異世界召喚! 領主生活開始何日目か だんだんわかんなくなってきたある日
ここまでのあらすじ 異世界に巻き込まれ領主にしてもらった俺は、畑に水やりの日々。女勇者来た。
荷馬車で2日。伯爵領の町へ。今日も月に一度の市がたっている、そのためにこの日に来た。あっ、書付と引き換えに離宮の町に行くから、その時までに何買うか考えればいいや。町であわてて買う必要はない。今回は荷馬車におばちゃんたちも乗っている。
天狗の秘術で空を飛べるようになったが、走ったほうが早いレベルなんで俺もこうして馬車に乗ってる。
旅の途中で思いついて、荷馬車をジェット推進にしてみた。
馬を休ませるタイミングで、馬車から馬を外して荷車だけにしてみた。
俺が水を出すと俺がのけぞるだけでうまくいかない。荷馬車から水を噴射するようにしたら前に進む。やった!この水はどこから来てるんだろう?
ぎしぎしと直進する。だんだんスピードも出てきたが、振動がすごすぎる。
しかし、この時代の荷馬車にブレーキもステアリングもついていなかった。直進するだけだ。曲がりも止まりもしない。いかん。あせりまくっていたら、しばらく走ったあと、ゆっくり止まった。車軸が原始的で摩擦が強くむしろ助かった。荒れ野で道があるようでない、無いようであるところでよかった。石畳だったら暴走してただろうし、そこから外れたら大怪我だった。
荷馬車ジェット計画はしばらく後回しだな。俺は何でもすぐに忘れるから、同行のンゴバさんとニコアさんに覚えといてもらう。
町に来た。
まずは代官さんにあいさつしてから、ざっと回る。うちの村人、みんなゴリマッチョになったなあ。よその人と比べると明らかに体格が違う。革の服着てるから見た目暑苦しい。毎日お湯浴びてるからこざっぱりしてて、くさくはないけどな。
最近はみんな午前中に疲れ果てるまで肉体労働して、昼に俺が治癒魔法、全回復して午後もペース考えず全力で労働。また治癒魔法。シャワー。考えてみたら、筋トレの無茶苦茶なやつでもあるわけじゃん。
関節いわそうが、腱切ろうが、半日後には治癒してる。異常に働き、異常に筋肉付く。
背も伸びたんじゃないか?骨格に影響してるんだか軟骨が厚くなったのか?絶対、肉食って満腹してるのだけが理由じゃねえな。
あ、俺が村にいない今日、いつもの習慣でいつものペースでやってたら、誰も治癒できない。俺が帰るまで寝込むやつ続出だろうな。トバシすぎなんだよな。
ガリガリに痩せて、真っ暗な表情だったころに比べれば全然ましなんだけど、むさくるしいのはそれはそれでうざい。まぁ明るくなったけどな、みんな。わずかな時期で。
さて、町で、塩を売る。隣の村でも土から塩を抜くらしいから売れないかと思っていたが、商人が買った。これだけ精製された塩は貴族が買うらしい。思ったより高価な値段が付いた。
専売制とかうるさいことはないらしい。安心した。
手持ちの他にさらに金が手に入ったが、買うものがない。麦が予想より高騰しているので、将来値下がりを期待して、今日は金1枚で買える分を買うだけにとどめる。
村に戻ってきて、やはり食料が足りない、といまさらながら再確認した。
ペットフード(と現金)回収のために、離宮派遣隊を改めて考える。俺は村の水やりと治療があるから、そう長くは村を留守にはできない。なるだけ若手に行ってもらって見聞を広めてほしいという俺の意向を伝える。
荷馬車は余ってるから三台くらいは簡単に出せる。ニコアさんを団長として、若手もヌドウさんともう一人と犬獣人6人と馬獣人3人にペットフードの受けとりに離宮の街に向かってもらう。留守の間は隠居のンゴバさんが頑張ってくれるそうだ
何が起こるか予測がつかないから、派遣隊に基本方針を話す。
「じゃあ、スンマセン。ついていけないんで、ともかく安全第一。俺と離れてると治癒魔法かけられないからな。お金は出せばまた買い物できるから、命優先でお願いします。いざとなったら、荷はあきらめて荷馬車は放棄、馬と馬獣人に乗って逃げてきていいから。」
こんこんと言っておく。
途中使う保存食を積み、いよいよ出発。
「スンマセン、基本、任すしかないんだけど、優先順位としてはまず20キロの袋の鳥のえさ、残ってたらあるだけの種、フルーツの苗、あとはそちらの才覚で村に必要そうなもん。あと、まだ余裕があれば犬獣人猫獣人のためのペットフード。そんなところかなあ。ともかく命優先で頼みます。」
「鳥のえさ、種と苗、ペットフード、ですねわかりました。」
「あっ、袋見てもわかんないよね?今書くわ。袋のどこかにこういうの書いてあるはずだから。」
「鳥 えさ」「種 タネ」
荷馬車に日本語で彫る。
「エサは鳥や犬や猫の絵が描いてあると思う。。。。」
懐かしくてホロっと来た。
「あぁ、それと、スンマセン、距離感がわからないんだけど、余裕あれば王都も見物してきてほしい。
若手には遠回りしてでも、いろんなとこ見てきてほしい。」
離宮の町に行くならと、代官さんから騎士団長や他の人への手紙も預かる、代官さんは、もと騎士だそうだ。
代官さんにはついでに、ニコアさんとヌドウさんへ挨拶の仕方教えてもらう。辺境の農民だからヘイコラしてればいいらしいんだけど。
村人みんなで見送る。
ンゴバさんが突然叫ぶ。
「ニコア!今日からお前がムラオサだ。村長として必要なものを買い付けろ!いいですね?領主さま?帰るまでは村長代理として村を守っておく。」
「え?スンマセン。え?」
混乱していると、ンゴバさんがさらに解説してくれる。
「領主さま、今度の買い付けはいろいろ判断が必要になります。なんせ距離がありますから戻って村長に相談というわけにはいきません。ここで、殿の承諾を得て代替わりして彼が村長として決めたほうが早い。途中の村でも村長としてふるまったほうが話が早いこともあるでしょう。」
「あー、じゃあ、ンゴバさんニコアさんがいいならそれで。よろしくお願いします。」
ニコアさんは固まったままだが、ともかく出発してもらう。
「「「「「いってらっしゃーい」」」」」
家に戻りいつものように固いベッドに寝転ぶ。
因習まみれの限界集落で死を待つ人たちしかいない村から、よくぞここまで持ち直したと思う。
転職のたんびにだんだん条件が悪いところにしか雇われなくなっていた俺としては、まあまあ上出来だろう。
今日も水やりしてシャワー浴びて寝た。樽は後の始末が面倒だから最近は使ってないな。風呂に入りてえ。




