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魔王対策ブリーフィング(4)

 ジェイソンは、作戦を説明する。


「作戦の骨子は変わらない。勇者が魔王と対峙できるように、それ以外を我々が引き受ける、という形だ」


 細かいのは、


「キマイラは、周囲を囲むことが必要になる。また、魔王の討伐は、勇者がトドメを差しさえすれば、それまでにダメージを与えたのが誰なのかは、問題にはならない」


 そうだな、とジェイソンから問いかけられたゲオルグは、頷いた。


「ええ。問題ありません」

「そこで、『虹の飛島』の仕事だ」


 会議室の面々を見回し、ジェイソンは最後にジェシカとルディランズに目を向けた。


「ルディランズは、本陣に詰めて戦況の把握を務めてもらう」

「質問がある」

「何か? 勇者殿」

「そちらの彼は魔術師のようだが、戦況の把握とは?」


 魔術師、というのは、基本的にアタッカーである。

 もちろん、魔術の分野は多岐にわたるため、索敵ができる魔術師がいてもおかしくはない。

 だが、索敵系の魔術は、魔術としては難易度が低く、簡単なものならば魔術師でなくとも使える者は多い。

 それをわざわざ、他クランから持ってきて使う、というところに、ベイナスは疑問を抱いたのだろう。


「俺は、そういう『力』を持っている。そう理解しておいてくれ」

「詳細は?」

「説明してもいいが、ジェイソンさんの作戦を全部聞いてからにしてくれ」

「了解した」


 ベイナスが、挙げた手を下ろした。

 それを見て、ジェイソンは続ける。


「まず、我々『遊撃隊』が、敵の軍勢を釣り出し、群れに当たる」


 魔王が、群れの先頭で走ってくることはまずない。

 大概の場合、魔王は一番後ろにいる。


「魔王のところまで、聖遣隊を連れていくために、『虹の飛島』に出てもらう」

「・・・・・・ああ、なるほど。露払いってわけね?」

「そうだ。加えて、もう一つ役割がある」


 ジェイソンが、ゲオルグを見た。


「我々教会の方から、巡礼騎士を六名出します」


 巡礼騎士、というのは、教会が持つ戦力である。

 その内実は、勇者や聖女のいない聖遣隊、というところだ。

 聖遣隊は、あくまでも勇者か聖女が所属している部隊である。

 だが、教会に所属する戦力をただ遊ばせておくことは惜しい。

 だからこそ、各地を巡礼させ、問題が発生していれば解決する。

 そういう役目として、巡礼騎士は存在する。


 冒険者と仕事内容は似ている。

 ただ、冒険者はその性質上、報酬の高い、あるいは、割のいい依頼ばかりを優先して受ける。

 そうなると、あまり報酬が良くない依頼は、長く残ってしまう。

 巡礼騎士は、むしろそういった依頼の方をこそ、率先してこなす。

 だからこそ、冒険者とぶつかり合いになることは少ない。


「今回、『虹の飛島』には、魔王のいる場所まで、聖遣隊と巡礼騎士を連れて行ってもらう」

「巡礼騎士の方も?」

「魔王のところにたどり着いたら、巡礼騎士は結界を張り、魔王と群れを隔離する計画だ」


 そうすることで、魔王と勇者が戦うところに、邪魔ものを入れない、というやり方である。


「だが、結界を張ると、巡礼騎士は無防備になる」

「そこを、私たちでガードする、ということね?」

「そうだ。結界を展開し、魔王と勇者が戦闘状態に入ったら、『虹の飛島』は、巡礼騎士を守り、戦闘が終わるまで結界を維持させるんだ」

「了解」


 現場に出れば、想定外が発生する可能性はある。

 だが、作戦自体はシンプルだ。


「重要なのは、魔王は勇者が倒す。この状況を作り出すことだ」


 ジェイソンの締めくくりに、全員が頷いた。


「ところで、一つ聞いておきたいんだが」


 ルディランズは手を挙げて、ベイナスを見た。


「結界を展開している間に、魔王を殺せるか?」

「・・・・・・それは、私に対する侮辱かい?」


 ベイナスは、不快げに眉をひそめたが、ルディランズは首を振って続けた。


「いや、結界の内部ということは、戦闘のフィールドの広さには限界が出る。キマイラは基本的に巨大だ。狭い中で、巨大なキマイラとやり合うとして、時間をかけずに倒せるかってこと」

「・・・・・・ふむ」


 ルディランズの言葉に、ベイナスは考えこんだ。

 体格が大きい魔獣は、それだけで危険な相手だ。

 相手取るならば、狭く障害物の多いところで動きを制限するか、逆に思い切り広いところで距離を取って戦うかだ。


「ついでに言えば、トドメを刺すのが勇者であることは必要だが、他の援護は要らないか?」

「魔王といえど、キマイラ一頭。むしろ連携が慣れているこのパーティーの方がやりやすいとも」

「そうか。まあ、実際に戦う勇者本人が、それで大丈夫なら」


 ルディランズは、そう言って、意見を引いた。


「他、意見は? ないようならば、準備に入る。既に大方の準備は終わっているし、明日には出発する」

「了解」


 そして、作戦会議は、これで終了となった。

・巡礼騎士

教会の保有戦力

基本的には、冒険者と同じ仕事をするため、教会、というギルド所属の冒険者を特別にこう呼ぶ、という見方もできる。

各地を巡り、村長などから直接依頼を受け、仕事をする。

報酬などないようなものだが、教会は冒険者協会や国家などから予算をもらっており、巡礼騎士の報酬はそこから出る。

彼らの主な使命は、金がないことで冒険者に依頼ができない人々を救うことである。

また、勇者や聖女が巡礼に入る際、そのパーティーに加わって、聖遣隊になることも、彼らの目的である。

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