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精霊育成師の世界旅行 作者:早秋

第3章 水の大精霊

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(14)契約精霊の扱いと到着

 シロが見つけた場所へと向かい最中に、ミカエラがしみじみとした様子で言ってきた。
「探し物をするには、やっぱり契約精霊が便利よねえ……」
「いや、どうだろう? 精霊全部がそうだとは限らないんじゃ? たまたま自分が持っている『精霊の宿屋』が必要だから、そうなっているだけで」
「やっぱりそうかなあ……?」
 シゲルの答えに、ミカエラが残念そうな顔でため息をついた。
 ミカエラは契約精霊を持っていないが、契約をしようと思えば寄って来る精霊がいないわけではない。
 今まで持っていないのは、わざわざ契約で縛らなくても多くの精霊から力を貸してもらえるためだ。
 勇者のいるパーティに入っていて、最後まで生き残ったのは伊達ではないのだ。

 シゲルの場合は、『精霊の宿屋』でずっと使うためには、精霊と契約をしなくてはならない。
 それに、三体の精霊が最初から契約を結んでいたので、それに対する悪いイメージもシゲルは持っていなかった。
 ところが、ミカエラの中には、精霊を契約で縛るということに悪いイメージが、少なからずあった。
 エルフでも精霊と契約を結べる者は結んでいる者がほとんどだったが、ミカエラは契約を結ばないことにこだわっていた。
 勿論、そうした上で、エルフ随一と呼ばれる実力も持っていたためだが、シゲルと契約精霊たちの関係を見て、そのイメージも払しょくされつつあった。

 ミカエラには、身近にいる他の契約精霊持ちの者たちは、どこか精霊に無理をさせているという思いがあった。
 実際にはすべての契約精霊持ちが、そんな扱いをしているわけではないのだが、イメージが先についていたミカエラは、どうしてもその色眼鏡が取れなかったのだ。
 こうしてシゲルと一緒にずっと旅をするようになって、結果的に契約精霊たちの様子を見られる状況になって初めて、ミカエラは契約精霊に対する悪いイメージが薄れていった。
 中には、契約をした上でおかしな扱いをしている者もいるが、全てがそうではないと、ようやく実感を伴って理解をできて来たのである。
 そのため、先の台詞に繋がるのだ。

 シゲルに甘えてくるように体をこすりつけるようにしてくるシロを、ミカエラは羨ましそうに見ていた。
 その様子からは、どう見ても嫌々従っているようには見えない。
 しかも、目的地に向かって歩きながらそれをやって来るのだから、相当だということが分かる。
 それなりの数の精霊使いと契約精霊を知っているミカエラだが、ここまで甘え切っている(?)契約精霊は見たことがなかった。
 シゲルと契約精霊の関係は、見ようによっては親子のようなものにも見えなくはない。
 だからこそミカエラは、自分も契約精霊を持とうかという気持ちが、多少なりとも湧いてきていた。

 憧れのようなため息を吐くミカエラに、フィロメナが笑いながら言った。
「ミカエラが契約精霊を持ったとして、シゲルのような関係になれるかは別だしな。まあ、ミカエラならどうとでも出来るとも思うが」
「そうよね。それに、シゲルみたいな精霊を育てるなんてことが、出来るのかしら?」
 フィロメナに引き継いで行ったマリーナが、首を傾げながらそう言った。
 『精霊の宿屋』を通して契約した精霊は、スキルやランクの成長がある。
 それが、他の精霊使いの契約精霊に適応されるかどうかは、わかっていない。

 そもそも、精霊にそんな能力の振り分けがあるなんてことは、ミカエラも知らなかった。
 勿論、精霊が行使できる力によって、人側が勝手につけたランク付けはあるが、そこから成長するなんて事例は聞いたことが無かった。
「シゲルの契約精霊だけがそうなのか、それとも他の契約精霊も同じなのか、微妙なところね」
 ミカエラも悩ましい顔になって頷きながらそう言った。
 契約精霊を持つことで、契約者が能力的に大きく成長することは知られているが、契約者が成長したためなのか、精霊が成長したためなのかは、詳しく検証されたことはなかった。
 基本的には、契約者が伸びたと思われているためだが、シゲルの契約精霊のことを知ってしまえば、その考えも改めなければならないとミカエラは考えている。

 ミカエラの言葉を聞いて、マリーナが考えるような顔になって言った。
「そもそも、シゲルの『精霊の宿屋』に行っている精霊と契約を結ぶことってできるのかしら?」
「さあ? それはどうなんだろう? というか、そもそも『精霊の宿屋』に出入りしている精霊って見ることが出来るの?」
 少なくともシゲルは、契約精霊以外の精霊が出入りをしているところを認識したことはない。
 『精霊の宿屋』に来ている精霊は、一体どこから出入りしているのかという疑問はあるが、見たことが無いのだからどうしようもない。

