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別れ
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次の日の昼休み、あたしは凜を屋上に呼び出した。
いつの間にか教室に姿が見えなくなっているので、1人で階段を上り、重い扉をガララと開いて覗いてみると、手すりにもたれてjojo立ちしている凜が気取って手を上げた。
「よう」
あたしがゆっくりのったり近づいて行くと、期待にわくわくしているような目でこっちを見て来る。
「どうした? 貴様のほうから呼び出すなんて? 弁当か? もしかして弁当を作って来てくれたのか? それなら早く言え。俺のお袋に無駄に弁当を作らすな」
「あの……さ」
あたしは別れ話を切り出そうとして口ごもる。
どうも凜に口を挟む隙間を与えてしまうの、あたしの悪い癖だ。
凜が言った。
「あの、昨日……。日曜日、すまなかったな」
「え?」
「動物園……。あんなことになってしまって」
「いーよ。凜のせいじゃないし」
「おまえの腹殴ったやつ、俺、ぜってー許さねーから」
「いいって……」関係なくなるんだし、と言おうとして口ごもる。




