階層探索・3
ブクマ数が300超えました!
嬉しいです!
これからもよろしくお願いします。
では、どうぞ
この階層を探索していくと、次の階層へと向かう階段を見つけた。
「あー、そういや普通は階段で階層を移動するんだったな。色々あったからか階段で移動すんのが懐かしく感じるな」
そんなことをいいながら、降りるべきか否かを考える。
「さて、と。どうしたもんかね…。言っちゃあなんだが、俺の場合はレベルに固執する必要はねぇからな」
【喰らう者】で喰らえば差異分の『ステータス』は加算される。
それはレベルアップで加算される以上であり、レベルアップで『ステータス』が加算されたとしても、その『ステータス』をひとつでも超える魔物を喰らえばそれすら上書きしてしまうからである。
「んー、そう考えると下に行っても問題ねぇな。あともう少し黒耀石も欲しいしな。それに階段なら戻ってこれんだろ。よし、行こう」
結局「そこまで考えることでも無かったな」と言って下の階層へと向かうのであった。
「─とまぁ、下りてきたのはいいんだが、やっぱ溶岩だらけだよなぁ。てか、そろそろ野菜が食いてぇ。このままで大丈夫なのか?」
先ほどと対して変わりのない風景にうんざりしながらも自分の食生活に対する不満をぶちまける。
そう言えば肉ばっか食っている。
「さて、魔物は──っと、いたい、た…アレは!『解析』!」
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なし LV65 Age14
種族:溶岩蟹〔魔物〕
称号:
体力 9800/9800
魔力量 3000/3000
魔力 1500
筋力 15000
敏捷 8000
耐性 20000
魔耐性 15000
〈固有技能〉:火耐性 硬化【甲】貯蔵【溶岩】
〈技能〉: 火属性魔法Lv6
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「蟹だ。蟹がいる。最近肉ばっかりだったからな。決まりだな」
零刀の中で今晩 (夜かどうかは定かではないが)のご飯が決まった瞬間であった。
零刀はまだ蟹が気がついていないのを確認すると、音を立てずに駆け出し、剣を突き立てるが─
「ッ!硬すぎだろ!」
金属同士がぶつかったかのような音をたて、剣が弾かれる。
それによって溶岩蟹は零刀の方を向き、甲殻類特有の口を開く。
「げ!まさかコイツもか!?」
嫌な予感がして、大きく飛び退き、目の前に【土壁】を作る。
次の瞬間、溶岩蟹から真っ赤な泡が大量に吐き出された。
その正体は【溶岩】であり、零刀の【土壁】にぶつかるたびに弾け、衝撃をもたらす。
それはまるで泡のひとつひとつか爆弾のようですらあった。
「なんだよ!最近はブレス系の技が流行ってんのか!?どいつもこいつも口からもの吐きやがって!しかも【溶岩】吐くって理不尽極まりねぇな!」
愚痴を言いながらも破壊されていく【土壁】を『錬成』で補強していく。
それと並行してもうひとつ『錬成』での作業を進めていく。
それは【泡】が止まると同時に行使された。
「─『錬成』【剣山】」
零刀がそう言ったと同時に溶岩蟹の足元の地面が何本もの剣のようになり、溶岩蟹を下から貫かんとする。
しかし、貫くには至らずに蟹を持ち上げるに留まる。
「裏側なら貫けると思ったんだがな……『硬化』も使ったみてぇだな。まあ、いい。さァて問題でーす」
少しふざけたような口調で言った。
「今この蟹は身体が鋭いものに持ち上げられていて身動きが取れません。さて、ここに大質量の物体を落とすと、どォなるでしょうかァ?」
地面が柱のように『錬成』されていき、それは徐々にたおれていく。
「正解はァ」
ズドンという音をたてて倒れた柱の下には【剣山】に貫かれた蟹の姿があった。
「…まあ、こうなるわな。ハァ、久しぶりになかなか理不尽な攻撃してくるし、簡単には倒せ無さそうだったから変なテンションになっちまった」
そう言いながら頭を掻く。
「まあ、あれだ。倒せたんだし結果オーライってことで、【喰らう者】っと、ごちそーさん。さて、あとは普通に食うようなんだが─」
ふと、零刀が振り向くと、少し離れたところにこちらを見て固まっている溶岩蟹の姿が──
「今から探しに行こうと思っていたんだが……丁度いいところに来てくれたなァ」
身の危険を感じたのか、溶岩蟹は一目散に逃げ出した。
それを嬉しそうに、獰猛な笑みを浮かべて追いかける零刀であった。
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ガリガリガリ、と音をたててながら零刀は移動していた。
それは鎖に繋がれた大きな鉄球であった。
「…重い」
そんなことを言いながらも歩いていると目的のものが見えてきた。
「いたなコンロ」
そういうや否や、その鉄球をオトナドラゴン目掛けてぶん投げる。
「ギャアアア?!」
オトナドラゴンは突然のことに驚きながらも、反射的に【火の吐息】を吐く。
【火の吐息】と鉄球はしばらく拮抗していたが─
「よし、こんなもんか」
と言って鉄球を引き戻し、ダッシュでオトナドラゴンから離れていく。
オトナドラゴンはそんな零刀をポカンとして見ていた。
「ここら辺でいいか」
周りを見回して、魔物が居ないことを確認すると、その場に座り込む。
「『錬成』で形を変えて…ってうお!あっつぅ!……くわねぇな」
鉄球からは大量の熱湯が溢れ出て零刀にかかるのだが『熱耐性』のお陰で熱くはない。
そして出てきたのは─
「よし、できた!茹でた蟹」
─茹でられ、真っ赤になった蟹の脚だった。
「うめぇ、蟹サイコー!」
溶岩蟹自体がデカかったので、脚の方もそれ相応の大きさとなっている。
「いやー、コッチの大型コンロは火力が高いから煮たり茹でたりするのに便利だな!」
そう言いながら蟹を食べ続ける。
この階層でも調理器具と化している魔物がいるのであった。




