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雪だるま

オーブンストーブの火は毎朝クレハが入れておいてくれる。

クレハのお陰で目覚める頃には部屋が暖かくなっている。

これは寒さが苦手な私にとって凄くありがたい。

向こうでも寒さ厳しい場所に居たんだけど、寒さは慣れるもんでもないよね。

いや?少しは慣れるかも?・・・

マイナス16℃まで気温が下がった事が有った。

その後通常のマイナス2℃まで戻った時に温かいなんて思ってしまったもんね・・・。

さすがにここはマイナス16℃とかは無いと思いたい・・・。


お茶を飲んで体を温めつつ朝食の準備をしているとルシェが起きて来た。


「おはようルシェ。」

『おはようロゼ。』

「もうすぐパンも焼きあがるから座って待ってて。」

『ん。』


ディーヴァとクレハもちゃっかりと座っている。

おかしいな?精霊って特に食事の必要はなかったのでは?


『気にするな。』

『誰かが食事は心の栄養にもあると言っていましたからね。』


なるほど?

確かに何かの本で読んだような気がしなくもないけど・・・。

まぁ食卓が賑やかなのはいい事だよね。


焼きあがったパンとスープをデーブルに運び朝食を摂る。

午前中は軽く雪掻きかなぁ。

今日は雪が降っていないから1回やればよさそう。

雪が降ってるとね・・・

一通り雪掻きが終わって振り返るとすでに積もっていてエンドレス雪掻きになるのよ・・・。

だからと言ってやらなかったら悲惨な事になるしね・・・。

たぶんこっちではそんな事にはならないと信じたい・・・。


「そう言えば今年の積雪量はいつもと違うんだよね?」

『ああ、いつもはこんなに早く積もらないし量ももっと少ない。』

「なんで今年はこうなったんだろう?」

『あー、それなんだがな・・・。』


ん?ディーヴァは何か知っているのかな?


『久しぶりに聖女が現れたというので雪の精霊がはしゃいでしまってな・・・』


嬉しくなってはしゃいじゃったのか・・・。

はしゃがないでいただきたい・・・。


『言い聞かせておいたので今後は大丈夫だと思うが。』

『そそ、あまり積もると雪掻きで1日が終わって会話する暇がなくなるが?って。ね。』


確かにね。雪掻きしてたら喋る余裕なんてないもんね。

雪掻き終わっても疲れてヘロヘロになるし・・・。


「じゃあ午後からでいいならその子と会話してみようか?」

『んむ、そうしてやってくれると助かる。』


どんな子なんだろうな。ちょっと楽しみかもしれない。


はい、モンハンのウル〇クスみたいな子でした。

小さいから可愛く見えるけど、これ大きかったら怖いよね?

小さいからいいんだけどもっ。


『ご・・・ごめんなさいです・・・。』


開口一番で謝られた。耳までションボリしている。可愛いじゃないかっ。


「嬉しいのは解るけど、ドアが開かなくなるくらいの大雪はちょっと困るかな?」

『気を付けるです・・・。』

「いつも通りの雪の量でお願いね?」

『はいです・・・。』


聞けばこの子は気温が下がり始めると目覚めて温かくなり始めると冬眠ならぬ夏眠するのだそうだ。

なので他の精霊と会話をする機会も少なくついつい・・・って感じらしかった。

なのでいつでも遊びにおいでと言えば凄く喜んでいた。

一瞬猛吹雪になって慌てたけども・・・。

これは、あまりテンションが上がるようなことは言わない方がいいのかもしれない・・・。

ルシェはと言えば、寒くて外に出たくないと家の中から様子をうかがっていた。

まぁね、この子が来ただけで気温がぐっと下がったもんね・・・。

私も寒いよ?

あ、カマクラ作ればいいんじゃない? 外に雪の精霊用の椅子(雪で)を作れば。

カマクラに入れば私は暖かいしいいんじゃない?

