表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポニーテールの勇者様  作者: 相葉和
206/206

206 ポニーテールの勇者

「母さん、教室の戸締まりして来たぞ」

「はい、お父さん、お疲れさま。晩御飯はできていますよ」


戸締まりを終えて妻の待つリビングに戻って来たのは由里の父、修造だ。

修造は自身が自宅で経営しているそろばん塾の塾長である。

修造の家は一階がまるまるそろばん教室になっていて、多くの生徒がそろばんを習いに修造の塾へと通っていた。

もっとも、昔ほどの活気はない。

学習塾や英会話教室など他の習い事が主流の今、そろばんを習う生徒の数は年々減少している。

数十年前は数百名いた生徒も、今は二桁までに落ち込み、経営も決して楽ではなかった。

しかし修造は塾をたたむ気は一切なかった。

修造自身が若い頃からそろばんに魅了されているのはもちろんだが、そろばんを学ぶことで頭の回転が速くなったり、集中力や判断力や決断力が身につくことを修造はよく知っている。

そんな素晴らしいそろばんの技術を廃れさせないように、自分がそろばんを教えていくことは使命だとすら感じていた。

もちろん理由はそんな崇高なものだけでは無かったが。


「今日ぐらい、塾を休みにしても良かったのよ?だって今日は・・・」


晩御飯のおかずを食卓に並べながら、由里の母、優子は独り言のように呟いた。


今日は一人娘である由里が行方不明になった日だ。

あれから丸三年が経った。

由里は会社を辞め、実家に帰る途中で寄った温泉旅館の宿泊中に、突如として失踪したのだ。

他の客がうっかり逃してしまったハムスターの捜索を手伝っている最中に行方不明となったらしいのだが、警察の捜査も虚しく、未だ発見には至っていない。


「休まんよ。別に由里は死んだわけじゃない。まだ旅行をしているだけだ。あの馬鹿娘、連絡の一つも寄こさないで、いつまでほっつき歩いてる気だ」

「はいはい。味噌汁、熱いですから気をつけてね」


修造が塾を畳まない理由、それは由里が帰って来た時にそろばん塾が無くなっていたら悲しむ、あるいは怒るに決まっているからだ。

由里が帰ってくるまでは意地でも塾を続けるつもりだった。


優子が晩御飯のお皿を並べ終え、リビングを出る。

玄関のほうで物音が聞こえたので、見に行ったのだろうと修造は推測した。

最近は置き配という、玄関先に荷物を置いていく配達があるので何かが届いたのかもしれない。

優子は割と新しい家電が好きで、時折ネット通販を利用して家電を買うことがある。

別段高価なものを買うわけではなく、修造自身も便利に使うことが多いので文句を言ったことはない。

買い物で優子の寂しさが紛れるならば・・・という思いもあった。


熱い味噌汁を慎重に飲みながら、今度は俺の髭剃りでも新調してもらおうかなどと考えていると、優子が足音が立つのも気にせず、ドタバタとリビングに駆け込んできた。

優子の手にはダンボールや紙の包装もされていない、剥き出しの木箱があった。

大きさはちょっとした菓子折りの箱ぐらいだろうか。

さほど重くもなさそうに木箱を持つ優子だが、その様子は慌てふためいていた。


「お父さん!荷物が、荷物が玄関に!」

「今度は何を買ったんだ?それとも懸賞でも当たったのか?」

「違うの!荷物が、玄関の中にあったの!」

「・・・鍵を閉め忘れたのか?」


いくら玄関の鍵を閉め忘れたからといっても、宅配業者がドアを開けて家の中に荷物を置くようなことはしないだろう。

