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精霊育成師の世界旅行 作者:早秋

第9章 XXXX

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(7)二種類の精霊

 この世界で特級精霊は、上級精霊では手も足も出ないが大精霊には及ばない存在とされている。
 非常にあいまいな言われ方をしているが、それも無理はない。
 理由は簡単で、そもそも特級精霊を契約できた者など歴史上一人もいないとされているためだ。
 上級精霊よりもさらに上の精霊はいると認識されているが、よくわからない存在なのである。
 そういう区分で言えば、大精霊も特級精霊の一部と言えるかもしれない。
 もっとも、大精霊の場合は、上級精霊を超える存在を使っているという言い伝えや目撃証言があるため、特に分けて考えられているのだが。
 シゲルもラグたちが進化する前に、特級精霊だと思われる存在と会っている。
 ディーネから借りたアビーの日記を返す際に会ったあの精霊である。

 そんな特級精霊三体と契約することになったシゲルは、自分を見てくるラグたちを見て、さてどうしようかと考えた。
 こと精霊に関しては、約一名から鈍感だのとさんざん言われている。
 ここでラグたちのことを遅れて知らせれば、またなにか言われるに違いない。
 腕を組みながらどうするかとしばらく悩んでいたシゲルは、ふと何かを思いついた表情になってからリグを見た。
「悪いんだけれど、ミカエラのところに行って来てくれるかな?」
 シゲルからそう言われたリグは、一度目をパチクリとさせてからクスリと笑った。
「わかった。私の好きにしていいんだよね?」
「そういうこと」
 リグの問いかけに、シゲルは頷き返した。
 そして、それを見たリグは、すぐにその場から離れて行った。

 リグは、いたずら好きの面があるので、真面目に調査をしているミカエラと会う際には、さぞ劇的な登場の仕方をしてくれるはずだ。
 それを期待してのシゲルの人(精霊?)選だったが、ラグは不安そうな顔でリグを見送っていた。
「よろしいのですか?」
「構わないよ。普段、さんざんやり込められているから、その意趣返しでもあるし」
 別に恨みに思っているわけではないが、たまには精霊を使って反撃をしても罰は当たらないだろうとシゲルは考えている。
 後で仕返しをされるかもしれないが、その時はその時である。

 ミカエラへのいたずらを仕掛けたシゲルは、そのまま特級精霊の能力を確認することにした。
 『精霊の宿屋』のメニューを開いて、まずはラグのステータスを確認してみる。
「あ、ランクがなくなっている」
 思わず言葉に出してしまったが、最初に目についたのはこれまであったランクがなくなっていることだった。
 特級精霊は特級精霊のままで、それ以上の変化は起こらないらしい。
 いい方に考えれば、特級精霊は精霊の中でも特別な存在として一括りにされているということを表しているのかもしれない。
 もっとも、大精霊という存在がいる以上は、特級精霊の中でも能力に差があるのは、紛れもない事実である。

 ここから先は、見てすぐわかるような変化ではないのかと内心で首をひねりつつ、シゲルはさらにスキルもチェックした。
 すると、これまであったスキルが軒並み伸びている以外に、特級精霊になって新しく覚えたものも見つけることができた。
 それはスキル「指揮」というもので、これが先ほどラグが言っていた他の精霊を従えることができることと関係していると思われる。
 スキルは変わらず初級などの区分けがあるので、これを伸ばすことで従えることができる精霊の数も増やせるのではないかとシゲルは予想した。

 
 一通りラグたちのステータスを確認したシゲルは、改めてスキル「指揮」のことについて考えた。
「従えられる精霊って、どれくらいなのかな?」
「どうでしょうか。やってみないと分かりませんが、今のところ十体くらいが限界だと思われます」
 試してみないと分からないと言ってきたラグに、シゲルはやってみてとお願いをした。

 だが、そのシゲルに対してラグは首を左右に振った。
「ここではできません」
「どういうこと?」
「私たちが従えることができる精霊は、『精霊の宿屋』で生まれた精霊だけのようです」
「え? そんな区別ってあるの? というか、あっちでも精霊って生まれていたんだ」
 改めて出てきた新事実に、シゲルは驚きの顔になった。

 そのシゲルを見ながらラグがさらに続けて説明をした。
「特級精霊になったからこそ分かったことなのですが、『精霊の宿屋』で生まれた精霊は、こちらのものとは明確に区別されているようです」
 そう前置きをしてから、ラグはさらに説明を続けた。
 それによれば、『精霊の宿屋』は、少なくとも精霊にとっては「世界」が違っているそうだ。
 ただ、世界が違うといっても、もとの素材となっているのはこちらの世界の物なので、大きな違いがあるわけではない。
 それでも精霊たちには、別世界だと感じ取れているようである。

