【眷属】と疑問と
進行状況により、コチラの投稿です。
切りの良さの関係で短いですが、どうぞ。
「──ってか、なんで呼んでくれなかったのさ!」
「いや何、すっかり忘れていただけだ」
「何それ一番ひどいやつじゃん……私のカラダをこんなにしたクセに……」
「おいコラ、人聞きの悪い言い方をするな。間違ってはいないが……」
そう会話するのは、緑色の部屋の中にいる零刀とドライアドだ。
あの後気絶したニアを念のため治療するためにドライアドの所に連れてきたのだが……
「てか、何をしたらこんなになるってのよ……」
「【破壊】と【死】の余波で、ちょっとな」
「なにそれ、どこの戦場よって感じね。だいたい予想はつくけどさ……うん、この程度ならすぐに目を覚ましそうだね」
そニアを葉のベッドに寝かせ、呟くのを聞いた【王位精霊】たちがほっと一息つくと、ウルに疑問を投げかける。
「そう言えばウル、最後のアレはなに?」
「ああ、『精霊魔法』みたいなものですよ」
「……ウル、レイと契約、した?」
「いえ、していませんよ。そもそもこれは『精霊魔法』ではありませんし……どちらかと言うと、私がレイさんのチカラを借りて行使しているだけに過ぎないので」
「あれ?それだと対等な繋がりっていうより……」
「あれ、言ってませんでしたっけ?私、レイさんの【眷属】になったって」
「「「はぁ!?」」」
零刀とウルを除いた全員が、驚愕の声を上げる。
「えっと、【眷属】ってあの上位存在との『魂の契約』の【眷属】?」
「そうですよ。だから言ってしまえばレイさんは【王位精霊代表】である私の主人ですから……実質的に『精霊』のトップですね」
「じゃあ、もし『世界征服するぞ』とか、言われたら……」
「従いますね」
「やらねぇよ、そんなめんどくせぇこと」
嫌な顔で本当に面倒くさそうに手を振る。
「そうだよねー、って言うか一人でもできそうだもんねー」
「いや、それは無理だろ。俺には【破壊】と【死】しか使えねぇからな。滅ぼすならまだしも、支配なんてできねぇよ」
その言葉に一同が「滅ぼせるんだ」と同じことを思っていた。
まあ、滅ぼすだけなら水源を【死】やら『瘴気』やらで汚染すればいいだけだ。
それを飲むヒトはもちろんのこと、無くては生きていけない『動物』や『植物』までもが侵されるわけで、そうなれば人類どころか生物が滅亡する。
「まあ、それをするのにかなりのエネルギーを使うから簡単にできるもんじゃねぇけどな。っと、それよりも聞きたいことがあったんだ。もともとそれもあってこの『精霊の森』に来たんだからな」
そう言って零刀は『黒』と『白』ふた振りの剣を出す。
「決闘でも使ってた剣だね」
「この剣、鉱物じゃ、ない?」
「どちらかと言えば『生体魔素』で作られてるカンジっぽいわね?──って、あれ?これって……」
「ドラちゃんも気が付きましたか」
思い思いのことを言う中、ドライアドとウルだけが違った反応を見せる。
「最近、どうも調子が良くてな。理由が分かればと思って来たんだが……その様子だと、なにかわかったのか」
零刀の言葉にドライアドとウルの顔を見合わせて笑みを浮かべる。
「そうですね」
「前私にやったときみたいにして見ればわかるんじゃない?」
「……まあ、やって見るだけなら構わないが」
そう言って、ふた振りの剣に血を注ぎ──
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「さて、次はどこに行こうか……」
「ん、前に言ってた『帝国』でも、向かう?」
二人は、以前決闘を行った広場にいた。
以前、というのもあれから一週間ほど滞在していたからだ。
その間に闘技場は撤去され、既に更地になっている。
「他の皆には、何も言わずに行くのですか?」
「あー、なんか言いに行ったらめんどくさいヤツに絡まれそうだからな……」
「『決闘だぁー』とか言いそうな子がいますからね……」
「ああ、ってことで他のヤツらにはよろしく言っておいてくれ」
「了解しました。それにしても、もう行ってしまわれるのですね。もう少しいて下さっても構わないのですが……」
「そう言ってくれるのは嬉しいが、俺は俺でやりたいことがあるからな。『勇者』らにも会っておきたいしな。それに、イリスの事もある」
「……でも、変わってしまった貴方を、受け入れてくれるかどうかは……『モニア』の時だって……」
「その時はその時だ。俺が、あの時からかなり道を『ハズレ』たってのは理解してる。だけど、『ハズレ』たからこそ、自分で何かをしなければそこに『道』が無いってことも理解している」
「……貴方はもう、戻れなくても『我が道』を行くのですね」
「ま、同じ苦楽を共にしたコイツもいるんだ。心配するこたぁねぇよ」
そう言って、イリスを見る。
「……私という【眷属】がいるのも忘れないでくださいよ」
「わかってるよ。俺を『肯定』してくれるお前らがいるんだ。だからこそ俺は──」
風が吹いた。
──どれだけ『ハズレ』ても、『我が道』を行ける。
その言葉は風に流されはしたが、イリスとウルにはしっかりと届いていた。




