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精霊育成師の世界旅行 作者:早秋

第9章 XXXX

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(6)特級精霊への進化

 ディーネから本(書籍)の貸し出し許可が出たことで、水の町での調査の方法も若干変わった。
 これまでは、これはと見つけた本を読みこむようにしていたのだが、気になる書物を見つけ出して、借りて写本をするのにふさわしいものを探しだすようにしたのである。
 方針が変わったことにより、フィロメナたちは、町の方々へ移動するようになった。
 以前ゲットした乗り物(仮)の大活躍である。
 色々なところを巡って、出来るだけ多くの本や書類を見つけ出せれば、それだけ候補も増える。
 その中から厳選した物を借りるようにすれば、今後のためにもなるはずである。

 皆が駆け回っている中で、シゲルも気になっていたことを調べていた。
 それがなにかと言えば、アビーとタケルがいた時代の文明の基礎になっている技術力についてである。
 水の町に限って言えば、町全体から建物まで、アビーの意見が大幅に採用されて造られている。
 ただ、アビーは町や建物の設計は出来るが、そもそもそれらを造るための基礎になっている技術は、元からあったものを利用している。
 高層ビルを造るにしても、それらを可能にするための基礎的な技術は、アビーが考えたものではないのだ。
 フィロメナの魔道具とかぶっている部分もあるが、シゲルはそうした技術についてを調べているのだ。

 それらのことを調べていて、ある程度わかったことがある。
「――建築素材を作るにしろなんにしろ、思った以上に精霊が活躍しているなあ……」
 先日ミカエラが言っていた通りに、この時代は人々の生活に精霊が密着していた。
 例えば、ある金属を加工するために火の精霊の力を借りたりして、ただの技術だけではない加工方法で色々なものを作り出していたようなのである。
 そうなってくると、はやり気になってくることが出て来る。
「文明が滅びた理由もそうだけれど、なぜ今にその技術が残っていないんだろうか?」
 というわけである。

 これだけの技術があったのであれば、その技術の一端でも残っていてもおかしくはない。
 一応、ドワーフの加工技術の中に精霊を使うものがあると聞いたことはあるが、それがこの時代のものと同じものであるかは不明だ。
 ミカエラの話を聞く限りでは、エルフの精霊術もそのまま伝わって来ているか怪しいところだ。
 単に高い技術だけが失われてしまったというのであればまだ納得もできるが、一度完全に文明の技術などの足跡が消えてしまったとは考えずらい。
「そう考えると、文明の技術が全部なくなったと考えるのは、早すぎだよなあ」
 シゲルは首をひねりながらそんなことを考えていたが、隣に立つラグからの答えはなかった。

 そもそも考えてみれば、現在の魔道具の技術も以前の時代を参考にして作られているとフィロメナは話していた。
 そのことからも、一度完全に文明の名残が失われたと考えるのは、不自然だった。
「――――うーん。一人で考えてもわからないや。あとで話をしてみるか」
 日々の報告会で話をすることにして、シゲルはいったんここで休憩を入れることにした。

 シゲルは、座っていた床から立ち上がって大きく伸びをした。
 そのシゲルに向かって、白いものが突進してきた。
 護衛のラグが全く慌てていないことから、それがなんであるかはシゲルにもすぐにわかって慌てることなくその白い塊を腕の中に受け止めた。
「シロ、どうしたの? テンション高いね」
 シゲルの腕の中に納まりながら尻尾を大きく振っているのを見て、シゲルは少しだけ首をひねりながらそう聞いた。
 シロのテンションが高いことは珍しいことではないが、それにも増してなにやら喜んでいる感じがしている。

 残念ながらシゲルにはシロの言いたいことが分からないので、仕方なくラグの方を見た。
「どうやら作っていた結晶石ができたようです」
「ああ、なるほど」
 シロには最後に残った土の結晶石の作成をお願いしていた。
 その結晶石が出来上がったという報告だったようだ。

