先の階層へ
不定期中です。
昨日で【戦いたい】の方が書き始めて一年経ちました。記念の投稿もしているのでもし良ければご覧ください。
この話の後は何話か勇者sideの話と閑話を入れてから時間が幾らか飛びます。
さすがにダラダラと階層ごとに書くわけにも行かないので…
それでは、少し短いですがどうぞ
炎竜を倒した零刀は突然、力が抜けたかのように崩れ落ちた。
「ッ!クソ、左腕の『生体魔素』がほとんど機能してねェな。既に肩から先の感覚がねェ。かと言ってこのまま『再構成』するのもできねェわけだ……仕方ねェな」
激痛に耐えながら外套を脱ぎ、服の袖をたくしあげ黒剣を逆手に持つとそのまま左肩に押し当て、切り落とした。
「──ッ!『再構成』!」
肩口から噴き出した血と『魔力』が混ざり合い、『変異』させて腕を形取っていく。
構成は全て『完全記憶』によって再現され、細胞すらも構築していく。
「ハァ、ハァ、よし、違和感も無いな」
『再構成』された左腕を振ったり、握ったり開いたりすることで調子を確認していく。
「腕はこれでいいとして、後は炎竜の方か」
先ほどまで死闘を繰り広げていた相手を見る。
「……俺の『生体魔素』もほとんどコイツ倒すのに『変異』させて使っちまったからな。とりあえず補給か『我が魔力よ。竜の顎を成し、理不尽さえも糧とせよ』【喰らう者】」
黒い魔力で形取られた竜の顎が、炎竜を飲み込む。
途端に炎竜の中に残っていた『生体魔素』と蓄積されていた『瘴気』などが零刀に流れ込む。
「グッ、ハァ、ハァ、……?だいぶ負荷はかかったが…いつも程の苦痛は無い?どういうことだ?まあ、とりあえず『ステータス』の確認だな」
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神野 零刀 Lv62 Age15 男
種族:不明(現在解析中:32%)
職業:練成師
称号:禁忌 再生 変異者 喰らう者 適応者
体力 3000/50000
魔力量 120/48000
魔力 32000
筋力 60000
敏捷 10000
耐性 50000
魔耐性 15000
〈固有技能〉:錬成 魔素支配 再構成 完全記憶 解析 無属性魔法 変異 瘴気耐性 熱耐性 並立思考
〈技能〉:剣術Lv8 瞬動Lv8 魔道具作成Lv6 痛覚耐性Lv10 魔力回復速度上昇Lv9
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「──ハハハ、何だこりゃって感じだな。昔の『ステータス』とは雲泥の差だ」
昔の『ステータス』を思い出しながら、感慨深そうに言った。
「やっぱレベルが上がっても【喰らう者】で喰えばその『ステータス』でさえ上書きされるってのはな……なんつーか、努力を【否定】してるみてぇだな」
(これじゃあ、まるで───)
そこまで思考を巡らせたが、あるものを見つけたことによって中断される。
「おっ!『種族』の欄の『解析』が進んでる!?」
そう、『種族』の(現在解析中)のところに%表示が現れたのだ。
自分の正体がわかる兆しが見えたのだから嬉しいのも当然である。
「そう言えば、俺ってずっと『種族』のところが『不明』になってたんだよな。何になるんだ?一応身体は人間だしな。……さすがに『変異』した『人間』で、『変人』とかいうことにはならないとは思うが……」
なぜか途端に不安になり始めた。
「……まあいい。今言ってても仕方ねぇだろうしな。それにそろそろ腹も減ったし、いい感じに『魔力』も回復してきたところだ」
外套を着直し、『黒剣』を鞘に戻す。
「俺は生きて帰って、アイツらに言いてぇことがあるんだ。そのためにも、俺は【理不尽】を【否定】し続ける」
次の階層へと歩み始める。
(たとえそれが──
──結果、俺自身が【理不尽】になることだとしても)




