不明な理不尽の理(ルール)
少し時間が空いてしまいましたかな?
最近忙しくて……書く時間が取れないのですよ。
書き終え次第に上げていく予定ですので、今後ともよろしくお願いします。
それではどうぞ
『魔王』を拘束している触手でゆっくりと横たわらせると、零刀自身もその場に倒れ込む。
「……終わった。そして、生きている」
天井を見上げながら、自分の生を実感する。
「なんかまあ、いろいろとあったが……それでも【理不尽】を【否定】して、俺が、生きてる。なにか大切なことを忘れてる気もするが──ぁ、『ステータス』」
思い出して『ステータス』を開く。
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神野 零刀 Lv70 Age15 男
種族:名状しがたい既知を脅かすナニカ
職業:練成師
称号:【禁忌】【再生】【喰らう者】【適応者】【不明】
体力 5000/98000
魔力量 7000/90000
魔力 89000
筋力 99000
敏捷 75000
耐性 97000
魔耐性 80000
〈固有技能〉:錬成 魔素支配 再構成 完全記憶 解析 無属性魔法 瘴気耐性 熱耐性 並立思考 瘴気掌握 変質異貌
〈技能〉:剣術Lv9 瞬動Lv9 魔道具作成Lv6 痛覚耐性Lv10 高速思考Lv4
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「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!?」
零刀の絶叫が、響き渡った。
「…………やっちまった。せめて……せめて『種族』が確定するまで、それに関わることはできるだけ避けてきたのにも関わらず……最後の最後にやっちまった…………『解析』」
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名状しがたい既知を脅かすナニカ
『種族』の『解析』、および特定が常に変化していくその性質に対応しきれなかったため新たに制定された固有の『種族』。
その特性ゆえに名状し難く、理という既知でさえ脅かす。
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「なんだよ……それ。いや、自分自身【ヒト】としての括りからは外れねぇと思ってはいたんだが……いや、あそこまでやったらもう無理か」
少し諦めたように無理矢理に納得する。
「……なっちまったモンはしょうがねぇしな。次はこのわけわかんねぇ『称号』でも見るか……『解析』」
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不明
この世界における法則、摂理、理である『ステータス』を持ってしても特定不可であったものに贈られる称号。
この世界に少しでも馴染めるように『ステータス』を【不明】にすることができるようになる。
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「おい、俺は世界にとっての異物か?……【召喚】されて別の世界から来てるわけだからあながち間違えでもねぇか。つーか【不明】って、逆に馴染めんわ!いや、実際どうなんだ?」
地味に気にしているようだ。
「……まあ、それは考えても仕方がないから置いておいて。あとは『技能』だな。こっちも訳わからん奴があるが……予想はつくか。『解析』」
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瘴気掌握
瘴気を掌握することができる。
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「……そのまんまだな。次」
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変質異貌
質、カタチなどを異なるものへと変えてしまう『技能』。
その向かう先は、神でさえも知り得ない。
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「あー、これあれだな。変異変質しまくったせいで『変異』そのものが『変異』した感じだな。『技能』に関しては要検証っと、あとは一応、念のため『ステータス』は【不明】にしておくか」
