第15話 悩む土地神は神界へ行く
さて化け狐の璃狐さんが倒れ、慌てる枯狸さんと私が取り残されています。
甘味が欲しいと言ってましたね……店に何か残っているかな?
「枯狸さんっ、ちょっとお願いしますね。店の中に甘いモノがないか探してきます」
「あわわ……ふ、ふぇ? ま、マコトさん?! 一人に―――」
おばちゃんは裏に入らないように言ってましたが、緊急です。しょうがないしょうがない、……後が怖いけど。
「さてと甘いモノはあるかな? 」
むむむ……入ったのはいいけど、見当たりませんね。 木製の机……調理場所でしょう。そこには白い粉が残ってて、他には木製の小さな入れ物と大小様々な陶器が几帳面に置かれてます。床には大きな布袋が3つ……中身は全部材料かな?開けてみると1つには小豆、残り2つには種類の違う白い粉が入っていた。
「こ、これは……砂糖? 」
一口舐めるとすぐに分かりました。いや、昔は砂糖はとても貴重なモノと聞いていたので不安だったんですよ。他にも醤油、お酢、お酒……味噌もありますね。多分おばちゃんの血液型はA型ですね、綺麗な台所だし、きっとそうですよ。
「鼈甲飴ならササッと作れそうですね、小さめの鍋を借りましょうか」
運が良い事に丁度良さげな金型も見つかりました、早く作ってしまいましょう。
鍋に砂糖と水を入れて……
※※※
「金型から取り出せば……できた! 」
おぉ……意外に綺麗にできました。でもおばちゃんはこの量の砂糖をどこで手に入れたんでしょうね?
この台形型の金型も、相当腕のいい職人さんが作ったんでしょう。全く漏れてないです。
おっと今はそんな事を考えている場合ではなかったですね、璃狐さんに渡さなくては。
「お待たせしました、べっこう飴です! 」
「え、えええっ! もうできたんですか!?」
まぁ今できる簡単なモノですからね、持ちやすいように竹串に刺してるので手も汚れませんよ。
少し多めに作ったので枯狸さんの分もあります。
「璃狐さん、コレを―――」
「グ……ゥ、ウウ? 」
あ、鼻がヒクヒク動いてる。 よっぽど甘いモノが好きなんでしょうか?
表情も苦痛の感じからダンダン緩んできてる……
「か、甘味ッ!! 」
「ウワッ!? 」
スパーンッ
と、咄嗟にビンタをしちゃいました。枯狸さんも驚かせてしまいましたね、すみません。
でも匂いを嗅ぐだけでここまで元気になるものなのかな?
「いッ……たいじゃない! それよりっ、早く甘味を!」
「す、すみません。いきなり動いたからビックリしちゃって」
「まったく……いただきます」
パクッ、ガリッ! ボリボリボリ……ゴクン
飴を奪い取られてしまいました、璃狐さんはすぐにかみ砕くんですね。竹串ごとボリボリと……ん?の、飲み込んだ。えっと……見なかったことにしましょう。
すぐに噛み砕くのは、たしか猪突猛進な性格だったかな? ちなみに私は最後まで舐める方ですよ。
「ふぅ、これで少しは持つわね。……で、あんた誰? 」
「ね、義姉さんっ、此処の土地神様だよ! 」
「ふ~ん、土地神様ねぇ……土地、神。 ……ほ、本物の? 」
あ~あ~あ~……徐々に顔が青くなってきてます。何も獲って食うわけじゃないですよ。
とりあえず落ち着いてもらいましょうか。
「だ、大丈夫ですよ。何も危害は……」
「あ、謝らないわよっ?! かッ、かかか神様が、こ、怖くてばばば化けるなんててて―――」
声、思いっきり震えてますよ。ほらほら小刻みに体まで……さて、どうしましょうか。
一度しっかり怒った方が良いのかな? でもなぁ、苦手なんですよねぇ、怒るの。
「だから落ち着いてくださいっ」
「義姉さんっ、マコトさんは優しい方だよ。大丈夫だから……」
「そ、そもそもアタシ達は生きてく為に……ウグッ?! も、もうダメ、なの……? 」
え、えええっ?! ま、また再発ですか!?
飴は……舐める余裕がなさそうですし、ああもうっ、何もできないのがもどかしいです!
