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落下の9


車椅子で機体の前まで運ばれた。

肉眼で見ると意外と小さい。

アオちゃんが機体の側面のノブを回すといとも簡単に機体が開く。

「わ。」

「ふふ。びっくりしました?」

びっくりした。機体の中は低反発素材のみ。開いたドアの内側もそうだ。この間にサンドイッチの様に挟まって固定されていただけだったのか。

もっとこう、ベルトとかでぐるぐる巻きだと思っていた。身体はとても安定していたし、高性能なコックピットなのだろう。


アオちゃんはこっちを向いてにっこり微笑む。


「それでは服は脱ぎましょうか。」

「え?」

「ですから、服を脱ぎましょう?」


突然女の子に服を脱ぎましょうと言われた。知ってるぞ。これはあれだな?美人局的なやつか?脱いだら最後、ハガネさんにぼこぼこに殴られるやつか??

そういえば自分とアオちゃんの機体を起動してくると言いどこかへ行ったきり戻ってこない。はやく帰ってきてくれ。あなたの娘に剥かれる。


「空さん?何かいやらしいことを考えていませんか?」

「どちらかというと恐怖心のほうがつよいかな。」


アオちゃんはほっぺたをブーと膨らませる

「ひどいです!抗議します!!」

「あはは。冗談だよ。」

「私の尊厳のため、懇切丁寧に説明しますね!!」


アオちゃんは突然服を脱いだ。

白いtシャツもひらひらのスカートも何の躊躇いもなく。


可愛い服の下に現れたのは、身体のラインがくっきりわかるボディスーツだった。おへそ等の凹凸までわかる薄さ。

アオちゃんはまだまだ未発達と言った身体つきだが、逆に艶かしく感じられた。

そしてスーツには血管の様に赤色の線が張り巡らされている。


「ごくり。」

生唾を飲む。正直に言おう。えっちだ。


「本当はこういったスーツを着用した上で機体に乗り込むのですが…あの、今、私のことえっちな目で見ましたよね?」

「はえ?いやいやいや!!みてないよ!?みてない!」


僕は必死で否定する。


「空さん?顔が真っ赤ですよ?まあ、いいです。冗談はさておきです。私達は機体から降りての空中戦闘を想定して、バトルスーツを機体の中に用意するのですが、これはそのインナーなのです。」


バトルスーツ…ハガネさんが傀儡と戦った時に着ていたものだ。空中での機動力を補助する外骨格という感じだった。

というかアオちゃん、「冗談はさておき」とクールな対応だけど、耳が真っ赤だ。恥ずかしいなら脱がなくていいのに。


「さらにですね、このボディスーツを介して機体のコンピューターにバイタルサインを確認してもらったり、このスーツ自体に動作補助機能がついていたりするスーパーなアイテムなのです!」


鼻息をふんすと鳴らしてアオちゃんは自慢気な顔。


「つまり、僕もそのスーパーなスーツに着替える為に脱がなきゃないんだね。」

「違います。」

「違うの!?」

「はい。空さんには全裸でこの機体に乗ってもらいます。」

「全裸!?」

「はい。スーツが無いので全裸です。定石です。セオリーです。普通のことなんです。さあ脱ぎましょう?」


どうしても脱がせたいんだな。この娘。

「はっ!破廉恥!助けてハガネさーん!!」


ガチャりとドアが開く。

「なにやってんだお前ら?」

丁度ハガネさんが機体から戻ってきた。

僕は上半身をアオちゃんに脱がされているところだった。


「なにやってる!!!」

めちゃくちゃデカい声でハガネさんに怒鳴られる。

「ひええ!違うんです!違うんですハガネさん!!」


「この馬鹿娘ぇ!」

「え?」


怒鳴られたのは僕ではなく、アオちゃんのほうだった。

アオちゃんは先に機体に乗っていろ!とまた怒鳴られ部屋から放り出された。


「すまなかったな、空。」

「い、いえ…。」

「気絶したお前を下ろす時…拘束して連れてきた時だな。その時はお前が全裸で機体に乗っているのがわかっていたからアオギリは部屋の外に出していたんだ。16歳とはいえまだまだ幼いからな。その…父親としては娘に見せたくないものもあったし…。」

「いえ、仕方がないでしょう…。」

「だが逆に興味をもってしまったみたいでな。まさか俺がいないうちに剥きにかかるなんてな。」


なるほど。大体わかった。アオちゃんの気持ちもわからんでもない。


「ちなみにシュロのほうはばっちり見たぞ。」

「ええっ!!」

「あいつは20歳だから大丈夫だと思ったんだが…顔を真っ赤にして喚き散らしてたな。初めて見たそうだ。あんなに取り乱すと思わなかった。」

「その報告いります??」


ハガネさん曰くアオちゃんよりウブっぽいそうだ。あんなに凛とした感じなのに意外だった。


「まあいい。とりあえず乗るぞ?15分後に迎えに来る。そしたら出発だ。機体の設定終わらせとけよ?」


服を脱がされて機体に放り込まれた。


【codeーユーザー設定】

「ゲストユーザーの搭乗を確認しました。設定を開始します。ナノマシンへのアクセスを許可してください。」

「えっと、許可します。よろしく。」


【codeーコマンド権の解放】

「コマンドを一部譲渡します。ゲストユーザーのコマンド権では一部の機能は使用できませんのでご了承下さい。」

「うん。わかった。」


【codeー感覚のリンク】

「外部情報及び外的感覚のリンクを開始します。宜しいでしょうか?」

「オッケー!」


視覚が開ける。360度見渡せるようになった。身体の感覚も機体とリンクして大きくなった感じ。

桜華に乗っていた時の感覚と同じだ。

それにしてもこの機体のAI、あまりしゃべらないな。シャイな娘なのかな。


突然ゴウンゴウンと地響き。大地が無いから地響きではないんだろうけど、建物が揺れている?


「わわわ!?落ちる!落ちる!」


ゆっくりと床が開いていく。隙間からは大空が見える。

機体はズルズルと重力に負け斜めになった床を滑り落ちていく。

そして完全に外に放り出された。


「準備は出来たか?さあ出発だ。」

「遅いですよー!空さん!」

落ちた先には二台の機体。ハガネさんとアオちゃんだ。

「今3台の機体はパーソナルな回線で通信している。ま、色々話しながら行こう。まずは補給所だ。」


僕の手足をつける計画が始まった。


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