19.捕虜の情報は-サンドイッチでも食べましょ-
全48話予定です
日曜~木曜は1話(18:00)ずつ、金曜と土曜は2話(18:00と19:00)をアップ予定です(例外あり)
あのあと、捕虜の情報は各レイドライバーのパイロットには開示された。それは、その方が都合がいいと判断されたからだろう。
カズがそれを各員に話した時、それぞれの反応はまちまちだった。
レイリアは明らかに驚いていたし[そんなに情報が洩れているの? どこから?]と聞き返してきたくらいだった。
トリシャは[まぁ、あの攻撃方法を見れば妥当じゃあないの]とあくまで冷静、というかそんなに驚くほどでも、とった表情を浮かべていた。
だが、クリスはというと、特に反応を示さなかった。というよりは反応しなかった、と言ったほうが正しいのだろう。
現に、情報開示を終えて各自解散となり、カズがちょうど資料をまとめるのに一人になったところを見計らって、
「隊長、実はご相談したい事がありまして。少し、お時間を頂けませんか?」
と尋ねてきたのだ。
「それはこの場にいた人間には聞かせたくない話、という事かい?」
とカズが逆に尋ねると、
「レイドライバーに、その操縦に関する事なので、あまり他の人には聞かせない方がいいかと思いまして」
「その言い方だと、あまり良くない情報だね?」
「はい……」
クリスの表情は沈んでいた。
「まぁいいや、聞こうじゃあないか。そうだな、ちょうどのどが渇いていたところだ。食堂でコーヒーでも貰って、飲みながらでもいいかい?」
出来るだけ深刻にならないように、というカズの配慮だった。
「ええ、それで構いません。出来ましたら……」
とまで続けるクリスに、
「ああ、いつもの部屋の許可を取っておこう」
と直ぐに携帯を出して、
「カズであります。例の部屋の使用許可を願えますか? はい、内容はもちろんお伝えしますので。はい、はい、ではお借りします」
と会話を終わらせたあと、
「じゃあ、行こうか」
カズたちは食堂でコーヒーを二人分注文してすぐにそれを貰ってどこかへ消えていった。それを、ちょうど軽食を摂ろうと、同じく食堂にいたレイリアとトリシャが見つけたのだ。
レイリアは[たいち……]まで声を出したが、直ぐにトリシャに口を押さえられた。
「何するの?」
カズたちが去ってから、こちらの声が届かないくらいまで口をふさがれたあと、やっと解放されたレイリアがトリシャに尋ねる。
「あの二人がコーヒー片手に、しかもここじゃなくてどこかで飲むとすれば、私たちは知らない方がいい話よ」
「でも、話くらいなら食堂でも」
そう続けるレイリアに、
「だ、か、らぁ、ここでは話せない話、って事でしょ? そういう時は黙って見送るのがマナーってものよ」
とトリシャが続ける。
「そんなもんかなぁ」
まだちょっと不満そうなレイリアに、
「私たちはサンドイッチでも食べましょ?」
と話を終えようとした。
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