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23話 ようこそバンディ城へ!

 私はまだ「夢の中」にいる。


 ***


 私たち(アスモデウス殿下と赤ちゃんホムラ、ゲオルグ一行)は、移動用魔方陣でバンディ城内南の『三日月砲台』に到着した。


 時刻は、午前0時を過ぎていた。


「ようこそバンディ城へ!」


 深夜の到着にもかかわらず、大勢の騎士たちが笑顔で私たちを出迎えてくれた。


 ***


 兼ねてから問題だった移動の際の衝撃は、皆コツを掴めてきたようで、粗相をするようなことには至らなかった。(※私とゲオルグは少し酔った。)


 コンラードとエスペンは、『移動用魔方陣リング』を入手したく、アスモデウス殿下に交渉やら、製作方法などを聞き出そうと詰め寄っていた。


 それもあってなのか、アスモデウス殿下は、私たちを暖炉付の応接間へ案内するよう騎士の一人に命じると……

「ちと、用がある」

 と、赤ちゃんホムラをコンラードに預け、逃げるように去って行った。


 そういった経緯で赤ちゃんホムラの世話は、娘さんが三人いるというコンラードの担当になった。本人は、「参ったな~」とか言いながら、赤ちゃんホムラにデレデレだ。


「よちよーち、はじめまして、元気でかわいいお嬢ちゃん。コンラードおじちゃんでちゅよー。ちょーっと失礼しまちゅよ。……おお、こりゃ気持ち悪かったでちゅねー、泣かずによくがんばりまちたね~」


 マザーバックからオムツを取り出したコンラードが、手慣れた様子でオムツを交換しはじめた。その間、赤ちゃんホムラは指をくわえ、ちゅっぱちゅぱしながらサンドイッチを頬張る私をじっと見つめてくる。


 超かわいい。抱っこしたい。ふわプルほっぺ、つんつんしたい。


 でも、私が触って凍らせてしまったら……凍傷になってしまったり、それによって傷や後遺症が残ったら……最悪の場合、命の危険もありうる!


 氷の魔女になってしまったがゆえのつらい代償に、身悶えしながら見つめることしかできない私であった。


「厨房にミルクあるってよ、どうすればいいの?」


 部屋に戻ってきたエスペンが、コンラードに尋ねた。


「ああ、鍋で温めて、この哺乳瓶に入れて人肌に冷まして……」 

 

 *** 


 そうこうしているうちに、応接間の二人掛けのソファーで、ゲオルグが眠り始めた。

 私は三人掛けソファーに座るコンラードの隣で、ミルクを飲む赤ちゃんホムラにぴったり張り付き、このかわいらしさを永遠に忘れないよう、一心に見つめ続けた。


 ず―――っと見ていられる。

 もう、ここに定住したい。


 とどまるところを知らない『赤ちゃんホムラ』のかわいらしさに夢中になっているうちに、私はいつの間にか深い眠りに落ちていったのだった。 


 ***


 翌朝、見知らぬ部屋で目が覚めた。

 ダークブラウンで統一された、重厚なデザインの家具たち。金の装飾が施された天蓋付きのゴージャスなベット。渋めの赤ワインのような色合いの絨毯とカーテン。ホラー映画の舞台のような、ちょっぴり薄暗くて古風な雰囲気の部屋だった。


「……あ、バンディ城に来たんだった」


 分厚いカーテンを開けると、外の眩しさに目を細める。

 すでに日は高く、中庭(?)のような場所に残った雪が陽光を反射していた。


「ゲオルグたちは……と、そうだ、赤ちゃんホムラ!」


 その時。

 急に、部屋の外が騒がしくなった。

 どうしたものかと廊下へ続くドアを開けると、奥にアスモデウス殿下の背中が見えた。


「……城が、ノール帝国軍から襲撃されただと!?」


 驚き大声で聞き返す、アスモデウス殿下。

 と、もう一人の人物は―――

 その人物は、アスモデウス殿下の大柄な体に隠され、よく見えない。


「(甲高い声)だからさっきからそう言ってる! ここにイフリートは来てないのか!?」

「確か、イフリートは昨日デウスへ向かって。その日の夕方にはカース城に戻っているはず。べリアス、ちゃんと確認したのか?」

 

 べリアス!?


