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14・傷だらけの戦士 ウォリアー(3)

「オレはもう疲れたのさ、、、、もう長い間、数えきれねえくらいに魔族を狩って、、、、そりゃあ感謝もされたさ、、、しかしな、失ったものの方が途轍もなく大きいんだって、気づいたんだ。。。オレの相棒、仲間たち、、、こんなオレが心を許せる貴重な仲間が、実はすぐそこにいたのに、、、オレは気づかなかったんだ、、それをただ漠然と、愛だの正義だのと言って、縁もゆかりもない、見えない一般人の賞賛を求めて浪費しちまったんだ、、本当に大切なものはすぐ近くにあったのに、オレは気づかなかったんだ、、、」


「だから、もう漠然とした正義や愛のために、オレや仲間の命を賭けるに値しない、この世界にはな、、」


「フッ、貴様はただ格好をつけたいだけなのであろう、人間とはつくづくややこしいものだな。我ら魔族はもっと自由に、ただやりたいことをやっておる。食らいたい時に食らい、殺したい時に殺し、それで死んだとしても問題ない。ただシンプルに自らの欲望に身を任せておるだけじゃから、貴様のような女々しい、ウジウジとした悩みなど沸いてはこぬのだ!」


「お前のような血も涙もない魔族に、オレの苦しみの何がわかるというのだ?」


「貴様の苦しみなど関心もないが、ただ貴様が女々しいナルシストのように、自分を偽って逃げていることは看過できん!」


「オレが自分を偽っていると?しかも逃げているというのか?」


「その通りであろう、そんなに難しく考えるでない!貴様の原点はただ単に暴れるのが好きなヤンチャ小僧であろう!それでいいのだ!破壊と暴力が好きという輩がいてもそれは個性でしかないのだ!余も大いに賞賛するぞ!それを、おかしな綺麗事の枠に、無理やりはめていい子ちゃんのふりをしようとするから、貴様のメンタルが壊れてしまうのだ!素直に破壊と、暴力が好きならば、堂々と宣言すればよかろうて!」


「いや、確かにお前のいうことにも一理あるが、、、しかしな、この人間世界では原則コンプライアンス、つまり倫理や道徳などというものがあって、暴力や破壊は否定されるようになっているんだ、、、」


「ならば、そんな窮屈な世界からは、とびだすのが青春であろう!その歪んだ、一つの正解しかないとう考え自体が、そもそも間違いであろう!我らは本来、もっと自由であるべきなのだ!その自由を突き詰めた結果が死であったとしても、それは結果論でしかない!」


「確かに、、、お前のいうことにも道理があるが、、、」


「もっと柔軟に頭を使うがよい!貴様はまだ頭がカタいのだ!ならばこう考えてみてはどうだ!たとえば人を殴る、ぶち殺すのが大好きで得意なやつがいたとしよう!しかし、人間界では無闇な暴力や殺人は御法度のようだな。さすれば、その破棄力と暴力が必要とされ、称賛される世界に軸足を移せば良いのだ!たとえば人間界にも格闘技のコンテストなどもあろう!そこでは誰よりも破壊と暴力性の強いものがヒーローとなる!つまり強いものこそが神であり、ヒーローであるのだ!見方を変えればただの暴れん坊にとって、こんなに素晴らしい世界など他にあるか!」


「なるほど、、、ものは考えようだな、、、」


「しかも貴様には、敵をぶち殺して賞賛も金も手に入るという、戦士という職業があるではないか!!!さすれば貴様は、人間の敵、にっくき魔族どもを思う存分ぶち殺すことによって、真のヒーローとなることができるのだ!しかも国民からは感謝され、崇められる存在になるのだ!こんな美味しい職業を捨てようとする貴様の気が知れぬわ!このたわけものめが!!!」


