第14話 私に化けたのは誰?! 疑われる土地神
私たちの歓迎会……まぁお酒飲んでどんちゃん騒ぎしただけなんだけど、それから早くも1週間過ぎました。
その間、どこから聞きつけたのか外から来る人が多かったのです……皆さんの目的は新しい神社と土地神こと、私を見る事でした。いやまさかですよ、それだけの為に来るんですか? よく分からない。与作さんは勝手にアレコレご利益を言うし、たしか旅の侍さんには武道成就、家族連れには家庭円満、商売人には商売繁盛……etc。
そしてこの村には宿がないから3人掛かりで式神さんを使って急造、クロとシロがいてくれて助かりました。
2人にはそこの管理を任せています。1泊朝夕食事つきで500文だそうです。
料金設定を3000文と提案したら「高い、それではボッタくりになるぞ主殿」とシロから言われまして今の値段に落ち着きました。金銭感覚というより物価等が違うんですかね、陽光さん1文=1円って言ってたのに……。
あ、挨拶が遅れました。ど~もマコトです。
今の時間……6時位かな? 時計が無いから分からないけど多分それくらい。
ドンドンドンッ
「マコト様起きてくださいっ、もう卯刻を過ぎてますよ!」
誰かが起こしに来てくれたみたいです、時間も大体合ってる。
今日は確か……茶店のおばちゃんに会うんだったかな?
戸を開けると濃紺の着物で腰には前掛けを着けたクロがいました。仕事着その2と言ったところでしょう。
「……ん、うん。起きてるよ、おはようクロ」
「おはようございますマコト様、こちらをどうぞ」
これは竹皮に包まれたおにぎりですね、お弁当を作ってくれたみたいです。
「わぁ……ありがとうございます、宿の方はどうですか? 」
「今の所旅人が2人宿泊されています、食事の方は……」
簡単なモノですが食事も提供してます。神界から送られてきたモノもあるし暫くは大丈夫かな。神社が再建してから村の人たちの顔も変わった気がします、こう明るくなったというか……外の人とも交流するようになったからですかね?
話もソコソコにクロは宿へと戻っていきました、早く戻らないとシロにドヤされるとの事でした。
「育ててる作物の方も特に問題は無い……と、そろそろ私も行かないとね」
この感覚久しぶりだなぁ、仕事に行く前の忙しい朝って感じ。
おにぎりは2個あるから、1個はお昼に食べよう。
~ヒノモト村 茶店「甘味処 あまてる」~
この茶店、見た目はややボロボロですががちゃんと営業してます。
しかし今の所メニューは三色団子と汁粉だけとか……よく続いてるなぁ。店主のおばちゃんは普通の人間、なのですが、何と言うかこう不思議な凄みを感じるんですよね。
「おはようございます。おばちゃんいますか~? 」
「おぉ……マコト様、こんな寂れた店へ何をされに? また、ただ食いですかな? 」
……ん? なにやら風当たりが強いですね。 【また】とはどういったことでしょうか?
最初与作さんに案内されてからはほとんど立ち寄ってないのですが。
いやいや、ほら参拝客と言うか珍しいモノ好きな方々のお相手をしてて行く暇がなかっただけです。
ホント神社からまともに動けませんでしたよ、おそらくその間に何かあったのでしょう。
「ちょ、ちょっと待ってください! またってどういうことですか?」
「またまたそんな事を仰って……ここ数日、団子と汁粉を食してはいつの間にかいなくなるの繰り返しではないですか。今日こそ払ってもらいますよ、締めて500文。」
ホント身に覚えがない。
手元に50文しかないですし、全然足りない。どうしよ……
「無いようでしたら、身体で払ってもらうしかありませんな」
「へ……? お、おばちゃん、待ってください。顔がこわ―――」
~少々お待ちください~
「いらっしゃいませ~、今お茶をお持ちしますね」
「お~い嬢ちゃん、こっちに団子3つ頼むぜ」
「は、ハイ、少々お待ちくださいっ」
服を着替えさせられてお店を手伝う事になるとは……でも意外に賑わってますね、此処。
村の人以外にも旅の方が結構来てますよ。風来人や飛脚、お侍さん、虚無僧……うん、忙しいです。でもホントに私が来たのでしょうか? 確かに女性もたまに来ますが……
「はい、お団子3つ。お待たせしました」
「なぁ嬢ちゃん、見ねぇ顔だが此処のババァはどうした? くたばったか? ガハハハッ!」
「い、いえ、とても元気です。今日はチョットお手伝いで来てるんですよ。 おばちゃんは裏で団子を作っています」
「そうかそうか、俺ぁ旅の者だがこんな旨い団子は食った事ねぇ。久しぶりに来てみたら味が変わったからよぉ、てっきり嬢ちゃんが作ったモンかと思ってたぜ」
中々豪快な笑い方をする旅人さんですね。現世での工場長に似てます、あの笑い声好きだったなぁ……。
おっと今はそれどころじゃなかった、お仕事お仕事。おばちゃんが串を投げようとしてるのも止めないと。
「あ、あの~……」
「おばちゃん待ってっ、その串の持ち方は普通じゃない。ヤったことのある構えだからっ! 」
「おおぅっ?! 尋常じゃねぇ殺気だな! 元気そうで何より、勘定は置いとくぜッ! 」
あ、皆さん一斉に凄い勢いで逃げてった。お勘定は……それぞれ丁度ありますね。
そういえば今誰か来てました? 後ろで声が聞こえた気が、見てみましょうか。
「まったくもう……あ、すみません。お待たせいたしました」
「えっと団子と汁粉を1つずつ……あ」
「ほぇ? えええぇぇぇっ?! 」
ふ、振り向いたら全く同じ顔の人が!
