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 松前先輩が平先輩に電話を掛けてくれたが、すでに平先輩は学校をあとにしているらしい。

 だが、情報を与えてくれた。

 トイレを出たあと、廊下を前髪の長いポニーテールの一年生の女の子が歩いていた――と。

 平先輩はそう言ったらしい。平先輩はそれからすぐに下駄箱へ行って靴を履き、爪先を見ながら家路についたらしい。その際、保健室へ向かうぼくを見掛けたり、階段の中ほどにいた國寺くんや万永さんには気付かなかったらしい。

「ということだ。どうやら、万永さんの言うとおり、彼女を突き落としたのは崇城って娘らしいな」

 松前先輩の言っていることは冗談だと思った。なぜそんな風に現状を受け入れなかったのかは……やはり、崇城さんが誰かを突き落とすなんて信じられなかったからだ。

 それに、松前先輩の言わんとするところの、セカンドのレギュラーが取りたいがために現レギュラーの万永さんに怪我を負わせようとした、なんてありえない。

 いや、ぼくは彼女じゃないんだから、彼女の気持ちなんてわからないけど……。

「とりあえず、保健室へ行ったら? 保健の先生がベッドにでも休ませてるだろうからさ。詳しいことを訊けるようなら訊いて来いよ」

 ぱんぱんと手を打って先輩はぼくらを教室から追いやる。詰め寄られたぼくらは、渋々教室をあとにした。

「先輩の言うとおり、保健室へ行こう。それと、黒木。お前、崇城ってやつと連絡取れるか?」

 生憎、話すようになったとはいえ、ぼくと崇城さんは携帯電話のアドレスを交換するなんていうことをしていなかった。だから彼女と連絡をつけることは出来ない。そう答えると、彼は松前先輩みたいに面倒くさそうな顔をした。


 保健室のドアをノックして入ると、さっきの先生が三つ並んだベッドで、一番手前の台の横に立っていた。ベッドには万永さんが横になっていた。

「見たところ怪我はないよ。ちょっと体を打っただけで、それもシップでも貼れば大丈夫よ」

 入ってきたぼくらに、まず先生は言った。

「崇城ってやつの目論見は、どうやら失敗したようだな」

 國寺くんが辛辣なことを言うが、ぼくは反論出来なかった。

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