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記憶  作者: 彩火
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ナツヒ 病室

 今日は、三月二十八日。


 入院生活が始まって、ちょうど二年だった気がする。

 代わり映えしない毎日…じゃないか。


 最近は、自分の体がだんだん死へ向かっているのがよくわかる。


 私は、いつ死ぬんだろう。


 …そんなの、いつでもいい。

 ただ、毎日の、あのひと時さえ、同じように迎えられれば、それで……。


「久しぶり〜。病気で入院したって聞いて、急いで会いに来ちゃったよ。」


 私の病室に入ってきた彼、シュウカは、毎日お見舞いにやってくる。


「久しぶり、シュウカ。そんな、大したことないよ、大丈夫。」


 昨日と同じ、心配そうな顔をしている彼。


 でも、彼には、昨日の私との記憶がない。


 彼は毎日、私が入院したあの頃を、高校入学を目前に控えたあの頃を、繰り返し続けている。


「連絡を受けた時は、何事かと思ったよ。でも、その様子だと、すぐに良くなりそう。」

「だといいなぁ…。」


 私は、髪の毛をいじりながら、彼の言葉に哀しさを感じた。


 だって、2年近く入院しているのだから。


 一人でそんなことを考えていたら、彼が私をじっと見つめて、黙り込んでいる。


「…なにじーっと見てるの!黙らないでよー。」


 流石にびっくりした私は、怒り口調で返してしまった。


「何でも、ない…。嫌だったならごめん。」


 素直に謝られてしまった。

 それが何となく可愛くて、気が緩んで、私は笑顔で言う。


「ふふ、嫌じゃないし、怒ってもないから、安心して。」

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