勇者side:聖剣
勇者sideです。
ストックがなかなかなたまらず書き次第投稿という形になっています。
とりあえず、どうぞ
「──【光の剣】!ハァ!」
光輝の光を纏った斬撃が、階層主である狂戦鬼を切り裂く。
──レベルアップしました。
──Lv.が30を超えたことにより『光神の加護』の効果により固有技能『限界突破』を習得しました。
というアナウンスを聞きながら光輝はボロボロになった剣を地面に突き立てその場に膝を着く。
「お疲れ〜」
そう労いの言葉をかけるのは鈴だ。
「お疲れ様。後方からの【土属性魔法】での狙撃、助かったよ」
「いーんだよ別に……パーティーだしね。それに私の【魔法】って結局鎚で打ち出してるから邪道もいいところだしねー」
「そんなこともないよ。前衛が危険になったら普通の【魔法】以上の速度で攻撃して、敵の攻撃をキャンセルできるんだから。それにしても、やっとこれで30階層もクリアか──」
「──もう、30階層なんだよ」
りあが勝利の余韻など無かったかのように、真面目な声音でそう言った。
「──え?」
「もう、30階層まで来たんだ。だけど、彼にはまだ会えていない……どころが痕跡一つ見つかっていない」
「あ……」
自分の失言に気が気づいて声を漏らす。
「──『我ら彼らの傷の修復を我が望むが故に、我が魔力を対価とし、その傷に癒しを与えん』【範囲回復】」
そんな中、詠唱が響き、全員を優しい光が包み込むと同時に、光輝たちの傷が治る。
「……ありがと、彩」
「今は、そんな事で悲しんでいる場合じゃないでしょ?」
「そんな、事って──!」
「事実、そんな事だろ」
彩の言葉に激昴しかけたりあを遮って隆盛が言う。
「俺だって、アイツのことを心配してるし、勿論彩や鈴だってそうだ。だからってコイツらが悲しんでいるようには見えねぇだろ?それは、アイツがまだ生きているってことを信じて、そこにたどり着くためにひたすらに強くなろうとしてるからだ。それこそ、悲しんでいる時間が惜しいってくらいにな」
隆盛の言葉を聞いた光輝は俯くと
「……30階層くらいで苦戦している僕らじゃあ……それにもう──」
「──少しいいか」
光輝が致命的なことを言おうとしたところでアドルフが発言する。
「三月ばかりでここまで来れてるお前らはかなり凄いことではあるんだが……要するに今以上のチカラが必要なんだな?」
「……はい」
「光輝、一応聞くが、今のレベルは?」
「先程の戦いで30を超えました」
それを聞くと少し考えて「もういいか」と呟くと
「お前ら、『聖剣』って知ってるか?」
そう口にした。
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聖剣──それは光神が創ったとされる光の剣。
何時に創られたのかは不明。さらに言えば何のために、どうして創られたのかさえ不明な剣である。
超一流の、それこそ『鑑定』の系統技能を固有まで修めた者でさえその本質を見抜くことが出来なかった。
唯一わかっていることと言えばその剣は『勇者』のみに抜くことができるとされているものだ。
「──それが、こんな所にあったんですね」
光輝達はあの後宿に帰り荷物をまとめ、翌日にはアルデールを立ちその日のうちに王宮へと戻ってきていた。
「まさか、謁見の間に地下に続く階段があるだなんて……」
「王宮ならば部外者は入れない上に謁見の間なら入ること自体に許可が必要だからな……保管するには持ってこいだろ?」
「でも……流石に王座の裏側に階段があるってさ……ゲームじゃないんだから」
階段を降りながら自慢げなアドルフに鈴が指摘する。
「?意外性を突くって意味でもなかなかな場所だとは思うんだが……もしかして、お前らのいた世界にはこういうのがあったのか?」
「あったと言えばありましたけど……」
勿論ゲームで、である。
「そう言えば『聖剣』なんて物があるなんて今まで聞かされたことがなかったんだが……」
「さすがに最初から武器の性能に頼りっきりになるのはどうかと思ったのでな」
「なるほど、技術を付けるためか」
隆盛とアドルフの会話が終わりしばらく降りていると急に開けたところに出た。
「ほら、着いたぞ」
そこは白を基調とした神殿のような装いの場所であった。
そしてその中央に一振りの、これまた白を基調に金の彩りが加えられた、まさに『聖剣』と言えるような剣がそこにあった。
「エクスカリバーかな?デュランダルかな?光ならクラウソラスかな?」
「元の世界じゃないんだし……どれも違うと思うよ」
鈴が並べる聖剣の名前を彩が否定する。
「ちなみにだが、『聖剣』は光の精霊が護っていて……適正の無いものを攻撃して来たことから『勇者』そのものにも試練か何かがあるんじゃないか──って光輝!?」
その話をする最中、光輝がまるで『聖剣』に吸い寄せられるかのように歩み寄る。
「光輝──ッ!クソ!」
隆盛が追いかけようとするが、目の前を光線が走り地を焼いた。
そして、光輝はそのまま『聖剣』の元にたどり着き、無造作に、まるでそうなることがわかっていたかのように『聖剣』を抜いた。
瞬間、光の奔流が起きる。
「これが、『聖剣』。僕の剣──」
ふと、横に視線を向けるとそこには金色の髪に金色の瞳の少女が立っていた。
「そうか、君がこの剣を護っていたんだね」
その少女──精霊は笑みを浮かべると光に溶けて『聖剣』へと流れ込んでいく。
そして『聖剣』に関する知識と、それに付随するかのように僅かばかりの不快感が光輝へと流れ込み──
光の奔流が収まる。
「光輝!大丈夫か!?」
アドルフが、声をかけると光輝は──
「何ともありません。それよりも早く行きましょう。──迷宮攻略に」
その浮かべた笑みにはもう、一切の陰りはなかった。




