020:ガザフの武器防具店にて
僕が悩みながら歩いていると、いつの間にかギルドの近くまで戻ってきていた。
近くの屋台のおじさんは、ちょうど帰ってくる探索者達の対応で、忙しそうに見えた。
買い食いする予定も無いのに話かけるのは申し訳なかったので今日は立ち寄るのは諦め、レッサーラビットはギルドで買い取って貰おうかと考えたのだが……
(初の獲物だし、自分で処理して……料理は猪鹿亭でカロさんに頼んでみる事にしよう)
結局、自分で食べる事にした。そう考えるともう後は特に何処にも用事もなかったので、急いで猪鹿亭に帰る事にした。
中央通りを南門の方向に足早に歩いていると右手に、ガザフに到着した時から気になっていた武器と防具の店が見えてきた。
朝はギルドに急いでいたので素通りしたが、今日の戦いで現状の防具では厳しいと感じていた。
今より少しでも良いもので僕にも手が届きそうなものが置いてないかと、
(値段だけでも知っておきたいな、少し覗いてみるか)
と外から様子を伺っていると……
「ほう! お一人でレッサーラビットを仕留められましたか?」店の店主らしき人がそう言って店先まで出てきた。
「はい、かなり苦戦しましたが……」
僕はなんとも居心地が悪かった。店主の質問の雰囲気があまり好意的に聞こえなかったからだ。
今まで一度も防具の品定め等した事もなく価格の相場も全く知らない僕は、高価な品を扱う店主が、客なら応対し違うなら、軽くあしらって追い払うという事もしらなかった。
「防具の相場を知りたかったんです。村から出てきたばかりなので……」
「なるほど、そうでしたか、うちの防具は最低でも金貨一枚以上の品ばかりでしてな……ここ五年ばかり大型の魔物狩り用しか売れませんからな、どうしても大型防具が主流になります」そう言って指差した
「そこのアイアンアーマーが、うちでは売れ筋で一番お安くなっておりますが、それでも金貨一枚と大銀貨五枚ですな」
「そうですか、僕の獲物はレッサーラビット等ですから……」
僕が言い終える前に、
「なるほど、残念ですな、お気が変わりましたらまたどうぞ」と、さして残念そうでもなさそうに、頭を下げた。
「貴重なお時間を取らせて、すいません」そう言って同じく、軽く頭を下げ店を後にした。
世間知らずの僕にもあの店にお客として扱われていないのが感じられたので、あの店に僕が求める物は無いという事がわかっただけでも良かったと思う。
今のところ僕に現状を変える手段が何もないのだと分かると、なんだか開き直ってしまい、もうそれ以上何も考えず猪鹿亭へ帰る事にしたのだった。




