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帝都にある谷の町の住人  作者: うしねことその身内
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16. 瓦屋根の修理

16. 瓦屋根の修理


ある雨の日、食事をしていると、佳代子の頭の上に水のしずくが垂れてきた。


「あっ、雨漏り。」


「またか。」


最近雨の日が多く、その都度家のあちこちで雨漏りが発生していた。

その度に、床や畳の上に洗面器や桶を置き、対策をしていた。


「屋根の瓦を、そろそろ直さなくてはいけないかねえ。」

と、ちよが言うと、


「そんなお金、どこにある。雨漏りしても、桶を置けばいいじゃないか。

贅沢するな。」


と、鉄二が言う。


佳代子の頭の上に雨漏りの雫が垂れてきたその日も、同様の会話が、父と母の間であった。


しかし、今日は違った。


「じゃあ、自分で治せないの?」

と、亮一がその会話に参戦し、父と母に言う。


「そうね、職人さんに頼むより、自分たちでやった方が安いわね。」

と母が言う。


結局、父と亮一が屋根の修理をすることになった。


父は亮一に一言、

「余計なことは言うな。」

と言う。


翌日の午後、兄は学校から帰ってくると、

図書館に向かった。


何でも、雨漏りを直す方法の本を探す、

とのことだった。


夜、兄が家に帰ってくると、

1冊の本を抱えていた。


兄が曰く、


「屋根の雨漏りの原因として、瓦のずれやヒビが最も多く、棟瓦の歪みや、

瓦の下などにある、漆喰材や屋根土の劣化も雨漏りの原因。」

とのこと。


この週の日曜日、兄は、木組みの梯子を屋根にかけ、

屋根の具合を調べた。


その結果、瓦のずれは23か所、瓦の割れが8か所あるとのことだった。

あと南側の屋根土が流され、無くなってなっていることも、確認していた。


「電話帳で、近くの瓦屋に瓦と修理用の屋根土を分けてくれないか、聞いてくる。」

と言い、家を出ていった。


3時間後、兄は戻ってきて、

母に、


「近くの瓦屋から、予備を含めて新しい瓦10枚と、補修用土、

そして漆喰を売ってもらえることになった。

そして、台車と小手も貸してもらえることになった。

ただ、お金が4円かかるらしい。」

と兄が言うと、


「それくらいなら。」

と兄にお金を渡す。


兄はお金を持て、瓦屋に行く。


部屋の隅で、兄が次々と修理の仕事をこなすことについて、

父は肩身が狭いのか、

ずうっと新聞を読んでいた。


兄が戻ってくると、瓦や修理土、漆喰や道具を持ち、

屋根に上がっていく。


そして、兄は屋根の修理を始める。


途中、50歳くらいの男の人が、兄の仕事ぶりを見に来た。

母が応対をする。


何でも、その男の人は、兄が購入した瓦屋の職人さんで、

兄は全くの素人なので、心配になって見に来たとのこと。


兄が一通りの修理を終えると、

その職人さんが笑顔で、

「どれ、確認をしてあげよう。」


と言いい、屋根に上がっていく。


職人は確認をすると、降りてきて兄に、

「素人にしちゃいい仕事をしている。」

と言う。


結局、漆喰で一部職人さんが修正をしたほか、

兄の修理でほとんど問題ないとのことだった。


職人は兄に、

「弟子に来ないか?」

と誘われていた。


その日の夜、雨が降ってきたが、雨漏りはせず、

父はずうっと食事中も、新聞を読むしぐさをし、

母に怒られていた。

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