会議
今週は諸事情により投稿ペースが落ちてしまいました。
あと、ブクマ数が600を超えました!
読者の皆様に感謝です!
まだまだ拙い私の作品ですが、今後ともよろしくお願いします!
それではどうぞ!
「……で、なんでお前枝に刺さったままなの?」
「ウルのせいで【炎化】できねぇからだよ!」
「『罪には罰を、変えるには代償を』ですよ」
その言葉に、零刀が視線を鋭くする。
「てめぇ、探ったな」
「まあ、それくらいは許してください。彼女と違って『加護』を持たないあなたは無条件に信用する訳にはいきませんから」
「で、俺は信用に値するか?」
「──ええ、あなたは信頼するに値します」
そう言ってニコリと微笑んだ。
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「──では【全王位精霊会議】を始めます。議長は【水属性王位精霊】、『王位精霊』代表、ウェルシュが務めさせて頂きます」
「記録はワタシ、グゥアンドラ」
「換気役、ウィドフィーネだよ」
「えー、と。室内温度担当、イグニアンネ。あ!あたしのことはニアって──」
「会場提供の零刀だ」
「第二記録のイリス」
「オイ、ちょ──」
「では、ここに『王位精霊』が集ったきっかけ作りをして下さったお二方に感謝を」
そう言い礼をするウェルシュ。
「……なぁ、これってこんなに格式ばらなくちゃならねぇのか?」
「いえ、ありませんね。正直議長と記録が居れば成り立ちます。室内温度担当のニアなんてもうネタの領域じゃあ無いですか」
「オイ、ウル!その言い方だとあたしがネタってことじゃねぇかよ!」
「いえ、間違いでは無いでしょう?」
「……さっきまで、枝に突き刺さってたクセに、何を今更」
「うぐぅ」
イグニアンネ──ニアの指摘にウルが肯定し、続くイリスの言葉に撃沈する。
「まあ、馬鹿はほっといて話を進めよう。回りくどいのは無しだ。お前らは俺に、何が聞きたい?」
零刀の言葉に、場の空気が引き締まる。
「では、私から。いくつか聞きたいことはありますが……まず始めに、リムちゃんはどこで、どうなっていますか」
「ああ、あの残念女神は生きているぞ。『紫水晶』の中でだけどな。場所は『試練の迷宮』の最下層だ」
生存の部分では『王位精霊』達に笑みが見えたが、それ以外のところでは難しい顔をしていた。
「そう、ですか。『紫水晶』ということはやはり『邪神』に……彼女にあった時、何か言っていませんでしたか?」
「何か、か。一つ頼み事をされたな。『恐らく魔大陸にある『試練の迷宮』、その最下層にいるであろう『闇神』を救え』だったな。どうやら自己の【属性】を利用されて捕えられているらしく、相反する【光属性】の『加護』を使えば助けられるとも言っていたな」
リムに聞かされた情報を簡潔に、されど正確に伝えていく。
それからもいくつかの質問に答えていき、最後の質問となる。
「最後にですが……これはあなたを信用していない訳では無いのですが、これだけは聞いておかないといけません──あなたは、何モノですか」
「それは哲学的な質問か?それとも生物学的な質問か?いや、この場合はどちらもか?」
「それはボクも気になるかな。キミの近くを通った【風】の『精霊』達が、怯えていたのを見て、ね」
「ん、ワタシも。『黒耀石』なんて周りに無かったハズなのに唐突に現れたこともそうだし、『黒耀石』を操っていた事も、本来ありえないこと」
ウルに続いて他の『王位精霊』も疑問を抱いていたことを告白する。
「──あなたを私のチカラで探った時、まず驚いたのが身体の構造です。胃や腸といった消化器官が無く、膀胱などの排泄器官も無い。なのにも関わらず食べ物を体内に取り込んだ時にはしっかりと吸収されていた」
