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115:ニースの力

 ニースふよふよと飛んで行き「【ストーンウォール】」と可愛い声で唱えた。すると、そこに生まれたのは僕の身長よりも巨大な土壁だった。


 横幅も僕が両手を広げても端に届かず、厚さも手で掴めないぐらいある。


「凄いわね……でも材料がないと出来ないのかもね~」フィーネの指摘の通り地面が抉れて削り取られてしまっていた。


 土壁の材料はダンジョンの地面から供給されたようだ。


「強度はどれくらいかしら~」フィーネが【風刃】を唱えた。


 サラが一つ羽探索者になり、その契約精霊であるフィーネも相応の成長を遂げていると思われた。フィーネの周囲に強い魔力循環の流れが発生した。


 (さっきまでとは魔力量が違う!)


 しかし、その高密度な魔力から生み出された【風刃】が命中したにも係わらず、壁には全く変化がなかった。


「凄いわね~、ちょっと悔しいけど頼りになりそうだわ~」


 見ていた他の皆も次々魔法試したが、壁に傷を付ける事も出来なかった。


 ルナの【スプラッシュアロー】も効果がない所を見ると、魔法の属性的な相性というわけでもないようだ。


「じゃあ、私が【風切斬】で」サラが黒魔剣を抜こうとするのを皆で止めた。


「これで小屋とか作ればダンジョンに住めるんじゃない?」リーゼがそんな事を言い出した。


「屋根とか作れるのかな?」キャロが期待したような目をニースに向けている。


「孤児院の壁を修理出来るかしら」現実的なルナがそんな事を言い出した。


「ここら辺に窓が欲しいね」キャロは本気で住みたいようだ……


 みんなこの土壁に興味津々で、自分達の魔法攻撃が通用しなかった事を気にしてる様子もない。


 それから暫くは土壁についての話題で盛り上がっていたのだが、さすがに時間も遅くなってきたので地上に戻る事になった。


 そうなると、この破壊出来ない土壁をどうしようという事になったのだが……


 ニースが「えいっ」と言いながら手に持っていた小石を投げた。小石は山なりに飛んで行き壁に当たり、壁を破壊したのだった……

 

 僕はニースに「【えいっ】は人や物に投げては駄目だよ、投げる時は僕に聞いてね」そう何度も念を押したのだった。


◻ ◼ ◻


 僕達は色々あった三層を離れ、二層を皆で歩いていた。まだダンジョンの中だというのに、通いなれた二層の風景を見てほっとしてしまっていた。


 (そうだ召喚精霊達の確認をしないと……)


 僕が眠っている間に召喚が解かれていたルピナスを再召喚してみると、またサイズが少し大きくなっていた。そのうちに小鳥とは呼べなくなりそうだ。


 召喚したルピナスが、「ピピッ」と一鳴きすると周囲に風の魔力の流れを感じた。


「【ウィンドウォール】!」


 ルピナスが【ウィンドウォール】を使えるようになったのは、とてもありがたかった。今までの戦いでこの魔法には本当に助けられたからだ。


 (もし地形によって【ストーンウォール】が使えない場合を考えると、汎用性の面では上かもしれないな)


 そんな事を考えていると、頭の上に乗っていたニースにぺちぺちと頭を叩かれたのだった。



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