修造は自分でも変なことを言ったという自覚があったが、優子の言う事をそのまま肯定するならばそれしかないだろう。

修造はより現実的な推論を述べた。


「どうせ荷物を受け取ったのを忘れて、そのまま玄関にでも置いといたんだろう?別に慌てるような事じゃない」


この話はこれで終わりとばかりに、修造はふたたび味噌汁を口にした。

優子はすぐさま反論をしようとしたが、自分の物忘れのせいにされたことに少しカチンときた。

しかしそのおかげで少し冷静さを取り戻した優子は、軽くやり返すことにした。

優子は荷物の上面に書いてある文字に目を落とすと、修造に尋ねた。


「ねえ、お父さん・・・居間にある、『そろばんを持ってる信楽焼のたぬき』の中にへそくりを隠してるって本当?」

「ぶほおっ!がはっごほっ・・・」


修造はようやく口に収めた味噌汁を盛大に吹いた。

優子はしてやったりと思った反面、後片付けをする手間に少し顔を歪めた。


「・・・母さん?何を急に・・・」

「だってここに書いてあるんですもの。本当の事なの?」


優子は手に持った木箱の一部分を指差している。


「いや、その、え?・・・」


信楽焼のたぬきの中にへそくりを隠しているのは事実だった。

しかし別に悪い事をしているわけではない。

お小遣い制の修造は、妻の誕生日にプレゼントを買ったりするために少しずつへそくりを貯めているのだ。

自分の財布に分けて入れておかないのは、優子が時折自分の財布を見ては、お金が少ない時に足したりしてくれるのを知っているからだし、机にしまっておいても掃除をされた時に気づかれてしまう。

そのため、隠し場所を決めてへそくりをするというクラシックな方法をとっていたのだが、それを知っているのは、自分と・・・


「・・・由里には昔バレて問い詰められたことがあるが、別に悪い事をしているわけではなくてだな・・・」

「私の誕生日プレゼント用なのでしょ?ここに書いてあるもの」

「・・・誰だそんな悪戯をするのは・・・大体なんなのだ、その気味の悪い箱は!」


吹いた味噌汁で汚れた口を軽く拭きながら、自分しか知らないはずの秘密が書かれた箱に嫌悪感を抱いた。

一刻も早く箱を捨てるべきと思い、立ちあがろうとしたのだが、優子は捨てるどころか愛おしそうに木箱を抱きしめている。


「母さん、そんな危険なもの、早く捨てて・・・」

「この箱がなんで玄関にあったかは分からない。宅配の伝票もついてなかったのよ。でも差出人の名前は書いてあったわ。ほら見て!由里なのよ!」


優子が再び修造に箱を見せて指を差す。

そこにはこう書いてあった。


『父さん、母さんへ 千登勢由里』


修造は勢いよく立ち上がり、テーブルの味噌汁をひっくり返した。

今日一番不憫な扱いを受けている味噌汁はもはや放置されたまま、修造は優子の持つ箱に触れ、何度も宛名を読んだ。


「・・・本当に・・・本当に由里からなのか!?」


この一言を言うために、修造は力を込めて声を絞り出さなければならなかった。

それほどまでの驚愕と動揺と歓喜が体を突き刺していた。

由里から送られてきた木箱をしっかりと見ていたいのに、修造の目には涙が滲み、視界がぼやけ始めていた。


「ええ、ええ・・・間違いないわ。ここ見て」


涙で霞む目を擦り、修造は優子が示す文字を読んだ。


『父さんがすごく大事に育てていた松の盆栽、野良猫が駄目にしちゃったって言ったけど、本当は母さんが盆栽を落として、それに気づかずにわたしが踏んづけて真っ二つに折れちゃったから、母さんと二人で証拠隠滅したの。ごめんね』