 ご苦労様と言いつつ、シロの背中を撫でながら、シゲルはラグを見ながら言った。
「――てことは、進化できるけれど、どうする?」
「私はいつでも構いません。リグもシロも恐らく同じでしょう」
 ラグがそう言うと、シロはそれに応えるように尻尾をファサファサと振り始めた。
「そう。まあ、一応きちんとリグにも確認してみようか」
 シゲルはそう言いながら『精霊の宿屋』を起動してリグを呼び出した。
 いつものように元気な様子で出てきたリグに、シゲルが進化についての最終確認をした。
「私もいつでもいいよー」
 そうリグらしい返答がきたことで、いよいよ初期精霊三体の進化をすることが決まった。

 
 『精霊の宿屋』の外で進化をした場合に、なにが起こるかわからない。
 そのため、ラグ、リグ、シロには一度『精霊の宿屋』の中に入ってもらい、ラグの護衛の代わりにサクラに出てきてもらう。
「いよいよですね」
 サクラを呼び出した際に、そんなことを言ってきたので、精霊たちの関心が高いことがわかる。
 それだけ次の段階の進化は、精霊たちに注目されているということだ。

 きちんと初期精霊三体が『精霊の宿屋』の中にいることを確認したシゲルは、メニューを操作して各種精霊石が三つずつあることも合わせて調べた。
 そして、いよいよラグ、リグ、シロの三体を順番に進化させていく。
 残念ながら(?)一度に揃って進化させることはできず、一体一体順番に処理していくことになった。
 とりあえずラグから進化をさせたのだが、特にモーションやエフェクトなどはなかった。
 あまりにもなにもなさ過ぎて、シゲルは逆に拍子抜けさえしていた。

 とにかく、何事もなく初期精霊三体の進化が終わったので、シゲルはラグたちを呼び出した。
「――うーん。……見た目上は特になにか変わったというこはないかな?」
 シゲルのその感想に、ラグとリグが顔を見合わせてクスリと笑った。
「そうですね」
「これ以上おっきくなっても困るよ?」
 リグがそう突っ込んでくると、シゲルはそれもそうかと頷いた。
 大きくなるというのが物理的にだとすれば、確かにあまり大きくなってもらっても困ったことになる。

 ここで、納得顔で頷いているシゲルを見ながら、ラグが言った。
「ですが、出来ることは増えているようです」
「あ、やっぱりそうなんだ。細かいことは後で確認するとして……いま体感できているもので、一番大きいものは?」
「そうですね。自分以外の精霊を配下に出来るようになったようです」
「へっ!?」
 思ってもみなかった言葉に、シゲルは思わずそう驚きの声を上げてしまった。

 すぐに驚きから覚めたシゲルは、確認するような視線をラグとリグに向けた。
「それって、今までとは違って、自由に動かせるってこと?」
 現在は『精霊の宿屋』に来ている精霊たちに、「お願い」という形で手伝って貰ったりしていた。
 だが、ラグの先ほどの言葉は、それよりももっと強い結びつきのように聞こえた。

 そのシゲルの考えを裏付けるように、ラグは頷きながら言った。
「はい。例えばですが、探索をしているときに、私を中心にして複数の精霊たちを動かせるようになりました」
「うわ。なにそれ。えげつない効果だなあ」
 ラグの話を聞いて、すぐにメリットの大きさに気付いたシゲルは、若干引きながらそう感想を漏らした。

 『精霊の宿屋』にいる契約精霊たちは、基本的に探索、護衛、管理の三種類の行動をしている。
 それらのすべてにおいて、配下の精霊が使えるとなれば、これまでと違って出来ることがかなり増える。
 加えて、以前からシゲルも問題にしていた精霊の数が増やせないということも、これで解決したことになる。
 シゲルが契約をしない代わりに、ラグたちに配下を増やしてもらって賄ってもらえばいいのだ。
 ついでに、『精霊の宿屋』にくる外敵の問題も、配下がいる状態で最低一体を管理にさせておけば、だいぶ改善するはずだ。

 ここに来て、これまであった問題が一気に解決することになったため、シゲルは安心したように言った。
「なんというか……これまでの進化とはまったく次元が違うような気がするね」
「そうですね」
 これまでの進化も行動範囲が増えたりと、前段階とは全く違っていた。
 だが、上級精霊から特級精霊への進化は、それにも増して効果が大きいような気がする。
 それを実感するのはまだこれから先のことだろうが、すでにシゲルはとんでもないことになりそうだと考えているのであった。
シゲルの懸念事項が減りました。
次はこの世界での特級精霊についての説明をします。
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