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011:探索者ギルド1

 探索者ギルドに入ると、広いスペースの奥にカウンターがあり、受付の女性が五人座っているのが見えた。


 僕は何処に並ぼうか迷ったが、一番左の美人だけど無表情で少し怖そうな女性の前が空いているようなので、僕はその女性の前に座った。


僕が前に座っても、相変わらず無表情で


「ご用件をお願いします」と質問されたので


僕はなんとなく、恐々としながら、


「あの、登録をお願いします。初めてです」と答えた。


 隣のカウンターの受付嬢と探索者らしき人は馴染みなのか近況とかを話していて、楽しそうだ。


彼女はカウンターの下から用紙を出し、


「必要事項の記入をお願いします。代筆は必要ですか?」と質問してきた。

 

 僕は、じいちゃんから文字の読み書きは学んでいたので、「大丈夫です」と答え、記入しはじめた。


 記入事項はそれほど難しいものではなく、名前、年齢、性別、出身地、連絡先には、猪鹿亭と記入した

 

 前職とか魔法とかの欄もあったが、必須事項じゃないそうなので省略して受付けてもらった。


「それでは、これより担当はマリアが承ります。これから宜しくお願い致します」そう言って受付印を押された。


 相変わらずの無表情だった。この日、僕の受付担当は決定したのだった。


◻ ◼ ◻

 

 僕は今、マリアさんの指摘でギルド内に掲示されているギルド規約を読んでいる。


 本当は規約を読んで納得の上で登録するものらしい。


 じいちゃんに色々聞いていた僕は知ったつもりになっていたようだ。


 (こういうので足元をすくわれる事になるかもしれない。注意しないと僕はまだまだ世間知らずなんだから……)


 ギルド規約はギルド内での暴力禁止や職員の指示に従う事などの常識的な内容が多かった。


 ダンジョンで産出される素材や鉱石の所有権は、探索者本人に帰属する。市場への流通はギルドを仲介する事が推奨されている。


 (推奨って事は、ギルド以外で売ってもかまわないよね?)


 特に魔石に関しては、基本的にギルド買い取り以外は禁止らしい。


 魔石は今や生活の様々な所で使用されており、価格の安定は都市の安定にも係わる問題らしい。


 相場価格の吊り上げ等への加担は、悪質な場合は都市への反逆行為とみられる場合もあるらしい……


 僕にとって問題になるような所も無かったので、再度マリアさんの受付の列に並び順番をまった。


 僕の番になり改めて登録の意思を示すと「新規登録はいります」マリアさんが後ろの職員部屋へ声をかけ受付席を離れた。

 後ろのギルド職員の部屋から、別の受付嬢が現れて受付作業を交代する。


交代した受付嬢が、笑顔で次の探索者に「お疲れさまでーす。御用件をどうぞー」と挨拶し、なんだか楽しそうに対応されている。探索者の男は、魔石を換金に訪れたようだ。


 僕は、その様子を横目にマリアさんがドアを開けて無表情に立っているのでそちらに移動した。


「これからの刻印と鑑定の作業は別室になります」そう言ってマリアさんは、先に部屋に入っていった。


 部屋には大きな丸い透明な玉が置いてあり、マリアさんがこれから行う刻印について説明してくれる。


 内容は魔素吸収の魔法陣刻印についてで特にじいちゃんの説明との違いは無かった。


「特に質問等が無ければ刻印を行います。よろしいですか?」


 普通に考えると、最終確認なんだろうけど……無表情に告げられるとなんだか怖い。


「は、はい、お願いします!」僕は少し緊張した感じで答えた。


 返事の挙動不審ぶりに不安になったのか、僕の緊張の原因のマリアさんが


「本当に大丈夫でしょうか?」再確認してくる。


「は、はい、大丈夫です! お願いします」と僕はこれ以上不安がらせると刻印の作業が中止になりそうな気がしてきたので再度「刻印作業、お願いします」と努めて冷静に見えるように答えたのだった。


 刻印作業は台座に設置された、先ほどから気になっていた[水晶球]と呼ばれる玉に手をかざすだけらしい。


 側でマリアさんが魔法陣らしき物に触れ、僕が手をかざしたのを確認した後、魔法陣に魔力を注ぎ始めた。


 普段、精霊石に同じ事を行っている僕には、それが感覚的に理解できた。


「水晶球の光が消え、刻印が手に現れるまでそのままで……はい結構です。刻印は完了しました」暫く感じていた、魔力が手に循環するような感覚が消えた。


 僕の手には、羽が無い事を除けば、じいちゃんと同じ刻印が刻まれている。


 僕は軽く魔力を操作し刻印を消したり表示したりをしてみた。


 暫くそんな事をしているとマリアさんがじっと見つめているのに気がついた。


「あ、すみません。勝手なことして……」


 てっきり叱られるかもと慌てて謝罪する僕の言葉は聞き流されたようで……


「その魔力操作の技術は何処で?」と、じっと見つめてきた。無表情で……


 無表情な目に説明を促す無言の圧力を感じた僕は、「祖父が元探索者で子供の頃から色々と指導を……」消え入りそうな声で説明した。


 魔力操作が出来るようになった本当の理由は精霊石がらみなので、そこは適当に誤魔化した。


「なるほど、それで……探索者についても事前に?」


 納得してくれた安心感から口が軽くなった僕は「はい、どういった事をするのかとか、ギルドの事とか剣術の修行とか色々です。あ! 余計な事でした。すいません……」聞かれて無い事まで答えていた。


「わかりました。こちらとしてもご理解が早い分には助かりますので。それに探索者に係わる事でしたら、お話頂くのは問題ありません」無表情で頷かれた。


 僕はホッとしたが「あ! でも祖父が探索者だったのは十年以上前なので色々変わってるかもしれませんし……」慌てて言い募った。


「勿論、ご説明はさせて頂きます……規則ですから」当然! という感じに見えた。


 無表情だったけど……


(そうですか、規則ですか、それなら良かった)


 内心で妙な所に安心をする僕だった。




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