第4話「王都からの招待」
第4話を読んでいただき、ありがとうございます。
前回、天命の儀で起きた異変はルミナ村だけの出来事ではなく、王国や世界各地にまで影響を及ぼしていることが明らかになりました。そして主人公のもとには、王都から一通の手紙が届きます。
今回は、その手紙をきっかけに物語が新たな舞台へと動き始めます。主人公が初めて村の外へ踏み出し、これから始まる壮大な冒険への第一歩が描かれる重要な回です。
それでは、第4話「王都からの招待」をお楽しみください。
夜明け前のルミナ村は、まだ静けさに包まれていた。
主人公は昨夜届いた黒い封筒を何度も見つめていた。
封筒には金色の紋章が刻まれている。
それは誰もが知る、エルディア王国の紋章だった。
「本当に王国から……。」
震える手で封を切る。
中には一枚の羊皮紙が入っていた。
『ルミナ村在住の少年へ。
天命の儀において確認された異常現象について調査を行うため、王都アストリアへ出頭を命ずる。
七日以内に王都へ到着されたし。
なお、本命令は王国直属機関の名において執行される。
拒否することは認められない。』
主人公は最後の一文を見て息をのんだ。
「拒否……できない。」
その時、部屋の扉が開く。
「起きていたのか。」
父だった。
主人公は黙って手紙を差し出す。
父は読み終えると、小さく息を吐いた。
「とうとう来たか。」
「父さん……知ってたの?」
「いや、詳しくは知らない。ただ、神水晶が壊れた以上、王国が黙っているはずはないと思っていた。」
朝食の席では重い空気が流れていた。
母は無理に笑顔を作る。
「大丈夫。きっと調査だけよ。」
しかし、その声には不安が隠しきれていなかった。
食事を終えると、村中に王国から使者が来たという噂が広まっていた。
広場へ向かうと、銀色の鎧をまとった四人の騎士が立っている。
中央には赤いマントを羽織った一人の女性騎士。
年齢は二十代前半ほど。
凛とした雰囲気をまとい、鋭い青い瞳で主人公を見つめる。
「あなたが天命の儀で異変を起こした少年ですね。」
主人公は静かにうなずく。
「私は王国近衛騎士団第三部隊隊長、セレナ・アルヴェルト。」
女性騎士は胸に手を当て、一礼した。
「本日より、あなたを王都まで護送します。」
村人たちはざわつく。
「護送だって?」
「まるで罪人じゃないか……。」
その言葉を聞いたセレナは首を横に振る。
「誤解しないでください。あなたを拘束するためではありません。」
そう言うと、彼女は少しだけ声を落とした。
「あなたを守るためです。」
主人公は驚く。
「守る?」
「昨夜から世界各地で異変が確認されています。そして、あなたを狙う者が現れる可能性があります。」
村長が前へ出る。
「それほど危険なのですか。」
「はい。」
セレナは真剣な表情で答えた。
「今回の件は、王国だけの問題ではありません。」
その言葉に、その場の全員が息をのんだ。
「準備ができ次第、王都へ出発します。」
主人公は家へ戻り、旅支度を始める。
父からは旅で使っていた丈夫な剣を。
母からは手作りの革袋とお守りを渡された。
「必ず帰ってくるんだ。」
父は短くそう言った。
「うん。」
主人公は力強くうなずく。
昼過ぎ。
村の入口には多くの村人が集まっていた。
「頑張れよ!」
「また帰ってこい!」
「元気でな!」
主人公は何度も頭を下げる。
生まれて初めて村の外へ出る。
不安もある。
それでも胸の奥では、新しい世界への期待が少しだけ膨らんでいた。
一行が村を出発して間もなく、遠くの丘の上から黒いローブをまとった人物がその様子を見つめていた。
「見つけた。」
フードの奥で赤い瞳が怪しく輝く。
「始まりの器……。」
その人物は静かに笑うと、風とともに姿を消した。
主人公はまだ知らない。
この旅が、自分の運命だけでなく、世界の未来を大きく変える第一歩になることを。
第4話「王都からの招待」終
第4話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ついに主人公はルミナ村を旅立ち、新たな物語の舞台へと歩み始めました。これまでの穏やかな日常は終わりを迎え、ここから主人公は広大な世界と数々の試練に立ち向かっていくことになります。
今回登場した近衛騎士団や、主人公を見つめる謎の人物は、今後の物語で重要な役割を担います。それぞれがどのような目的を持ち、主人公とどのように関わっていくのかにも注目していただけると嬉しいです。
次回、第5話では主人公が初めて村の外の世界へ足を踏み入れます。新たな景色や人々との出会い、そして旅の途中で起こる最初の試練が待ち受けています。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。これからも『エルディア・クロニクル』をよろしくお願いいたします。