だめだ、サラサラ雪すぎて固まらない・・・。


雪の精霊がまた来ると言って帰って行ったので私達も家に戻った。

お疲れ様とルシェがお茶を煎れてくれる。


「ありがとうー。あったまる。」

『あの子は暖かいのが苦手だったよね?』

「そうなんだよねー。だから何かいい方法がないかなとは思ってるんだけどね。」

『湯たんぽだとすぐに冷めそうだしな。』

「焚火だとあの子が溶けちゃいそうだし。」

『時間を限定する?1時間だけとかさ。』

「あー、じゃあさ。

 あの子が寂しくないように、雪ウサギとか雪だるまとか作ろうか?」

『いいかも!』

『雪だるまとは?』

『雪うさぎとは?』


小さめのならじょうろで水撒いて固められそうだし。

焚きつけ用の枝で小さなブランコも作れそうだし。

裁縫は苦手だけど工作は得意だったりするのよね・・・。

と言う事で明日はそれらを作る事になった。

雪だるまや雪兎はイラストで説明しながら作り方を教えた。

ちなみに画力は 上手くも無ければ下手でも無い。平均的だと思う。たぶん・・・。


夕食とお風呂を済ませた後は皆でボードゲームを楽しむのが日課になっている。

私とラファが港町で狩って来たものだ。

ラファもきっと屋敷の皆でやっているだろう。

【人生すべて運任せすごろく】と言う南部のボードゲーム。

いわゆる人生ゲームよね。

後はリバーシも買ってきた。


『豪雨で作物に病気が発生?!』

『よし、俺油田掘り当てただって!』

『私は・・・牛のコンクールで優勝。皆に祝い金を貰うだそうな。』

「クレハに見舞金。ルシェには投資。ディーヴァには祝い金。

 私出費ばっかりなんだけどぉ?」


そう、なぜか私は給料以外の収入枠に止まらない・・・。

このままだと借金になるんだけどもぉ?

どうなってるのよ・・・。


『まてまて、台風で家が吹っ飛んだだと?!』

『うわああ、油田が枯れたー!』

『ふっ、富くじ1等大当たりだ!』

「ちょ・・・・。破産するぅぅぅ。」


この日はディーヴァの独り勝ちで終わった。

え?私・・・? 聞かないで・・・。


翌日

朝食を済ませた私達はさっそく雪だるまを作り始めた。

ちゃんと手袋は着けてるよ?

小さな雪うさぎに雪だるま。

さらにはもっと小さな雪うさぎまである。

これは翁が作った物だ。どこからか小さな赤い実と葉っぱまで持って来ていた。

どうやら翁は雪うさぎを知っているようだ。

手の平サイズの物から膝下サイズの物まで色々な雪だるまが出来た。

こうなると大きい雪だるまに挑戦したくなる。

私が頭を、男性陣で胴を。 コロコロと雪玉を転がしていく。


おぉ?いい感じに出来たんじゃない?

枝や葉で顔を作ると


『なんだか父上ぽくなったな。』


ルシェがそう言うもんだから、だんだんとそう見えて来た。


「じゃあこっちはアルテシアさんっぽくしてみる?」


口の枝を赤い葉っぱに変えてみた。

翁が何処からか持ってきた団栗をネックレスに見立てて埋めていく。

そうすればそれっぽく見えて来た。不思議だ。

じゃあ・・・と皆で雪だるまにそれぞれ個性をつけて行く。

なんだか賑やかな庭になってきた気がする。

それならいっそ・・・と思って雪で小さなベンチとテーブル代わりの台も作ってみた。

その台の上にルシェがベリーを置いている。


『凍っても雪の精霊なら食べれるだろ?』


うんうん、そうだね! いいアイデアかもしれない。

枝を組み合わせた小さなブランコも完成している。

ふふふ どんな反応をするか楽しみだぁ。


なんて思ってたら・・・

雪の精霊よりも一足早く 他の精霊が2人遊んでいた。

えぇぇ・・・・、居るなら雪の精霊とも遊んであげてよぉー!

え?武の国から来たから去年は居なかった?

そっか、それじゃあ仕方がないね?

いやいや、でも昨日とかその前も居たよね?

恥ずかしかった?・・・

んー・・もぅ!今日は遊んであげてよね!


午後からやって来た雪の精霊はそれはそれは喜んでくれた。

雪だるまや雪うさぎ、おまけにベリーのおやつと友達まで出来たものね。

ただちょっと・・・一瞬だったけど吹雪になった。

うんうん、それだけ嬉しかったんだよね?

解るよ?解るけどもね?・・・

私達まで雪だるまになっちゃうから、気を付けてくれると嬉しいなぁ。

読んで下さりありがとうございます。

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