閑話1 明けましておめでとうございます
「ふぅ……これで明日の準備もほぼ終わりましたね」
一昨日には年末の大片付けも終わったし、やっとゆっくりできます。雪も深々と降る夜、明日の雪掻きは式神さんとクロ達に手伝ってもらいましょう。
ど~も、マコトです。今夜は大晦日……ヒノモト村はとても静かです、神社を除いてね。村の人達がお酒飲んでるんですよ、まったく神社をなんだと思ってるんでしょうか。
「さぁて……と、家に帰りま―――」
ゴツッ……
「イイ゛ッ!? 」
あ、足元をよく見ていませんでした。寒い時に小指は痛いです……
【灯りのお札】を使っているとはいえ倉庫内はホンノリ明るい程度ですし、気を付けないとね。
◆灯りの札
暗い所もこれがあればホンノリと照らしてくれる。
格が高いほど明るくなる。
マコトが使っているのは下から2番目の格、丙のお札。
「ッ~! イタタタ……」
「何やら大きな物音が聞こえたが大丈夫か、主殿?」
「ダ、ダイジョウブ……すぐ、行きますから」
「? まぁ与作達はもう家に帰らせたぞ、あれでは五月蠅くて眠れんからな」
え~と今の時間は戌刻? 十九時~二十一時のどれかなんですが、外は雪が降ってて月が見えません。
ほぼ感覚で判断してます……と言うのは冗談で、神界で勾玉に【刻の力】を頂いているんです。
いわゆる時計と同じ働きをするお札ですね、かなり助かってます。
◆刻の勾玉(格無)
神界の行き来に必要な勾玉に刻の力を宿らせたモノ。
昔の時間が分からなくてもこれがあればもう大丈夫。
腕時計を見るような感覚で時間が分かるぞ。
現在、マコトの目からは【戌刻:八時三十分】と見えている。
「マコト様~、シロ~? お蕎麦の準備が出来ましたよ~」
うぅ……まだちょっと痛いけど、お蕎麦の為なら我慢できます!
ゴンッ
「アダッ?! 」
※足元だけでなく前方も注意しましょう
無事倉庫を脱出後、温かいお蕎麦を食べ、3人で囲炉裏を囲んで談笑してました。村の人も少しずつ増えていき、今年も色々とありました……良い事も悪い事も含めて。さて明日は忙しいですし、早めに寝ましょう。
※※※
~ヒノモト村 神社~
「ん……寒い」
目を覚ますと、二人がいません。まだ外は暗いのですが、どこへ行ったのでしょうか……。
囲炉裏に火をつけて、暖まったら外へ行きましょう。
暗いのでまたぶつからない様に……
ガラッ!
「明けましておめでとうございます、マコト様。朝ですよ!」
「……おはよう、クロ。明けましておめでとう~」
「おお主殿、起きられたか。 雪掻きは終わったぞ」
開けられた戸の隙間から外の景色が見えますね、綺麗に掻いてくれたみたいです。
これならアレが出来ます。倉庫から道具を出しましょう。
「2人ともお疲れ様です、後の準備は私がしますのでゆっくりしていてください」
「そ、そんな事できません! 僕はまだ――」
「クロ、主殿が【休め】と言ってるんだ。ここはその言葉に甘えよう」
ん~……クロの仕事に積極的な所は良いんですが、真面目すぎるんですよねぇ。私に関係する事を最優先に考えてくれてるんですよ、でも時々怖い……。逆にシロはサッパリ、時折暴走するクロを抑えてくれますし助かります。ただサボり癖がたまに傷、イヤ基本は真面目ですよ? フラッと消えていつの間にか戻ってくる感じです。私が見かけたときは木の上でお昼寝してました。でもなんだかんだでバランスが取れてるし、問題はありません。
「そうですねぇ……じゃぁもち米を蒸すのとお湯の準備をお願いできますか? それなら家の中でもできますし」
「は、ハイっ! お任せください! 」
しゅんとしてたのに一瞬で笑顔に、もう可愛いなぁ。
シロはちょっとめんどくさそうな顔をしてたけど多分手伝うでしょう。
「昨日の晩には漬けておいたから大丈夫だと思うよ、じゃぁお願いしますね」
境内にちょっとしたモノを造らないと、式神さんに手伝ってもらえば日が昇るくらいには完成するかな?
私も少しずつ力をつけてるし、そろそろ【式神・乙】くらいは出せるようになったかもだし試してみましょう。
「さぁって、行きますよ~……式神召喚! ていっ!!」
両手に5枚ずつ持ってるお札は式神・乙のモノ。頑張って溜めた徳を使って買いました!
……何処って神界ですよ、役場内にお店があるんです。でも高いので10枚がやっとでした。
さて、式神さんは召喚できるのかな?