服は違うけど……え、まさかこれって……
「あ、いや、えっと……ほんも――― 」
「うわぁっ、ソックリさんってホントにいるんだぁ! 凄い凄いっ」
「そ、そっくり? ……(気づいてないの?)」
「おばちゃ~んっ、汁粉1つと団子1本! 」
「……はいはい、マコト様も一旦休んでもらって大丈夫ですよ。お団子でも食べて一息ついてくださいな」
いやぁまさかこの世界で自分のソックリさんに会えるとは思っていませんでした。
でも地球上の何処かには3人位いるとも言いますし、せっかくですので休憩ついでにお話ししましょう。
「ちょっと待っててくださいね、すぐにできますから! 」
「は、はい」
※※※
「汁粉と団子できましたよ~」
「は~いっ」
さてさてソックリさんは……っと、いました。
長椅子の端っこに座ってますね、気の弱い子なのでしょうか?
こちらからコミュニケーションを取りましょう。
「お待たせしましたっ、えっとあなたの名前は? 」
「えぇっと……」
「あっと、ゴメンなさい。私、自分のソックリさんと会うの初めてで……興奮しちゃいました。
名乗るときは自分からでしたね、私はマコトと言います」
「こ、こり。枯狸と言います」
名前はさすがに違うみたい、どうやらこの娘は村の外から来たようです。
でも近くに村なんてあったかな? とりあえずツッコまないでおきましょう。
しかし女の子が一人で歩いてきたなんてタフだなぁ。
「……そうなんですか、この村の神様と会いに来たと」
「は、はい。びょ、病気の姉がいまして……」
本物の神様が目の前にいるんですがねぇ、後で言ってみましょう。
しかしこの娘、変なモノが出てます。薄っすらと丸い耳と尻尾が、何かに憑かれてるのかな?
「気のせいかな……ちょっとゴメンね? 」
「えっ?! な、なにを―――」
あ、動揺したからなのか色が濃くなった。本物にも見えますが一応確認してみましょう。
「おお、触れた。本物だ、これはなんの耳だろ……」
「い、いや……ちょ、ちょっと……んん?! 」
モフモフモフモフモフモフ
……やってしまいました、気づいたら尻尾まで堪能してました。
彼女が座っていた場所にはグッタリとしている狸が1匹、何事ですか?
「あ、あれ、なんで狸が? でも気持ちよさそうな顔してる」
「マコト様いつまでお休みに……おや先ほどまで一緒にいた娘は? 」
「実は―――」
おばちゃんに状況を説明、と言っても【枯狸】と名乗った女の子がいつの間にか狸になっていただけなのですが……しかしそれで納得してくれたようです。
「なぁるほど、娘の正体は【化け狸】。 お手柄ですよマコト様」
「うぇえっ?! もしかして」
「しばらくの間マコト様に化けてたのはコイツでしょう、さてさて……どうしたものか」
おばちゃんも殺生は好まないようです、まぁ私も嫌ですがね。
それに檻の中からそんな瞳で見つめられたら出来ませんよ、今の状態で言葉は通じるのかな?
「あの枯狸さん、どうして私に化けたんですか? 」
『キュゥ……』
「むぅ、話せない。 じゃぁ頷くだけでもいいですよ、私に化けましたか? 」
コクリッ
化けてたんですか、ちょっと残念。
すぐに人に化けれるかと聞いても同じでしたので、いったん檻から出してみましょう。
逃げられないかって? ……大丈夫でしょう、逃げ出そうとしたらおばちゃんがいますし。
「いったん出しますが、逃げないでくださいね? 私もおばちゃんを止められそうにないので」
「脚に穴を増やしたくないなら……それが賢明ですねぇ」
『!? 』
いやおばちゃん、構えないでください。怖いです。
さて、いったん出してあげるとその場で宙返りをして人の姿に変わりました。
私の姿ではなく本来の自分の姿なのかな?
