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ハルモニア寺院の聖職者

小道を進むラガの顔には、苦々しい表情がはっきりと浮かんでいた。時折、顎に手首を当て、まるで頭の中に重い荷物を抱えているかのように深い考えに耽っている。


狭い路地の端にある影を抜け、光の中へと足を踏み出したところで、彼の足がふと止まった。目の前に広がるヴェルダロリアン広場の噴水周辺の光景は、彼のどんよりとした心境とはあまりにも対照的だった。生い茂る木々の下では、数人の女性たちがくつろぎながら、一緒に読んでいる童話の内容に楽しげな笑い声を上げている。一方では、男たちが忙しく水の流れを象った紋章を刻み込み、残りの者たちは響き渡るような笑い声を交えながら、賑やかな談笑に興じていた。


しかし、ラガの視線は噴水の縁へと引き寄せられた。そこには、全身を真っ白な衣装で包んだ一人の少女が座っていた。彼女は穏やかで透き通るような歌声を口ずさみながら、集まってきた鳩たちに餌をまいている。時折、そのしなやかな指先が、膝の上に置かれた聖典のページをめくった。


ラガは歩み寄った。彼は足早に近づき、自分の影が彼女の読んでいる聖典の上に落ち、文字を照らしていた光を遮るまで距離を詰めた。


「あら、ごめんなさい。何かお手伝いできることはありますか?」


少女は柔らかな声で尋ねた。


彼女はすぐに聖典を閉じると、それを大切そうに抱きしめて立ち上がった。そして、魅惑的で甘い微笑みを浮かべる。それはまるで霧を突き抜ける朝日のように、柔らかく、見る者の心を温めるような笑顔だった。


「私はユナ。ハルモニア・プリシラ寺院のユナ、と呼んでください」


彼女はそう自己紹介した。


ラガは釘付けになり、微動だにできなかった。女神のごとき美しさを湛えたユナの顔を、直視する勇気が出なかったのだ。彼はわずかに顔を逸らした。彼女から放たれる美しさが、かえって理解しがたい目に見えない距離感を生んでいるように感じた。


「……よろしく。俺はラガ。ダダエルスの村の、ラガ・シマエルだ」


ラガはぎこちない調子で答えた。


「まあ! あの鍛冶職人の村の方ですね? 通りで、そのような格好をされているわけです……」


ユナは口元を押さえ、クスクスと小さく笑った。どうやら彼女は、ラガのことを立派な馬に乗って現れる救世の騎士か何かだと勘違いしていたらしい。


「それで、英雄様。私に何かご用でしょうか?」


ユナは少しからかうような口調で再び尋ねた。


「頼む、そんな風に呼ぶのはやめてくれ」ラガは素早く言葉を遮った。「あんたに会いに来たのは、『青の宝石』について詳しく聞きたいからだ」


その言葉を聞いた瞬間、ユナは驚きの表情を隠すかのように、慌てて両手で口を覆った。


「ああ……そのこと、ですね……」


ユナは背を向け、ヴェルダロリアン広場の噴水へと向き直った。水面に映る自分の姿をじっと見つめる。


彼女は優雅な所作で手を組み、静かに頭を垂れた。そして、説明を始める前に言葉を紡ぐか、あるいは短い祈りを捧げるかのように、ゆっくりと瞳を閉じた。

皆さん、こんにちは!この章を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。皆さんの応援が、ラガたちの物語を書き続ける大きな活力になっています。


ラガとユナの初対面、いかがでしたか? 正直、作者の僕(私)もラガにはちょっと同情してしまいました。どんよりした気分でやってきたのに、目の前に現れたのは朝日みたいに眩しい美少女……。まさに「タイミングが悪かった」というか、温度差がすごかったですね。でも、結果的にはとても印象的な出会いになったのではないでしょうか。


そうそう、ユナが大切そうに抱えていたあの本……気になった方も多いはず。

あの本の名前は『C'harmoniaシャルモニア』。単なる祈祷書や呪文集ではなく、世界の調和に関する大きな秘密が記されているんです。あんなに重厚で難しそうな本なのに、鳩に囲まれながら鼻歌まじりに読めちゃうあたり、ユナは意外と「大物」というか、マイペースな聖職者ですよね(笑)。


さて、ラガは無事に「青の宝石」の情報を聞き出せるのか、それともユナにからかわれて翻弄されるだけなのか……。


ぜひ次回も楽しみにしていてください!

最後に、感想コメントや評価をいただけると励みになります。


それでは、また次の章でお会いしましょう!


[ディナンタ] より



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