マコトの手から放たれた札は真直ぐ飛んでいき、ボゥッと火が灯り始めた。
彼女も一瞬期待したが、それはすぐに打ち砕かれることになる。
式神の札は人の形へ変化する事はなく、そのまま札は燃え尽きた。
「え……えええぇぇぇッ?! そ、そんなぁ……」
マコトはガクリと膝を着く。
それもそうだろう、大枚はたいて買ったモノがものの数秒で消え去ったのだから。
「はぁ、しょうがない。 まだまだなんだね、私も」
クヨクヨしても時間は過ぎるだけです、丙のお札で頑張りましょう。
べ、別に悔しくないですよ? ……(ノд-。)グスン
数時間後……
「よし、できたぁッ! 」
少し時間は掛かりましたが何とか完成。お祭りとかで見る事もあるアレ、ですよ。
後は軽く正月っぽい装飾を加えれば完璧ですね。
「登ってみると意外に高いんですね……やぐらって」
紅白の布は無かったので門松や、注連縄、破魔矢を飾りましょう。
そろそろ良い時間ですしパパパッといきますよ。
「式神さん、もう一踏ん張りお願いしますね! 」
『『『オオッ!! 』』』
今回も頼もしい方々で助かります、そろそろ人も集まってくるかな?
日もいい感じに昇ってきたし二人にも声を掛けましょう。
~神社 境内~
やぐらの周りには大勢の人々が集まっています。やぐら以外にも小さなお店のようなモノもできてますね、後でのぞいてみましょう。
『あ~、あ~……うん、大丈夫。 皆さん、やぐらの上から失礼します。まずは、明けましておめでとうございます』
「おぉ……土地神様じゃぁ」「ありがたやありがたや……」
「おめでとーございます、マコトさま~」「おめでとーマコトちゃん」
「コレッ! 土地神様に失礼じゃろうて! 」
あ~、別に大丈夫ですよ。
小さい子は無邪気な笑顔で、年配の方は拝む……うん、反応は様々。
結構ガヤガヤしているので【拡声石】という霊石を使わせてもらってます。
挨拶は省略させてもらいますね。
『―――と言うことで、今年もよろしくお願いいたします。
そして、今年も皆さんに福が訪れるようにあるモノを準備しました、クロ、シロお願い』
声をかけると2人はそれぞれ木箱を持ってきてくれました。
その中には半紙で包まれた大福がたんまりと、茶店のおばちゃんに手伝ってもらいました。
これをやぐらの上から撒こうと思ってるんです、再建した時にできなかった餅投げも兼ねて。
少し時間を掛けて説明すると最初は少し戸惑ってましたが、納得してくれたみたいです。
『じゃあ行きますよ~、それっ! 』
今年が皆さんにとって良い年になるように願いを込めて、そして私自身も精一杯頑張ります!
さぁ撒き終わったら次は餅つきですよ~、杵と臼、もち米も準備万端。
ペッタンペッタンついたらお雑煮にしましょう。いや、海苔を巻いて食べるのも良いですね……ん~、悩みます。
「マコト様よぉ~い、酒を持ってきただ~」
「「わっせわっせ……」」
おおッ?! 与作さん達が何か大きなモノが登ってきたと思ったら梱包された酒樽の様です。
4人でも重そうなのに……これは予想外。
「いやぁ完成が間に合ってよがった、この村の米で作った初めでの酒だ。皆で飲むべぇっ!」
『ちょっ……待ってください!』
「せ、せっかく出来たってのに飲まねぇのが? それは酷だど」
「んだんだ、マコト様さ最初に飲んでもらおうと思っでたのに……」
違いますよ、物事にはちゃんと順序があるんです。
まずは――
『ちゃんとお餅を搗き終わってからにしましょう、お腹にモノを入れないておかないとすぐ酔いますから』
「お、おお……んだなっ! 」
「お酒、僕ものみたい!」「私も! 」「オイも! 」
あやや……子供達には甘酒ですね、ちゃんと準備してますよ~。
数年前と比較すると大分賑やかになりました。私だけでなく、クロやシロ、村の人達と踏ん張った甲斐がありましたよ。良い事でなく、悪い事も含めて……ね。
さぁ、今年も頑張っていきましょう。ファイトです、私!
新年明けましておめでとうございます。
ど~も、KUMAです。
今年初の投稿したお話は、ヒノモト村がある程度大きくなってからのモノになっております。
登場人物もマコト、シロ、クロ……あと与作にその他モブ村人と今後のネタバレ要素は無いはず……無いよね?まぁせっかくの年明けなので閑話としてマコトたちにも新年を迎えてもらいました。前書きにも置かせてもらった自筆の絵を描いたときに考えていた事なので、思い切ってお話も書いてみました。
土地神ライフ中ではテレビ等の機械は登場しませんが、室町時代頃から炬燵はあったとか……。
いや~今年も無事更新できて良かった良かった。月一更新を継続できるように私も頑張ります。
出来れば各季節ごとのイベントのお話もいずれ書いてみようかな?
では今回はここまで、また次の機会にお会いしましょう。今年もよろしくお願いします!