修造の涙はぴたりと止まった。


「これは私と由里しか知らない秘密なの!あの子、私達しか知らない事を書いて、荷物が本当に由里からなんだって証明してるのよ。全くあの子ってば・・・」

「・・・ああ、そうだな」


涙を流して喜ぶ優子。

一方、修造は突然のカミングアウトに相殺されて若干モヤモヤしていた。



「ユリよ、何を書いてるのじゃ?」

「んー、手紙。父さんと母さんに」


わたしはカークの館の自室で手紙を書いていた。

アキムから救援依頼が届いてから、既に半年が経っていた。

転移の魔道具の製作は順調に進み、先日ついに完成した。

これも全領地が協力して、魔石や素材の提供をしてくれたおかげである。

数日後にはいよいよアキムのいる星へと乗り込む予定だ。

アキムがいる星へ行くのはわたし、アドル、ミライ、ノーラ、エリザ、ホークス、そして『眷属契約』をした人のうち、一緒に行くことを希望した有志の皆さんだ。

もちろん精霊達も全員一緒に行くのだが・・・


「そういえば、ジンとミっちゃんは帰って来た?」

「ジンは帰って来ているのじゃ。後でまた相談に来るそうじゃ」

「うう、またか・・・」


ジンはちょいちょいニューロック周遊の旅をしていた。

ジンの主人であるミライも一緒に行くことがあるが、その場合はお目付役でアフロと、何故かサラも一緒に行くことが多い。

なお、ジンが旅をしている目的は、物見遊山ではなく、わたしとの約束を果たすためである。


『この星の人間全員に会って、一人につき一つ、お願いを聞いてその手助けをしてくること』


ジンはこのミッションを達成するため、まずは手近のニューロックから着手していたのだ。


「しっかし、もう少しジンも融通が効くといいんだけどねえ」

「約束をしたのはユリなのじゃ。相談相手にはユリが最適なのじゃ」

「こんなにめんどくさくなるとは思わなかったのよ・・・」


ジンは片っ端から人々の願いを聞いて回っているのだが、時折、どうすれば良いかと相談に来る。

その内容が、


『二人の男が一人の女に求婚をしている。片方の願いを聞くともう片方は叶えられない。どうすればいいか』


とか、


『料理屋の店主が新しい料理を考えて欲しいそうだ。何かいい料理を教えてくれないか』


など様々だ。


自分でなんとかせい!と言いたくなるが、仕方がないのでその都度詳しい情報を聞いたり、時には現場に赴いて一緒に解決することもある。

むしろ余計な仕事が増えてしまった。

そんなこともあって、かつては『ジンさん』と呼んでいたものだが、すっかり馴染んでいつの間にか呼び捨てが定着していた。

もはや死闘を繰り広げた間柄だったことなどすっかり忘れている。

そんな感じでニューロック中を飛び回っているジンとミライのコンビは、皆にすっかり顔を覚えられて有名人となっていた。

時々大量のお土産を持たされて帰ってくるあたり、皆から慕われているようでなによりである。


「たっだいまー!」

「ただいま戻りました!」

「お、噂をすれば!お帰りなさい、ミッちゃん、メティスちゃん」


部屋に入って来たのはミネルヴァとメティスだ。

メティスは長期休暇を取り、ミネルヴァと一緒にライオット領へ里帰りしていたのだが、ちょうど帰ってきたらしい。


「久しぶりにネネちゃんにも会えました。ネネちゃん、ユリさんに会いたがっていましたよ。今度ニューロックに連れて来てもいいですか?」

「もちろん!ところでメティスちゃん。もう光の魔術には慣れた?」

「はい、すっかり。いつもミネルヴァちゃんを感じられているようで嬉しいです」

「な、なによ、恥ずかしいわね・・・」


長い付き合いでミネルヴァとメティスもすっかり打ち解け、仲良しとなっている。

それに、ただ仲がいいだけではない。

メティスは今、ミネルヴァと契約しているのだ。

契約といっても支配契約や隷属契約ではない。

手頃な言い方が無かったので、わたしが『眷属契約』という名前をつけた。

『名前をつけた』という通り、元々存在していた契約形態ではない。

エスカやアドル、そしてアフロやミネルヴァといった魔道具の専門家と精霊の協力によって開発した魔道具による契約なのだ。