「ああ、あのフルーツジュースを飲んだ時か。【水属性】であるお前からすればああいった『水分』を体内に取り込むのは相手の状態を探るチャンスだったっていう事か」
「それだけではありません。何より驚いたのがあなたの、眼帯の下にある左眼です。通常、生命体が取り込めば死に至るはずの『瘴気』。それを左眼に収めている。それも上位の龍でさえ一瞬で絶命するような莫大な量を、ありえないほどの密度で、です。だからこそ、もう一度聞きます。あなたは何モノですか?」
真剣な表情で聞くウルに、どうしたものかと視線を反らせば、その先にはその答えに興味を持った顔のイリスが映る。
「ハァ、誰も理解出来ねぇと思うぞ?それこそ『神』でさえも」
「それって、どういう……」
「──『名状しがたい既知を脅かすナニカ』」
「へ?」
「それが、今の俺の『種族』だ。話すと長いから端折って話すぞ」
そう前置きした上で、自分が『異世界』から【召喚】された『異世界人』であったことに始まり、『試練の迷宮』であった出来事を簡単に話した。
「そんな、事が……」
「ボクの記憶違いじゃあ無ければ『迷宮』の魔物って『瘴気』の量が多すぎて食べたら死ぬよね?なんで生きてるの?」
「なるほど、『錬成師』か。それも『固有技能』まで昇華させ、さらに他の『技能』を併用することで他の物質へと変化させる。すごい。前代未聞」
『王位精霊』達に驚愕や新たな疑問、称賛などを抱かせ──
「うぉぉおおお!タイヘンだったんだな、オマエ!」
「ちょ、おいっ!ヤメロ、引っ付くな暑苦しい!」
「ん、【衝撃の魔眼】」
「うわっ!」
「助かったぞイリス!【紫氷葬縛】!」
──感動しすぎて暴走した【火属性】の『王位精霊』を【紫氷】に閉じ込めたりと言ったこともあった。
「ハァ、ったく。ただ俺が弱くて何もできなかったってだけの話だろうが。お涙頂戴の話をしてるんじゃねぇんだから……そんな反応すんな」
「いや、普段お気楽なボクでも今の話はちょっと……」
「ウィンの言うように、それほどの事なのですが……自覚なしですか」
零刀の言葉にウィンとウルがそう呟くが、零刀には届かなかった。
「さて、そっちの質問は終わったな?ならこちらの質問に答えてもらうぞ。とりあえず俺の質問だが、『邪神』について知っている事を話してくれ」
「?『邪神』、ですか?しかし、あの者については私たちが対応しますし、あなたには関係無いではありませんか」
「あ?お前ら知らねぇのか?今回の【勇者召喚】を行なったのはリムじゃなくてその『邪神』だぞ」
それを聞いた『王位精霊』達の顔に驚愕、続いて焦燥感が滲み出る。
「──ウィン!王国に居る契約済みの『高位精霊』に……」
「──もうやってる!くっ、ダメぽい。連絡がつかない、確認不可だよっ!」
「ワタシも未契約の子たちに試したけど、不可」
「くっ、『高位精霊』がダメとなると……遅かったですね。リムちゃんの強力な『加護』持ちが居たからその可能性は考えていなかったのが私の落ち度。総員、情報アクセスに取り掛かりなさい!……レイさん。すみませんが今日の会議はここまでです」
他の『王位精霊』が慌てて退室していく中、ウルが申し訳なさげにそう言う。
「ああ、どうやら緊急事態のようだしな。そこで引き留めるほど『理不尽』じゃあねぇよ。それよりも、俺にできることはあるか?」
「お心遣い感謝します。ですが、これは私たち『王位精霊』にしかできないことですので。有益な情報をありがとうございました。次の会議はいつになるかわかりませんが、それまで自由にしていてくださって構いませんので。それでは」
そう言いひとつ礼をして退室するウルを見送る。
「……一気に暇になったな。とりあえず観光でもしていくか」
「ん、『精霊の森』。美味しいものがあるかも」
「そりゃあ、行くしかねぇな」
こうして、唐突に『会議』が終わり、『観光』が始まるのであった。
次回、『観光』。
……多分




