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精霊育成師の世界旅行 作者:早秋

第6章 遺跡の扱い

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(20)『精霊の宿屋』の調整

 アマテラス号のメンテナンスを終えたタケルたちは、その後半月ほどを掛けて残り三つの国を回った。
 他にもまだ行く予定はあるのだが、とりあえずは一区切りという事で、今はフィロメナの家に落ち着いている。
 超古代文明についての各国への報告は、これまでの国が落ち着くまでは、一旦待つことにしている。
 それぞれの国の対応によって、話の広まり方も変わって来るはずなので、その様子を見ようということになったのだ。
 さらに、風の大精霊(エアリアル)から聞いた話のこともあるので、そちらを優先することにしたのである。

 シゲルは、ポルポト山へ向かう前に『精霊の宿屋』の調整を行っていた。
 まず、今までずっと変えることのなかった小さな小屋を、きっちりとした家に作り替えた。
 といっても、精霊たちしか使う者がいないので、さほど大きな物を建てたわけではない。
 さらに、以前から考察していた建物を建てると精霊が喜ぶのかということを試すためにも、他に二つほど追加している。
 それらの建物は、当然ながらラグとリグの意見を参考にして建てている。

「――本当に一軒家で良かったの?」
 一応ラグが言った通りに建てたのだが、シゲルは再度確認するように聞いた。
「はい。いずれは集合住宅を建てても良いとは思いますが、今はそれで十分です」
 ラグの答えに、シゲルはそうかと頷いた。
 そもそも精霊は、家に住むわけではないので、一軒家か集合住宅かはさほど重要ではない。
 それよりも、契約精霊たちの管理のしやすさから一軒家を選んだのだ。

 さらに、それらの建物を建てる際に、シゲルが気付いていなかったことをラグから指摘されていた。
「それにしても、建物を管理するのに、精霊の数が必要になるのは、すっかり忘れていたよ」
 自然の物であれば、ある程度放置でも大丈夫なのだが、人工物となると精霊にとっては特別な手間をかけなければならないため、余分な手が必要になる。
 三軒程度であれば、今まで通りに一体の精霊で朽ちないように管理が出来るが、それ以上となるとさすがに難しくなってくる。
 もしこれ以上建物を増やすことをかんがえるのであれば、『精霊の宿屋』を管理する精霊を増やして対応していくしかない。
 ただ、それをすると今度は探索をする精霊が減ってしまうので、これまでの効率が落ちてしまうのだ。

 効率も落とさずに建物の数を増やしていくには、方法はひとつしかない。
「ひとつ聞くけれど、契約精霊は増やしてもいいのかな?」
 少し遠慮するようにそう聞いて来たシゲルに、ラグは勿論と頷いた。
「むしろ『精霊の宿屋』を管理する手が増えれば、訪問してくる精霊が増えることも考えられます。出来れば、そうしていただけるとありがたいです」
 ラグの答えを聞いたシゲルは「そうなんだ」と呟いた。

 シゲルとしては最初からそういうことは教えてもらえるといいのだけれどと思わなくもないが、そもそもラグもリグもシゲルが聞かない限りは余計なことは言ってきたりしない。
 『精霊の宿屋』に限らず、基本的にシゲルのすることを尊重しているのである。
 自由奔放に見えるリグでさえそうなのだから、ラグが自ら言い出すことはほとんどないのである。
 これまでの付き合い(?)で、十分にそのことを理解しているシゲルは、ラグに文句を言うでもなく契約精霊をどうするかを考えていた。
 契約精霊の数が増えればシゲルの管理が大変になるが、余裕はできている。
 そうとなれば、ここで契約精霊を増やさないという選択肢は無いにも等しい。

 少しだけ考えていたシゲルは、言葉を待っていたラグに向かって言った。
「それじゃあ、また候補を連れて来てもらっていいかな?」
「わかりました。今度も一体だけですか?」
「そうだね。そのほうが良いと思う」
 あまり一気に契約精霊を増やしても、シゲルが管理するのが難しくなる。

 精霊たちの能力は、作業量にも密接に関係してくるので、適当な指示は出来ないのだ。
 とはいえ、この後建物を増やすことを考えれば、もっと契約精霊の数を増やす必要も出てくるだろう。
 その辺りのことは、今後の課題としてシゲルがきちんと考えなくてはならない。