 そんなシゲルの疑問に答えたのは、少し驚いたような顔になったミカエラだった。
「えっ、気付いていなかったの!? 時々だけれど、シゲルの傍に近寄って消えたり、いきなり現れてどこかに行ってしまう精霊がいるよ?」
「そうなの!?」
 ミカエラの説明に、シゲルは本気で驚いていた。
 シゲルが『精霊の宿屋』の外で見ている精霊は、契約精霊たちだけだったので、そんなことになっているとは思っていなかったのだ。
 ミカエラも、シゲルが精霊の姿を見れていないことには気づいていたが、近寄っている精霊がいることまでは話していなかった。
 むしろ、当然シゲルは気付いているものだと考えていたのである。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 シゲルたちがそんな会話をしているうちに、いつの間にか目的地に近付いていた。
 これまで魔物も出て来ることもなかったので、のんびりと会話ができていたのだが、きちんと周囲の確認はしながら進んでいた。
 結果として魔物が出てこなかったというだけの事だった。

 それはともかくとして、シロが見つけた人工物(?)がある場所に着いたシゲルたちだったが、一同揃って首を傾げていた。
「これのどこに、人工物が?」
 見える範囲には背が高めの草木くらいしか見当たらなかったフィロメナが、皆を代表してそう聞いて来た。
「えーと、ちょっと待ってね」
 同じように人工物など見つけられなかったシゲルは、早々に自分で探すのを諦めて、シロに聞くことにした。

 シゲルが問いかけると、シロはパッと駆け出すようにある方向へ向かった。
 そして、シゲルは慌ててゆっくり行くように言った。
 この辺りはシロが埋まってしまうほどに草木が生い茂っているので、すぐにその姿を見失ってしまいかねないのだ。

 そんなシロは、シゲルたちが立ち止まっていた場所から十メートルも進まないうちに、ピタリとその歩みをとめた。
 その場所で、わざわざシゲルたちを振り返って、一生懸命に尻尾を振っている。
 思わず撫でたくなるくらいに可愛い仕草だったため、シゲルは褒めてあげるだけだからと言い訳をしつつ、シロの頭を撫で繰り回した。

 そのシゲルとシロの様子を横目で苦笑しながら見ていたフィロメナだったが、すぐに真顔になった。
「そこに何かがあるのか。……前回のように、分かり易く祠があるわけではないようだが?」
「そうみたいねえ。少なくとも見た目では……あら?」
 フィロメナの言葉を引き継いで、頷きながら言っていたマリーナだったが、ふと違和感を覚えて首を傾げた。
「ちょっと、ミカエラ。そこらあたりに、精霊の力を感じない?」
「ええ? ちょっと待ってね。そんなものどこにも…………あるわね」
 ないと言おうとしたミカエラだったが、少し間を空けてからそう答えた。

 さらに詳しく調べていたミカエラは、感心したような顔で続けた。
「凄いね、これ。意識すればそこにあると分かるのに、そうでなければ気付かないような隠蔽の魔法がかかっているわ。使っている力自体はとても強いはずなのに、全くそのことに気付かせないなんて……」
「そうみたいね」
 ミカエラのいう事に納得できたのか、マリーナも頷きながら同意した。

 ミカエラとマリーナほどに結界には明るくないフィロメナは、唸るようにして言った。
「それほどの魔法がかかっているのか。ますます大精霊がいるという信憑性が上がってきたな。……それで? 解くことはできるのか?」
 結界の中に入るには、魔法を解かないと入ることができない。
 その大前提のもとにフィロメナはそう聞いたのだが、すぐにミカエラとマリーナは首を左右に振った。
「わざわざ解く必要はないわね」
「この結界は、ただ単に気付かせないようにしているだけで、通るのを阻んでいるわけではない……ううん。もっと正確に言えば、結界があることに気付いた者だけが通れるようになっているみたいね」

 マリーナがそう付け加えると、フィロメナは呆れたような顔になった。
「こんな場所に、随分と高度な魔法を……いや、こんな場所だからか?」
 今シゲルたちがいるところは、村から歩いて数時間も離れていない場所だった。
 だからこそ、目の前にあるような高度な結界が必要だと考えるのは、自然のことだろう。
 勿論、それほどまでにして隠したいものがあるということが前提にあるのだが。

 とにかく、攻撃的な手段を取らなくても大丈夫だとわかったため、シゲルたちはそのまま結界を通り抜けた。
 すると、目の前に以前と同じような建物が出て来た……わけではなく、小さな銅像が一体建っていたのである。
(業務連絡)
マリーナの登場時の名前がマレーナになっていました。
今後はマリーナに統一いたします。
混乱させて申し訳ありませんでした。

※この業務連絡は、明日の更新分にも載せます。
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