この契約は、精霊が信頼に値すると認め、かつその精霊の属性に適性があり、一定以上の魔力を持つ人間に対してのみ行うことができるというものだ。

そして契約が成立した人間は、その精霊が持つ魔力を供与され、その特性にあった精霊魔術が少しだけ行使できるようになるのだ。

なお、精霊魔術の行使には精霊の許可が必要であるし、契約破棄は精霊側から一方的にできるため、精霊が悪用される心配も少ない。


そんなわけで、今のメティスは光の精霊の眷属であり、光の魔術を少し使う事ができるのだ。

無論、ミネルヴァと仲の良いメティスとはいえ、贔屓で楽に眷属になったわけではない。

元々メティスに素質はあったのだが、ミネルヴァと契約するために魔力量を伸ばす訓練を必死に行い、見事契約に成功したのだ。

いずれは幼少の頃から精霊に多く触れる機会を増やし、魔力を効率よく伸ばす訓練をすることで、世界中にたくさんの眷属が生まれることだろう。


ところで何故そんな魔道具を作ったのか、それには政治的な理由がある。

あれから各領地の太守、そして私を含めた有識者で何度も会議を行なった。

そして『次代の王は血縁や魔力量だけによらず、精霊様に認められた人の中から選ぶ。そして全ての人に平等にその機会を与える』という方針になったのだ。

精霊に認められたことを判断する一番の方法は支配契約を結ぶことだが、普通の人に支配契約をさせることはかなり難しいし、基本的に精霊一人につき一人しか契約できない。

そのため、もう少し手軽に精霊に認められたことを判定するための方法がこの眷属契約だ。

ちゃんとした仕組みが出来上がるのはまだまだ先のことになるだろうが、さしあたって眷属契約の魔道具の試運転がてら、ニューロックで実証実験を開始したところだ。

なお、王制自体の廃止も検討されている。

多くの人が精霊の眷属となり、その人達が自由な意見を出し合いながら、より良い星へと導くようになれば素敵だと思う。


「・・・早くそんな未来がくるといいな」

「え?ユリ、なんか言った?」

「なんでもないよ。それより、そろそろわたし行かなきゃ」

「うむ。そろばんの授業の時間なのじゃ」

「あ、私も手伝います!」

「ありがとう、メティスちゃん!準備するからちょっと待っててね」


半年の間に伸びた髪を、少し高い位置でひとまとめにしてポニーテールを作る。

そして胸に勲章をつける。

人前に出る時には必ずつけるようにと言われているのだが、未だにちょっと恥ずかしい。


「ユリさん。その勲章、とっても素敵ですよ。それにその髪型も、まさにこの星の象徴ですね」

「もう、からかわないでよ・・・」


実はもう一つ、大きな決定があったのだ。

この星の名前、元々は『エコリーパス』という名前だったのだが、カークや他の領地の太守達がこぞって『この星の名前を、救世主である勇者の名前を冠した名前に変えよう!』と言い出したのだ。

わたしの名前をつけるなんて嫌だと猛反対したところ、折衷案としてわたしのトレードマークであり、ニューロックの象徴にもなっていた『ポニーテール』が新たな星の名前となったのだ。

そんな簡単に星の名前を変えるなどまったく信じられないことだったが、新しい名は思いのほか好評らしい。

カーク曰く、『エコリーパスなど発音しにくかったし、ちょうど良かった』だそうだ。

知らんわー。


そしてわたしの功績を称え、新しい星の名が刻まれた勲章が授与されたというわけだ。

勲章にはこう刻まれていた。


『ポニーテールの勇者 ユリ』


わたしの準備が整ったと見たディーネが、部屋の扉を開けて待つ。

わたしは書きかけの手紙をチラッと見た。


・・・まだまだ書く事がたくさん増えそうだね。


わたしはポニーテールを翻し、扉へと向かった。


「よし、ディーネちゃん、行こっか!」

「うむ、承知したのじゃ!」



『・・・そんなわけで、私がこっちの世界に来てから今までに起きた出来事をざっと書いてみました。こうして手紙や荷物は転送できるようになったんだけど、私はまだやらなければいけないことがあるので、帰るのはもう少し先になりそうです。今度エスカに頼んで、そっちからも荷物が送れるようにならないか相談してみます。あ、久しぶりに柿が食べたいな。送れるようになったらお願いします!』