「そこをどけっ、俺が診る! 」
「げ、玄内さん! 来てくれ―――」
「神なのに霊力で治療もできんのかお前はッ」
「ッ! 」
……グサリと来ました、よくよく考えればそうですね。
霊力を使って治療すれば彼女も少しは楽になっていたかもしれないのに私は……いや、落ち込むのは後にしましょう。今からでも―――
「そうだ、落ち込んでる暇はない。そこだけは解ってるみたいだな? 」
「落ち込んでても変わりませんから……でも」
「でも、なんだ?」
「……【霊力で治療】ってどうすれば良いのですか?」
「っておいッ! じゃぁ今やってるのはなんだ? ただ手をかざしてるだけには見えないが……」
ふざけてないです、大真面目です。こういった方法の治療のイメージはこれしかないんですよ。
両手を相手に向けてこう……治れ~って意識をするような、あれ? ほんのり暖かくなってきた気が……
「ほんとに分からねぇヤツだな、オメェさんは。口で言ってる事と真逆の事をしやがって……そのままやってろ、少しはマシになるだろう」
「は、はいっ」
~数分後~
私はそのまま治療を続けていますが、玄内さんは浮かない顔をしています。本で調べ、顎に手を当てて考えるの繰り返し……そして出てきた答えは
「コイツぁ俺には治せん」
「そ、そんな!? 」
「この馬鹿! 何を諦めてんだい? あんたらしくもない―――」
「無理なもんは無理だ、見てみろコイツの腹部を」
源内さんは璃狐さんの腹部を見せてきました。
やはり綺麗な肌をしてますね……いや、そうじゃなくて、どうやらお腹の部分に紫色の線が描かれてますね。線は丸く繋がって円状になってます、これはソフトボール位の大きさかな?
「この痣のような線、此処を押すと痛がる事しか解らんのだ。
煎じた薬も効果が見えんし、腹を開いてみない限りは……」
「は、腹を……開く?! きゅぅ……」
「うわっ、狸枯さん!? 」
玄内さんの言葉で気を失ったようです、さすがに辛いでしょう。
ソレを聞いてたおばちゃんが怒って、玄内さんと口論を始めちゃうし……どうしよう…………考えろ、考えるんだ、私。
「こぉんっの外道医者! もうちょっと言葉を選びな! 他に方法があるだろっ?!」
「んな事ぁ分かっとる! だが、できねぇもんはできん! 煎じた薬も効かんならどうする? 神頼みか?
コイツだってまだ新米なんだろ? もっと力のあるヤツだったら助かるかもしれんが―――」
「んなっ?! 玄内、アンタって奴はマコト様を……! マコト様は一生懸命に―――」
「―――事実だろっ! そんな建前だけじゃどうにもならん! 大体俺は……」
段々と激しくなっていきますが、途中からほとんど聞こえていません。
玄内さんの言葉の所為じゃないですよ、事実ですから。何も言い返せません、私の心はもうズタボロですよ。でも【もっと力のあるヤツ】という言葉のおかげで一つ閃きました。
「神界……そうですよ、あそこなら! おばちゃん、枯狸さんを頼みます! 」
行く前にシロ達にも伝えておかないと……えっと、式神さんに走ってもらいましょうか。
~神界 神界役場 ヤマト~
「さて、ミコトさんはどこにいるのでしょう……」
神界に到着後、真直ぐ役場に来たのは良いのですが何やら雰囲気が変ですね。
一般の方はいませんし、役場の皆さんはお疲れの様子……修羅場後みたい。
あ、ミコトさんがいました。
「あぁ……マコトさん……だったかしら? 今日はどうしたの? ハァ……」
「えっと、大丈夫ですか? 顔色があまりよろしくないようですが」
「ちょっと……ね、兄貴に用なら今は無理よ。仕事で外に出てるの」
うわ……陽光さんにもちょっと期待していたのに不在なのですか。
ん~、どうしましょう……
「地上で何かあったのかしら? 私で良ければ相談に乗るけど……はぁ」
「ミコトさん……実は―――」
「あ~待って。立って話すのもアレだし、私の部屋に行きましょう」
もしかしたら彼女に聞けば何か分かるかもしれませんね、狐璃さんの事……話してみましょう。
あっという間に1月も終わり、2月となりました。まだまだ厳しい寒さが続きますが気張っていきましょう!……え? 場所にもよる? そりゃそうですよ。
土地神ライフもなんとか更新。ど~も、KUMAです。
えっと調べてみると今月の14日で1年に…………ふぁッ?! い、1年も続いたの?!
しかしなぜにバレンタイン? 去年の自分に問いたい……。
1年間続けられたのも読んでくださる方々がいるからですね、本当にありがとうございます。
これからもこの『土地神ライフ』を楽しんでもらえるよう、精一杯頑張りますのでよろしくお願いします!!