 足音を立てないようにそっと近づき、アスモデウス殿下の影から覗き見た。


 べリアスは、酷く焦った様子で長い黒髪を振り乱し、美しい顔を顔芸のごとくゆがめていた。


(※べリアスとは、次期国王。小説内では主人公ルーシーに一目惚れし、契約を迫る美しくてエロい悪魔。)


「したよ! 昨日、早々にデウスを発ったと聞いたが、そのまま姿が見えない」

「は? ……んで、ルシフェルは?」

「今、デウスでトップ会談中だ。それよりも、大変なんだ! ノール軍は、昨夜の寒さでほぼ撤退したが、その後から『竜』みたいな青くて巨大な化け物が現れてカース城を……」


「え!? うそ……メルヴィル!?」


 思わず声をあげると、

 

「ヴィティ!?」

「うげーーーっ!!!」


 べリアスが悲鳴を上げ、くるっと回れ右をして走り出した。

 

「ヴィティ、部屋に戻ってろ」

「それより、青い竜って本当なの!?」

「ひぃぃぃぃぃーーーーーっ!!!」


 猛ダッシュで逃げるべリアスを追いかけ、捕まえ、問いただした。


「どういうこと! べリアス!」


「わ、わわ私が見たのは、巨大な青い竜が『"赤い髪の女"を出せ!』と言ってカース城を破壊して、イフリートの部下のジュードが鼻血たらしながら応戦していて……」


「は? 鼻血?」(アスモデウス)

「ルイーズが!? なんでカース城にいるの!?」(ヴィティ)


「知るかーっ!?」 


 べリアスは、半泣きでやけくそ気味に叫んだ。



「なんで……そんな、ルイーズが……どうして」


 淡々と進行する『物語の強制力』の無情さに愕然とした。

 このまま何もしなければ、ルイーズは……


「ルイーズ? ……お前ぇの知り合いか?」

()()()


「は?」


 べリアスは、口をぽかんと開け固まった。

 

「アスモデウス殿下、私を今からカース城へ連れて行って。お願い、早く!」

「お、おう」


「は? ……殿下? お願い? おい、何がどうなってんだ?」


 今はそれどころじゃないのに、いちいち私に戸惑うべリアスに怒鳴った。


「べリアスも、行くわよ!」

「え"!?(嫌そうな顔) は、は、はい、はいはい、はーい(棒読み)」


「んじゃ、行くか」

()()()()()()!」


 べリアスは、また「は?」っと、信じられないものを見るような目で、こちらを凝視した。


 ブワン……

 魔方陣が展開されると、廊下の向こうからこちらに駆けてくるエスペンの姿が見えた。

 本当はエスペンの力も借りたかったけど、エスペンはゲオルグ殿下の護衛任務もある。これ以上、巻き込むわけにはいかない。


 キュイィィィィ―――――――

 魔方陣が回転し始め、青い光に包まれた。その時。

 エスペンが必死の形相で、シャ―――っとスライディングで飛び込んできた。

 

「っしゃーーーっ!!!」 


 間一髪間に合ったエスペンは、嬉しそうにキラッキラの笑みを零した。

 この時、普段は塩対応の美少……青年の微笑みが、最悪な結末を想像して戦慄く私の心に、めっちゃくちゃ染みたのだった。


「(涙声)エスペン、ルイーズが……」


 縋るように、抱きついた。


「うぐっ」


 キュイィィィィ――――――――――ン



 うぐっ?

 

次回、来週水曜日頃更新予定。

ブクマ~(*´ω`*)ありがとうございます!

↑と、オモッタラ残像だったのか……(2,025.3.19)

浮かれて書いた自分、(/ω\)恥ずかしい~


というわけで、感想ブクマなどいただけましたら励みになります!

応援よろしくお願いします!

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