修造は頭を上げて、手紙を読んでいた目を優子に向けた。


「どう思う?母さん・・・」

「どう思うと言われても・・・柿はまだ季節じゃないですよ」

「いや、そこじゃない。内容の方だ」


木箱に入っていた手紙は由里の筆跡に違いないと思った。

しかし書いてある内容は突拍子もなく、俄かに信じられなかった。


「だいたい、異世界っていうのはなんなんだ?外国のことなのか?」

「いいえお父さん。異世界っていうのは、ファンタジー映画に出てくるような別の世界のことよ。だって『魔力』とか『精霊』とか書いてあるけど、そんなのこの世にあるわけないじゃない」

「由里は漫画とかアニメが好きだったからな・・・まさか誘拐された極度のストレスで現実逃避しすぎて、現実とごっちゃになっているとか?」

「・・・ねえお父さん、この綺麗な青い宝石の嵌った棒、ちょっと触ってみていい?」


好奇心旺盛な優子は、木箱に一緒に入ってた不思議な形状の棒に興味が移っていた。


「・・・危ないんじゃないか?」

「由里の手紙の説明によれば『魔力は注入済みだから、何回かは動く』って。えーと・・・」


しかし修造の制止の声など、もはや優子の耳には届いていない。

優子は説明に従い、棒を動かしてみた。

すると突然、棒から勢いよく水が吹き出した。


「おい!優子!おいっ!」

「わっ!わっ!!・・・あははっ!」


棒の体積を考えても、その中に入っていたとは思えないほどの水が勢いよく噴出され、リビングを水浸しにした。

その現象に修造は驚き、優子は爆笑した。


「すごい!これすごいわよ、お父さん!」

「・・・ああ。笑っている母さんもすごいと思うがな」


とりあえず修造は、テーブルの上に置いていた手紙と木箱の中身が濡れなかったことに安堵した。


「ねえ、お父さん。やっぱり由里の書いてる事は本当のことなんじゃないかしら。私もまだ全部を信じてるわけじゃないけど、こんなのを見せられたらねえ・・・」

「母さん!その棒を振るんじゃない!」


トントンと手のひらで棒を弄ぶ優子に、修造が焦りの声を上げた。

また水浸しにされてはたまらない。


「・・・まあ、そうだな。母さんの言う通り、まずは信じることにしよう。そうしないと、由里が生きてることも否定することになるからな・・・それにだ」


修造が木箱に手を入れた。

木箱から出た修造の手には、そろばんが握られていた。

玉はツゲのようにも見えるが、感触が違う。

そもそも全体的に、一体何の木で作られているのかも分からなかったが、思いのほか出来は良かった。


「由里がそろばんを作って、そろばん塾を開いて、世界中に広めているとはなあ・・・」

「嬉しいですよね、お父さん」

「ああ。さすが俺の娘だ」

「私たちの、ですよ」


やはり塾をたたまなくて良かったと、修造は心の底からそう思った。

由里が帰って来た時、由里がそろばんの先生としてどれくらい成長しているか今から楽しみだ。

そしていつの日か、この塾を由里に・・・


「母さん。老後の楽しみができたな。そうだ、塾を由里に継いで俺が引退したら、由里に代わって俺がその異世界とやらに行って、その星の子供達にそろばんを教えるってのもいいんじゃないか?」

「お父さん、すっかり友理の手紙を信じる気になりましたね」

「ああ、信じることにする。母さんはどうなんだ?」

「ええ、信じますとも。手紙も、由里も。だからお父さんも、ちゃんと覚悟しておいてくださいね」


そう言って優子は手紙の最後の部分を指差した。


『・・・また手紙を書きます。そしてやる事が終わったら必ず帰ります。それでね・・・その時、父さんと母さんに会って欲しい人がいるの。私の大切な人よ。一緒に連れて帰るから、楽しみにしててね!』


長い間の愛読、ありがとうございました!


お気に召していただけましたら、ブックマーク、評価をいただけると大変励みになります。

次回作は現在準備中です。

今後ともよろしくお願いいたしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