「お、おおー、、、おっ、、、、なるほど、、、そういう考え方もあったのか、、、確かにそうだな、、、綺麗事に縛られることなく、破壊衝動を仲間にぶつけるのでもなく、大切な仲間や民を無惨に殺戮している極悪非道の貴様ら魔族にこそ、思う存分ぶつけてやりゃ合いいんだな。人間一人を傷つければトラブルになるが、魔族は殺せば殺すほど、英雄になれるんだ。民を守って仲間の復讐もできる、、しかも自分の暴力破壊衝動も正当化され、金も地位も賞賛も手に入る、、、殺られる前に殺っちまえば、仲間を失うこともねえ。よく考えてみりゃあ、いいことだらけの人生じゃねえか、、戦士って職業はよぉ!」


「ウッ、、なんだか、、意識が朦朧としてきたが、、、それに腹も一杯でもう動けねえ、、、見習いの説教にも疲れてきたことだし、、、」

言い終わらないうちに、傷だらけの戦士は深い眠りに落ちていった。



「フツ、とうとう落ちよったか、この愚か者め。。。世の呪詛攻撃があまりにも強力すぎたようじゃのう。。。それに酒に仕込んだ悪意の毒と、つまみに仕込んだ殺意の毒も効いてきたようじゃ」


さて、それではこの無抵抗で弱々しい戦士の生き血を、たっぷりといただくか、、、、今まで散々、我ら魔族を殺しまくってくれおって!!、、、このような厄介な化け物は、もう二度と再び野に放ってはいかんのだ。我らにとってのキラー細胞そのものでしかない。これで我が魔王軍に仇なす最高戦力の一角を仕留めれば、我らの巻き返しもさらに容易になるというものよ!これから戦局が優位になるとして、他の魔族どもは余の献身と尽力に死ぬほど感謝するがよかろう!まあ、このようなことで抹殺リストに載っておる、この大物を仕留めることができるとは、全くもってボロい仕事よのう。。。。ジジィ、貴様の後悔する姿が今から目に浮かぶわ!!!」


そう言って、デッチは、崩れ落ちた戦士の首筋に鋭い牙を立て、その生き血を思う存分啜ったのであった。


「フッ、、、これでこの屈強な戦士がもう二度と目を覚ますことはない、、、、これで魔王軍に仇なす強敵の一人をまずは葬ることができたというわけだ、、、、こんなに愉快なことはないのう!!!」デッチの勝ち誇った高笑いがBARに響き渡った、、、、。



カラン、カランカラン、、、



「先生、おはようございます」

メスカルが挨拶してBARの扉から入ってきた。業界のしきたりか、24時間昼夜を問わず、いつもおはようございますに統一しているようだ。


「おう、戻ったか、お疲れさん」

ダンディが応える。


「あの戦士はもういないようですが、、、、」


「ああ、」


「満足されて、帰って行かれたのでしょう。」


「間違いねえ」


「これは?」

そこには、戦士の置き手紙と代金があった。


「フム、、なるほど、、、ウォリアーの孤独は癒やされたようですね」


「そういうことだ」


「先生、そういえば、赤いゴミクズは?」

メスカルがBARを見回した。何やら奥の方から苦悶の唸り声が響いている。


「ウゥぅ、、、クッ、、、クォぉぉ、、ウーんん、、、グオぁっ、、、おぅ、、、」

何やら怪奇な、想像を絶するような地獄の苦しみにも似た唸り声が、奥の方から響いてくる。


ドカァーン!!! メスカルが勢いよく扉を開く。


「ウギャアっーーーー!!!、貴様あっ!!何をするのじゃあああああーーーー!!!」


そこにいたのは、デッチであった。


「オイ、オマエ!そこで一体何をしている!?」


「キッ、貴様という奴はぁーーー!!!!見てわからぬかぁーーー!



「余は、余はなぁっーーーー!!!腹が痛くてたまらんのだァッーーーー!!!」


「ほう、だからトイレにこもっているというのか」


「貴様には、、、、血も涙ないのかぁっ!!!!!乙女の苦しみを、、、なぶるか!このオトコオンナめぇっ!!!腹が痛くて、トイレに籠るのはぁ、、、誰しも必定であろうがぁ!!!この大馬鹿者!!!」


「そ、それぉぉ、、、公衆の面前にオープンゲートするなど、、、貴様ァッ!正気の沙汰かぁ!貴様には乙女の恥じらいなど理解できぬのかぁ!!!!このドSめぇ!!!!」



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