 それは、シゲルが精霊に対して行っている契約でも違いがみられるということだ。
「私たちは、『精霊の宿屋』に紐づけられて契約をしていますが、大精霊の方々は違っています。あくまでもこちらの世界の法則によって、契約されているのです」
「あー、なるほど。そんなところにも違いがあるのか」
 シゲルの中では、以前から大精霊は区別して考えていた。
 その理由は単純で、『精霊の宿屋』には大精霊の名前は登録されていないためである。
 シゲルは、その理由が契約の仕方の違いのせいだと考えていたのだが、もっと違った基準があったようだ。
 単純に、シゲルが大精霊と契約をしたときは、まだ『精霊の宿屋』に来ていなかった。
 他の契約精霊たちは、最低でも一度は『精霊の宿屋』に来ている者たちだったため、きちんと登録がなされていたのである。

 大精霊と他の契約精霊の違いを理解したシゲルは、ラグを見ながら言った。
「それじゃあ、あとはもういいから、それぞれ従えられる精霊を連れて、それぞれの仕事に戻ってね」
「畏まりました」
 シゲルの言葉に、ラグはそう答えながら頭を下げて、シロは尻尾を大きく左右に振った。
 続いてシゲルが指示したのは、ラグが引き続き護衛で、シロは『精霊の宿屋』での管理だ。
 ただし、シロの場合は管理するといっても、外敵の対処が主になるのだが。

 
 初期精霊三体の進化に関してひと段落したシゲルは、再び遺跡に関する調査へと戻った。
 そして、いくつかの書籍を漁っていたシゲルだったが、その途中で大きな声に阻まれた。
「ちょっとシゲル! どういうことよ!?」
 ババーンという効果音が尽きそうな声と態度でシゲルがいる部屋に来たのは、リグと一緒に来たミカエラだった。

 やっぱりこうなったかと内心で苦笑したシゲルは、しおりになりそうなものを読んでいたところに挟んでからミカエラを見た。
「どういうこともなにも、前からリグたちが進化するって話は、していたよね?」
 シゲルは、フィロメナたちに、結晶石について話をしたときに進化についての話はしっかりとしていた。
「そうだけれど!」
 それでも納得いかなかったのか、ミカエラはそんなことを言いながらさらに詰めよってきた。

 さすがにこれ以上は近づきすぎると判断したシゲルは、両掌をミカエラの向けてどうどうという仕草をした。
「まず落ち着こうか。そして、なにが言いたいのかちゃんと言ってね」
 今のままだとシゲルもミカエラがなにを言いたいのかわからずに、ただ怒鳴られる(?)だけで終わってしまう。
 シゲルは、黙秘権を貫くつもりは全くないので、聞かれたことにはきちんと答えるつもりだった。

 シゲルの態度からそのことが分かったのか、ミカエラは一度大きく深呼吸をした。
「そ、そうね。少し落ち着いて……って、落ち着けるかー!」
 一度は深呼吸する様子を見せたミカエラだったが、再び爆発した。
「特級精霊に進化したのは前に聞いていたのでいいのよ。あと、リグが悪戯を仕掛けてきたのもね」
 そのミカエラの言葉を聞いて、シゲルは内心でいいんだと考えていたが、あえて口に出すようなことはしなかった。
 ここでわざわざ新たな燃料を投下するつもりはない。

 そんなことを考えていたシゲルに、ミカエラは言葉を切らずにさらに続けて言った。
「でも、リグたちがほかの精霊を従えるようになったって、どういうこと!?」
「あ、なるほど。その話を聞いたんだ」
 シゲルがそう言いながらリグを見ると、彼女はコクリと頷いていた。
 特に口止めもしていなかったので、ミカエラに話したことを咎めるつもりはない。
 変に黙っていると、また非常識扱いされる可能性もあるので、むしろ良かったとさえ思っている。

 ミカエラの興奮(?)のポイントが分かったシゲルは、先ほどラグから聞いた話をきちんと説明をした。
 そして、こちらの世界の精霊と『精霊の宿屋』で生まれた精霊では、明確な区別があるという話を聞いたところで、感心した様子になるのであった。
ちなみに、タイトルの二種類というのは、シゲルたちがいる世界と『精霊の宿屋』の世界という意味です。
……わざわざ言わなくてもわかりますかね?w

おまけ
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??「穏やかなエルフ美女という設定はどこに……?」
作「最初からそんな設定はありません」
??「ええっ!?」
+注意+
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