前置きをした上で【不明】にした。
「それにしても……あれだけ声を出してたのにも関わらず……起きねぇな」
気を失っている少女に目をやる。
「声で起きてくれりゃあ楽だと思っていたんだが……生きてるよな?」
少し不安になった零刀は少女に歩み寄る。
「おーい、生きてるかー」
右手で倒れている『魔王』の少女の頬をペチペチと叩いて声をかけると「んぅ」と声を上げ、身じろぐ。
「おっ、生きてたな。おーい、起きろー」
再び頬叩きながら顔をかけるが、起きない。
「おーい、起きろー。……そろそろ起きねぇと──
──喰っちまうぞ」
「ふにゃぁ!!」
少し怒気を混ぜた魔素を叩きつけると跳ね起きた。
ちなみにだが、今の零刀は眼帯を外しているため、魔素に『瘴気』が混ざっている状態で、さらに『否定』の『本質』が働いているため、生物が軽くではあるが本能的に【死】を感じるようなものであった。
そしてその開口一番が
「……お父さん?」
「なわけあるか!誰がお父さんだ!」
これである。
「ハァ、ったく。心配して損した気分だ。このクソ『魔王』」
「……心配?『魔王』?──っ!『ステータス』!」
なにか慌てたように『ステータス』を確認する。
「本当、だ……それに5000年ってまさか……!」
突然、零刀の両肩をガシリと掴む。
「ここはどこ!?今は何年!?」
「うぉ!?揺らすな!ここは『試練の迷宮』だ!さすがに何年かまでは知らねぇが……」
「何年か、知らない?」
常識的な事を知らないと言われたことに戸惑いを隠せずに、問いかける。
「あ、ああ。てかこの世界に来てからひと月くらいでもうここに来ちまってるしな……この世界のことを調べたっつっても年代は当たり前すぎていちいち書かれてすらいなかったからな……」
「この……世界?」
「ああ、最近【召喚】されて来たんだ」
「【異界召喚】?ということは……『勇者』!?」
そういった途端に、飛び退いて距離を取るが、身体が本調子では無いためかバランスを崩して膝を着く。
「あー、言っとくが俺は『勇者』なんかじゃあねぇぞ?っつーかハズレもハズレ、『生産職』でもハズレとされる『錬成師』だよ」
「『ステータス』が【不明】になってて見えない……」
「あー、そうか。えーっと……一部【不明】を解除して……っと、これでどうだ?」
「……ん、確認した」
そう言うと少し離れたところに座る。
「一応、言っておくがお前についていた寄生魔物は殺しておいたが──で、てめぇはなんでこんな所で、あんな状態になってやがった?」
「……覚えてない」
「……それは自分の名前もか?」
「……うん」
そう答える『魔王』の少女の顔色は優れない。
「……とりあえず、助けてくれて、ありがとう。もう、行かないと。確かめないと……」
「──そんな調子で、どこに、何をだ?」
その言葉に、動きが止まる。
「外に、探さないと行けないものがある」
「……一緒に、出るために行動するって選択肢はねぇのか?」
少女は目を伏せる。
「あなたに、これ以上迷惑、かけられないし、これは私の問題。だから──」
「ああっ!もう、まどろっこしい!」
そう言うと零刀はズカズカと歩み寄り、右手を顔の横から通して後頭部へ回すと、そのまま引き寄せる。
「──この世界は弱肉強食だ。それがこの世界の理だ。その中でも【理不尽】なヤツが強者でもあり理でもある。なら、この場に置いては俺の方が強者だ。すなわち俺が理だ。だから──」
『魔王』の少女の泣きそうな目を見て、
「──俺と一緒に来い。異論は認めねぇ」
そう言った。
「てめぇの意思なんて関係ねぇ。わかったな」
その言葉に、頷くことで肯定を示した。
「さて、あとは……いつまでも名前がねぇと不便だな」
そう言って目を瞑り、数秒思考を巡らせると、目を開き──
「──『イリス』、虹彩を表す『Iris』の読み方を少し変えて『イリス』なんてどうだ?」
──そう口にした。
「イリ、ス?」
「ああ、とりあえずお前が自分の名前を思い出すまでの間ではあるが……どうだ?」
「イリス、私の名前は、『イリス』」
それを噛み締めるように何回か繰り返す。
「──ん、気に入った」
「よし、もう少し休憩したら行くか」
零刀がイリスに笑みを浮かべて言った。
──こうして零刀ひとりであった迷宮攻略に『魔王』の少女、イリスが同行することとなった。
そしてこの二人の行先は零刀も、神でさえも、さらに言えば世界の理でさえも知り得ない。
次回は勇者sideですかね……できるだけ早く上げれるように務めます。