 
 希望する精霊を集めてきますと言って姿を消したラグを見送ったシゲルは、続いて精霊たちのステータスを確認することにした。
 まず、スイとサクラだが、残念ながらまだAランクにはなっていなかった。
 ラグたちの時のように、大きくなっているところを見ていないのでわかっていたことだが、それでもやはり残念ではある。
「うーん。やっぱり理由が分からないともやもやするな」
 上級精霊にするには、数の限界があるのかとか、他に精霊の数を増やせばいいのかとか、いろいろ考えてみる必要があるかも知れない。
 考えたくはないが、これまで大精霊から貰ってきた三つのアイテムが関係しているかも知れないとさえ考え始めている。

 必ずしも大精霊から物を貰えるはずがないので、出来ればそんなことは考えたくはない。
 ……ないのだが、それが条件になっている場合は、どうにかしなければならない。
 最悪、三体の初期精霊が、精霊にとっての特別なアイテムを作れるようになるまで待つしかないということもありえる。
 生産スキルが伸びているラグやサクラは、シゲルには何に使っているのか分からない物まで作りだしているので、いずれはそうした物も作れるようになるかもしれない。
 とはいえ、まだまだ先が長そうな道のりが待っているはずだ。
 出来れば、そこまで待たなければならないということは避けてほしいというのが、シゲルの本音ではある。

 スイやサクラのランクアップはともかくとして、他の四体の精霊は順調に成長している。
 初期精霊の三体は上級精霊のFランクで、ノーラは中級精霊のAランクまで伸びていた。
 ノーラの伸びが、他の精霊たちよりも早い気がするが、これは以前にリグから話を聞いて理由が判明している。
 その理由とは、上級精霊であるラグたちがいるために、効率よく技術を伸ばすことが出来ているためということだった。
 ただ、これでノーラも中級精霊のAランクになってしまったので、スイやサクラと同じように成長が止まってしまう可能性がある。
 これであっさりとノーラだけがランクアップしてしまうと、それはそれでまた意味が分からなくなってしまうのだが、こればかりはその時になってみないと分からない。
 出来ればそんなややこしいことにはなってほしくはないと思いつつ、シゲルは『精霊の宿屋』を閉じるのであった。

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 ラグが新しい契約精霊候補を連れてきたのは、翌日の午前中だった。
 ポルポト山に行くまでは、まだ時間があったので、ゆっくり選んでいいとシゲルが伝えていたので、ラグたちもじっくり探したようである。
 今回ラグが連れてきた精霊たちは全部で五体だった。
 その中には、以前連れてきていた精霊も混じっていた。

 期待するような視線を向けられる中、シゲルが選んだのは一体の獣(猫)型の精霊だった。
 なぜ以前も来てくれた精霊を選ばずに、その精霊を選んだかといえば、可愛かったからというだけではなく、火系統の精霊だったためである。
 これで土水火風木の五系統が揃うことになり、もしかしたらスイたちの上級精霊への道が開けるかも知れないという僅かながらに期待していた。

 シゲルがその精霊を選ぶと他の四体はがっかりするような顔になっていたので、シゲルとしても心苦しかったが、やはり一気に増やすわけにはいかない。
 『精霊の宿屋』の管理の為には多くの契約精霊がいた方がいいとわかっていても、今はまだ実験段階なので、そんなに簡単に増やすわけにはいかないのだ。
 契約精霊を増やしすぎたとしても、契約を解除することは可能なのだが、これだけ懐いてくれている精霊を簡単に解雇(?)するような真似はしたくないのである。

 とにかく、新しく入った精霊をアグニと名付けたシゲルは、早速そのステータスを見てみることにした。
「おー、火炎なんてスキルは、初めて見たね」
「はい。その魔法が使えるために、選びましたから」
 シゲルの言葉を拾ったラグが、頷きながらそう言ってきた。
 ラグにとっての精霊選びの基準は、シゲルの役に立てるかどうかだ。
 それを考えれば、戦闘で使える火炎スキルを持っているアグニは、最適だったのだ。

 
 新しい精霊が加わって、全部で七体になった契約精霊を見て、ミカエラは遠い所を見るような目つきになっていたが、ほかの者たちはさすがシゲルといつも通りの対応をしていた。
 それで納得されるのも何か違うような気もしたシゲルだったが、現にあっさりと契約出来てしまった以上は、何もいうことが出来ないのであった。
一気にと言うわけには行きませんが、『精霊の宿屋』も着実に変わってきています。

※これで第6章は終わりになります。
次から第7章スタート!
……ですが、三日ほどお休みを頂いて、次の更新は11月17日になります。
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