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自由都市のダンジョン探索者 ~精霊集めてダンジョン攻略~【第二部・完結】  作者: 高田 裕一
第二部:中級探索者編【侵攻】
121/213

121:転移魔法陣2

 描かれていた魔法陣は文字が白い光を放っていて、暗い空間を美しく彩っていた。


「綺麗だね~」キャロが嬉しそうに言うとルナも「夢を見ているみたいです」と静かに呟いた。


 僕も幻想的な光景に言葉を失っていた。


 暫くそうして眺めていたが、リサさんに呼ばれて現実に戻された。


「三人ともこっちに来てこの水晶に触れてくれるかな。これに触れる事で転移魔法陣に登録される」


 ギルド登録を行った時に使った装置に似た物がそこにあり、僕達は順番に装置に触れた。


「これで転移魔法陣で転移可能になった……これから一層に転移する。魔法陣の中央に移動してくれ」


 そう言うと魔法陣の描かれた中央付近にリサさんとサラが移動した。僕達三人も慌ててそれに倣った。


 リサさんは地面の魔法陣に手を当て魔力循環を行った。扱い方は普通の魔道具と大差ないようだ。


 暫くすると周囲の光が強くなり、体がふわりと浮いたように感じた。そして、一瞬意識が途切れたような奇妙な感覚の後――何事もなかったように僕達は魔法陣の中に立っていた。


「到着した。行こう」リサさんに促され僕達は魔法陣のある空間を出た。


「あの、本当に着いたんですか?」


 見た目には、さっきまでいた場所と変わった所もないので、ここが一層とはとても思えなかった。


「ああ、魔法陣のある場所は構造が似ているからそう思うのは当然だな。私も最初は転移に失敗したのかと思ったからな……もう少し行けば分かるよ」リサさんは楽しそうにそう返答しながら通路を進んでいく。


 暫く歩き通路を抜けた先にある部屋に入ると、見たことのある制服姿の集団が忙しそうに資料や本を整理しているのが見えた。


「あら、ユーリさん、そこから出て来たって事は転移魔法陣を使ったのね」


 そう気安く僕に声をかけてきたのは領営工房のサリナさんだった。


◻ ◼ ◻


 十層にいるはずのないサリナさんがいる事で、ここが元いた場所ではない事だけは確実だった。


「領営工房には、この遺跡の遺物調査をお願いしている。一層に遺跡があるとは思ってなかったのでな」


 リサさんの話によると転移魔法陣を起動した時に、操作盤の転移先に一層が表示された事でガザフに調査依頼を行ったらしい。


「あると分かっていなければ見つける事は出来なかったかもしれません。なにせ入り口は地下に埋もれていましたから」


 調査を指示したサリナさんが、その時の苦労をつぶさに語ってくれた話によると、地上を散々探し回っても洞窟の入り口を発見出来なかったらしい。


 それで草原の草刈りを行ってやっと埋もれていた入り口の痕跡を発見出来たのだそうだ。


「それでも苦労した甲斐はありましたよ! この資料の山を見て下さい! それに魔法具も複数発見されています!」


 サリナさんは嬉しそうに部屋中を見渡した。


「遺跡の発見もさる事ながら、我々としては地上への帰還ルートが確立されたのが大きい」


 リサさんの意見に僕も同感で、その事を嬉しく思っていた。


「これからは、十層に誰でも気軽に赴く事が出来ますね!」僕は期待を込めてそう言ったのだが……


「残念ながら誰でもというのは難しい、転移出来る条件が十層の転移魔法陣に魔力登録した者か、一定の魔力量を持っている者のみだからな。どうやら自力で到達出来ない者を誤って転移させない安全装置のようだな」


「それでは、十層以降にある転移魔法陣を使用するには遺跡で登録するのが一番確実という事ですね?」


 一定量の魔力というのが曖昧でよく分からないので登録するのが確実そうだ。


「それから、転移魔法陣は、一日の魔力の蓄積で三回ほど起動出来る。それで頼みなのだが明日も十層に来て手を貸して貰いたい。駐屯地の整備と近くにある川から水を引き込む手助けを頼みたい」


 駐屯地は僕も利用させて貰う事になるので、協力するのは問題なかった。だが僕が了承しようと返事する前に……


「あら、姉さんそれだけの事を頼むのに報酬無しは不味いんじゃないかしら?」サラがそんな事を言い出した。


「ん? 確かにその通りだな……今日の働きの分を考えても、あれと同じ物を作ろうと思ったら大変な負担になっていただろうな……すまない報酬を見積るのは難しそうだ」


 僕としては駐屯地を借りられるだけで十分だと思っていたし、武器の面で色々とお世話になっているのだ。今回の件で少しでも恩返ししたいという思いがあった。


「なら姉さん、今回の件はエルフィーデ側の借りにしておいて何かユーリの今後の階層攻略に役に立ちそうな物が見つかったら、それを報酬にすればいいんじゃないかしら?」


 サラは僕が報酬を遠慮しようとしているのを察して口を挟んできているのが僕には分かった。


「そうだな、君がそれで良いのであればこちらも助かる、後ほどミリア様とも相談してみよう」


 リサさんが安心したようにそう言ったので、僕としては申し訳なくなってしまったのだった。


 


 

 


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