとシロは推測する。クロと協力して普段受けている依頼の内容を調べると村人のみでも解決できるようなモノが多く存在していた。マコトを社家住居で休ませている間に広場へ村人たちへ集めると、今回の原因を説明……依頼の内容はよく考えてから出すようにとキツク言い聞かせた。
※※※
その次の日、マコトは訳も分からず宿の手伝いをさせられていた。
「ん~……私何か悪い事したっけ? 」
「くぉらッスサノ! 飯をつまみ食いするなといつも言ってるだろ!! 」
「わ~んッ! だってお腹空いたんだもん~! 」
ドンッ
「うわっ……あ゛」




