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第七十五話 我は亜人神なり(我は神獣なり) ・・・ 鏡の世界へ。

予定通り更新です。


我はギンチヨ。

亜人神という存在に至った者である。

元々は神獣フェンリルであった。


亜人神とは獣人が神となった存在だと通説では言われているそうだ。

我はその経緯とは違い、主人であるザバルティ様から【命名】を受けて神獣から亜人神へと昇華した存在である。


亜人神に至る事が出来たのも、そして我が子を産む事が出来たのも、全てザバルティ様のおかげである。


今は人と同じ姿をしているが、【獣神化】をする事で、獣の姿に変える事が出来るのだが、必要であると思えた時以外は、姿を変えず、人の姿で人間と一緒に暮らしている。


さて、今回のミッションは主人であるザバルティ様の新たな仲間となったジュン殿達のサポートである。


彼等は、現在は異界のダンジョンの攻略中だ。

その彼等のサポートなのだが、ダンジョンに潜って一緒に戦う事ではない。

この異空間での、異物となってまで侵入したのには他に理由がある。


どうやら、不可思議な現象を起こしている存在が邪の空気を纏っているのだ。

水鏡時雨(スイキョウシグレ)』は呪いの武器ではない。

なのに、邪の空気を纏っているのだ。


その原因は分かっている。

その原因を取り除く事が今回のミッションである。


「ふふふ。さて、今の貴女で私の封印できるかしら?」


『封印?その様な回りくどい事はせぬよ。滅するのみ。』


「あらまぁ。貴女に出来るかしら?」


原因はこの女である。

ザバルティ様と私の推測では、この女は悪魔である。

それも堕天した悪魔だろう。

その為、聖属性を持つ邪の存在だと考えておる。


『氷の牙と爪』


氷属性の魔法を放つと、女は飛び避けた。

躱すのがマズいと判断したのは流石であるな。


「まぁ。厄介な攻撃ねぇ~。」


無駄口を叩く余裕があるようだが、我は人形ではない。


『氷山』


更に氷属性の魔法を繰り返し放つ。

【氷山】とは氷の山が下より突き出すモノだ。

その氷の山は対象目掛けて、突き出していく。


「本当に厄介ね。まぁこの空間でなければね。」


幾つもの氷の山を砕き女は向かってきた。

どうやら、この空間では、触れても女を拘束出来ないらしい。


本来であれば、我以外が触れると、触れた個所から凍っていく。

しかし、この空間はある存在によって創られた空間である。

理が違うのだろう。


女はいつの間にか右手に持っていた剣で、攻撃してくる。

それを寸前で横に躱す。


「それで避けたつもり?」


『グっ!』


どうやら肩に喰らってしまったらしい。

肩から鮮血が飛び出す。


だが、やられているだけではない。


「なっ?!」


女の左足から鮮血が飛び散った。


「あら。なかなかやるじゃない。」


『・・・。』


お互いに傷が塞がっていく。

ふむ。やはり少々の傷ではどうにもならんか。

これは、やむを得んな。


『獣神化』


我を中心に白い空間が生成されていく。


「ん。」


真っ白い輝きが落ち着くと、我の体に変化していた。


「へぇ。これはやるもんだね。アンタは神の端くれかい。」


『もうよい。滅せよ。』


我の体の変化に気がついた女は言葉とは裏腹に忌々し気に我を見る。

憎しみと憎悪を宿したその目は更に深まった感じである。


それを目にしつつも我は女に向かって突撃した。

爪や牙を利用して肉弾戦をしつつ、無詠唱による氷魔法をつかった中距離攻撃を併用して攻め立てる。


徐々に女の身体に傷をつけていく。

氷の温度による凍傷もあり、女は避けきれず傷を増やすばかりだ。

我の攻撃で女は圧倒されており、防戦一方である。


一撃を放つ隙を与えない我の攻撃は益々スピードが増していく。

圧倒的なスピードによって、その場に立ちつくすかのような女。


「くっ!」


『ふん!』


我の牙が女に刺さる。

そのまま頭を振り抜き、女を飛ばす。


「ぐっ!」


女はそのまま先にある崖にぶつかり、ずり落ちていく。


『もうよいであろう?どうせ、お主はこの空間では死なぬ。そうであろう?』


息も絶え絶えの様な状況でも女は立ち上がった。


「へぇ。バレてるのかい?」


『無論だ。』


やれやれという感じのポーズをとる女は、諦めた顔になる。


「仕方がないね。私はここでリタイアしようかね。」


『・・・。』


この空間はある存在によって創られた空間である。

よって、ここに存在しているのは本物であって本物でない。

この空間を創造した者によって創られた存在となる。

もしくは霊体であるのだ。


「私は【献身の悪魔】エネノローラ。アナタの名は?」


『ギンチヨ。』


「いいね。憶えたよ。また会えるのを楽しみにしてるよ。その時は・・・。」


エネノローラの身体は粒子の粉になって消えた。


『ああ。その時は我も全力でお相手致そう。』


かの女、エネノローラはこの空間を創造した者に協力をしていたのか、この空間での体を持っていた。

我は異物としてこの空間に潜入したので、無理矢理この空間に肉体を持ち込んだ。

その為、この空間では全力を出せないどころか、通常の五割も出せない。

【獣神化】によって瞬間的に出した力で撃退したに過ぎない。


この空間でのエネノローラの肉体を一歩的に攻撃する事で崩壊させただけだ。

勝利である事は間違いないが、作戦勝ちであるだけだ。


『ふぅ。』


我は息を吐いた。

これで、ミッションコンプリートで良いだろう。


『ギンチヨ。お疲れ様。これで、彼等も攻撃が届く様になるだろう。ありがとう。では呼び戻すね。』


ザバルティ様の心地よい声が我の頭に響いた。


『はい。お願いします。』


我の今回の役目はここまでだ。

今回は相手が向かって来てくれたからこそ、早期決着をつける事が出来た。


後は、我の主人であるザバルティ様にご褒美を頂くだけだ。

今日はどれほど毛をブラッシングしてもらえるだろうか?

今から楽しみである。


次回更新は

明日、2021年7月24日(土曜日)20時

よろしくお願いします。

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