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109:白狼2

 僕達は手詰まり状態ながらも、徐々に白狼の動きに慣れはじめていた。


 盾で攻撃を弾いてからのカウンターでの【風刃】、バゼラードによる鼻頭への斬撃や眼を狙った突き攻撃を入れられるようになり、白狼も警戒して回避の割合が増えてきた。


 サラも無闇に連続攻撃を仕掛けるのではなく、ディーネとルピナスの支援攻撃との連携を意識した動きに変わってきた。


 (それでも追い詰めるには、あと一手足りない)


 フィーネの【風刃】が使えれば状況に変化を与えられそうだが【ウィンドウォール】を維持するので手一杯の状態だ。


 もし、【ウィンドウォール】の維持が切れれば、力押しで白狼に押し切られる可能性が高かったので、下手に攻撃参加を頼むわけにもいかない。


 そんな膠着した状況が暫く続き、緊張の中にも奇妙な弛緩した空気が流れ始めた時……


 突然、白狼が後ろに大きく飛び下がった。


「グゥルルヴルゥルル」奇妙な喉の奥から絞り出すような声を上げながら、全身の白い毛並みを逆立て始めた。


「後退! 距離を取って!」嫌な予感のした僕はそう大声で叫んだ。そして、ルピナスとディーネを即座に送還して消した。


 僕の声に、サラも後ろ飛びに後退を始めた。反応が早かったので恐らく僕が警告する前から、同じく嫌な予感を感じていたのだろう。


「グァッ」白狼の口から白い光る玉のような物が飛び出し、凄い勢いで地面に着弾した。周囲が白く輝き、まるで近くに落雷でもあったような光景が広がった。


 僕は後ろに下がりながらも盾を構え【風刃】をひたすら前方に放った。


 装填式のお陰で魔石から魔力を供給するといっても、起動するのにも魔力を必要とする。無理な連続起動で一瞬、意識が飛びそうになりながらなんとか踏みとどまった。


 だが、地面を這うように襲ってきた雷撃の残滓が僕の足元に絡み付き、下半身に強い衝撃を受けた。


 衝撃が引いても下半身が完全に麻痺してしまい、その場に座り込んでしまった。


 (戦闘中にこれは不味い……皆は?)


 周囲を見渡すとサラも同じように座り込んでいて、側には守るようにフィーネが浮いている。

 

 「ルピナス、ディーネ」僕は二体を再召喚した。


 白狼の様子を伺うと、今の雷撃は白狼にとっても負担が大きかったのか、その場を動いていない。もし即座に追撃をかけられていれば、どうする事も出来なかっただろう。


 (白狼にとっては一撃必殺の自分にもリスクのある攻撃なのかも……凌ぎきった今は絶好の反撃の機会なんだけど、こちらも残念ながら無効化されてしまった)


 精霊達に攻撃を指示しようかと僕が迷っていると、動かない白狼の右目に魔法の矢が突き刺さった。


「グギャアァァ」白狼の悲鳴のような叫び声が響き渡った。


 (調査隊? でも二層の方角からだ)


 僕が矢が飛んで来た方角を確認すると、そこには見慣れたキャロ達の姿があったのだった。


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