耳と尻尾はもちろん、焦げ茶の髪は目元付近まで伸びていてソバカスが顔にあります。
頭に葉っぱは無いのですね……。
「そ、そのっゴメンナサイ! 貴女が神様とは知らずにこのような……」
「ん~まぁ私の疑いが晴れたので大丈夫ですよ。それよりなんでこのような事を? 」
「あの……それは、えぇっと……ひぃっ?!」
だからおばちゃん、串を構えないでってば。
しかし言いたくないのでしょうか、もしかしてさっきのかな?
「……お姉さんですか? 」
「ッ!? う、嘘だと思わなかったんですか? 私が狸なのに」
反応的にも本当の事らしい。
なんとなくとしか言えないんですよねぇ。
「びょ、病気も本当で、その……あ、甘いモノを食べると元気になると言ってたので、ゴメンナサイっ! 」
「でも理由はどうであれ食い逃げは悪い事ですし、どうしよう……」
カッチリ90度に頭を下げられるとさらに困ってしまう。
おばちゃんは騙されてると思って串を構えてるし―――
『頭を下げる事は無いぞ、枯狸よ!』
うわ、びっくりした。茶店の上を見ると白い狐のお面をした人が立っていました。
服装はチョイと胸元を広げたセクシーな着物……丈が短いですねぇ、くノ一さんなのかな?
「だ、誰ですか? 突然現れて―――」
『黙れっ、そして聞けぃっ! 村人を騙すうつけ者よ!! 』
「あれは……」
突然現れて人の事をうつけ呼ばわりするとは、失礼な人ですね。
枯狸さんが何か知ってるようですし、ちょっと聞いてみましょう。
「枯狸さん。あの方を知ってるのですか? 」
「えっとその……わ、わたしの義姉です」
『違うぞ枯狸! 私は義姉の璃狐ではない!! 我は―――』
よく分からない台詞が沢山……あ~、病気ってソッチの方かぁ、とても面倒くさい人なのかなぁ。
でも名前を言っちゃうあたり少し抜けているのかも。
「えっと、璃狐さん。そこから降りてもらえませんか? 」
『断るッ! 貴様……今すぐ成敗してくれようぞ!! 』
「いや……おばちゃんが今にも串を投げそうなので、あ―――」
時すでに遅し、放たれた串は狐のお面へ刺さってしまいました。
眉間辺りに刺さって屋根から落ちましたが、大丈夫かな?
「い、いきなり何をするの?! 危うく死ぬところだったじゃない!! 」
おぉ、立ち上がった。串はお面で止まってくれたみたいです。
「チッ……仕留め損ねた」
「ちょっ?! 待った、なんか素の顔が出てます。抑えて抑えて」
おばちゃんさっきと言ってることと違う。ホントにヤる気の目ですよ!?
「グッ?! ウググッ……」
「義姉さん?! 」
今度はなんですかお腹を抑えて、今はおばちゃんを抑えることで精一杯なんですが。
「イタタタッ?! ちょっと……なんでこんな時に、ツゥ~っ!」
いや様子が変ですね。
途中、封印された云々と言うかと思ったのですが……2人揃っての演技ではないようです。
その場に蹲ってしまいました。
「おやおや、様子が変ですね。マコト様、玄内を呼んできますので見ていてください」
「ええっ?! ちょっと何をすれば―――」
おばちゃんはササッと行ってしまいました。
残されたのは私と枯狸さん、蹲る中二病じみた人……どうしよう
「か、甘味を……」
「あ、えっと、手持ちにはおにぎりしか……」
「グフゥ……」
あ、力尽きた。
もう今月で今年も終わるのか、なんかあっという間だったなぁ……。
ど~もKUMAです。
いやいや、先月も中々バタバタしてましたが何とか更新することが出来ました。
そして最近一気に冷えましたね、もう布団や炬燵から出たくないほどですよ。
雪もジャンジャカ降ってきそうですし……除雪作業したく無いなぁ。
さて、今回のお話では新しいキャラが出ました……出しちゃいました。
ホントは狐と狸のどちらかをと悩んでたのですが、「ええぃ、両方出しちゃえ! 」とほぼ勢いで決まりました。前編はここまでで、残りは後編をお楽しみに……。
そして13話の後書きで話していた月2回更新について。
うん……中々書き溜めができません。
企画の作品の方も同時に進めてるのでやはり難しい……ので、やはり月1更新となります。
報告は以上……じゃなかった、Twitterの#うちの子によその子の物真似をさせてみるというタグにて、東雲小實都(http://mypage.syosetu.com/277851/)様よりイラストを描いていただきました! 東雲小實都様の作品、「銀河連邦軍特務第一小隊」の登場人物が「土地神ライフ」の……おっと、後は見てのお楽しみです。東雲小實都様、再度お礼を申し上げます。ありがとうございました!!
今度こそ報告は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。また次の機会に、ではでは~




