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35話 天使降臨

 眩しさで、目覚めた。


 ***


 部屋の中は、まるで野外にいるような明るい光に包まれていた。


 ああ、私ったら、朝を通り越してお昼まで寝ちゃうなんて……

 エスペンに、「何時まで寝てるんですか?」 とかなんとか、小言を言われるんだろうな。


 そうだ! いっそのこと誰かが起こしに来るまで寝直そう!

 ……と、目と閉じてみたものの、やっぱり眩しい。


 カリンさん、カーテンを開けに来たんなら、ついでに起こしてくれても良かったのに……


 眩しさに右へ寝返りをうつと、燃えるような赤色と、丸身を帯びた白い物体が目に入った。


 あれ?

 この赤色。ルイーズの髪色に似てる。


 じゃあ、あの丸いラインは、ルイーズの……まさか巨胸!?

 いやいや、胸なわけあるかい。クッションかな、それともぬいぐるみ? 

 まあでも、ホムラに授乳していたルイーズの胸、私の顔ぐらいの大きさだったもんなあ。


 寝坊の言い訳とか、もっと他に考えることがあるのに、ぽけーっとルイーズの髪色に似た丸い何かを凝視してると。それがゆっくりと、こちらに向かって転がりはじめた―――


 え!? 動くの!?


 それは、私の顔面数センチのところで静止した。


 フワっと揺れる鮮やかな赤い髪と、私を見つめるつぶらな青い瞳。


 深い青色。

 ネイヴィーブルー!


 ん? え? 

 こ、こ、こここの子、もしかして、ルーシー!?


 「うーしー(ルーシー)!?」


 ん!? いまの声……

 戸惑っていると、目の前に迫る青い瞳が大きく見開いた。 


「ああう?」(ルーシー)

 

 ああう?

 

「ああていって……(なんて言って)!?」


 え、あれ?

 やっぱり、上手くしゃべれない。声もおかしい。



 ―――最高に嫌な予感がした。

 

 

 すると、頭上から男性の声が聞こえた。


「おっ、ルーシーも一緒に起きたのか。ほらリラ、この子の瞳を見ろ。紫色だ。エスタじゃない」


「わかったわ、でもテオ。この子、どうして」



 目の前にいるこの子、やっぱり『ルーシー』だった!

 ってことは、ここ、ルーシーの()!?


 上方から私たちを覗きこむ二つの顔は、逆光でよく見えない。


 そこかしこに漂う違和感に、目を細め恐る恐る周囲を確認してみると、驚くことにこの部屋(……というかこの家)、天井が見当たらない! 

 天井らしき場所には、木々の葉の隙間からきれいな青空が顔をのぞかせていた。


 うわぁ、そういう設定だった――――


(※ルーシーの家は、お父さんDIYで建てた家。たまに、天井がないことも……)


 そりゃ設定したのは私だけど、実際、現場に立ち会ってみると後悔と反省しかない。

 雨の日、どうすんの?


 心の中でこの家に、突っ込みを入れていると、

 

「なあリラ。俺が思うにきっとこの子は、何らかの呪いをかけられたに違いない」


 テオドールさんの重々しい口調に、私は固唾をのんだ。


 『呪い』? というか今、『この子』って言った? ()って、誰? 


「呪い?」


「ウィルが言うには、この子は空から落ちてきたらしい。俺が駆けつけた時には君くらいの大人の女性で、既に虫の息で……なのに『森の外まで運んで』と頼まれて……」


「それで、運んでいるうちに?」


「ああ。俺も驚いて……だけど、この状態で魔獣が徘徊する森に置いていくなんて……できなくて」


 二人の会話に聞き耳を立てていると、小さな手が私の顔を掴み、右にグイッと向けた。


「おおい?(呪い?)」


 と、赤ちゃんルーシーが、心配そうに私を見つめ言葉を発した。


 私は青ざめた。

 私に触れたら、ルーシーが凍っちゃう!


「わあああ あわっちゃ あめっ(私に触っちゃあだめ)!」


 必死に押し戻そうと手で押し返すと、”ふよん”と柔らかい感触がした。

 それに、思うように力が入らない。


 あれ?

 自分の手を見る。


 手、手がぁーーー!?


 小っちゃく丸く、ぽっちょりしてる!?



「新国王は、悪魔族。南のジェダイド帝国と同盟を結び、様々な政策を行っているらしいわ。この子の真っ白な髪は、恐らく前王の縁者。命を狙われ、ここまで逃れてきたとしたら」(リラ)


「ってことは、俺たちと同じ境遇ってことか。悪魔め、口封じのためとはいえ、こんな呪いをかけるなんて……かわいそうに」(テオドール)



 ゆ、指も! それに、 肘から下短っ、って、手や肘どころじゃない。

 これって……




 ―――私、赤ちゃんになっちゃった!?


 ()()()()()()()()()()()()()()()!? 


 とにかく、とんでもないことになっているのは確かだが、何度思い返しても、自分の身に何が起こったのか全く思い出せない。


 エスペン、ゲオルグ、コンラード、アルフレッドさん(家令)、城の皆の顔が走馬灯のように脳裏を過った。

 

 その時、私の動揺を察した赤ちゃんルーシーが、私の肩に手をポンと置いた。

 

「あうあうっ!」


 あうあうっ?


 ドンマイ的な趣の言葉を発したルーシーは、赤ちゃん特有の瞳と唇をウルウルさせて、にこっと眩しく微笑んだ。


 はわわわわわーーーーーーっ!!!!!

 赤ちゃんルーシー()()()()()ーーーーーーーっ!!!



 ()使()()()!!!


 応援ありがとうございます!

 次回、最終回!

 来週水曜日ごろ更新予定

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