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永遠に咲く花を君と。  作者: ChaCha


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拠点と護衛依頼

依頼から十日。

遺跡ダンジョンの隣に、私たちの拠点が完成した。


石と木で組まれた、小さな家。


「俺たちの新居、完成だ!」


彼は、にやにやを隠しきれない様子で声を弾ませる。

あまりにも嬉しそうで、見ているこちらまで胸が温かくなった。


一度、咳払い。


「……コホン。この拠点を軸に、魔術陣の研究を始めます!」


両手を広げて、堂々と宣言する。


ふはっ。

よかったね。ちゃんと前に進めてる。


ここは、全力で応援しよう。


「がっんっばっれー!」


ぱちぱちぱちぱち。

思わず拍手すると、彼は急に照れたように視線を逸らした。


その仕草が、また胸をきゅっとさせる。

最近、やたらと多いこの感覚は、なんだろう。


「……新居を整えたら、例の魔術陣を確かめたい」


「いいよ。治癒は任せて」


そう返すと、彼は私の瞳を見て、目を細めて笑った。


「それじゃ、冒険者ギルドに行こうか」


二人で向かわない判断を、即座に選ぶ。

その冷静さは、彼の長所だと思う。


冒険者ギルドで。

彼は受付の前に立ち、要点だけを伝えた。


「古代遺跡への護衛依頼をお願いします。前衛が欲しい。できれば盾役で」


受付は慣れた様子で頷く。


「承知しました。条件に合う方が見つかり次第、ご連絡しますね」


「護衛依頼じゃなくて、パーティ募集にしたら?」


私が尋ねると、彼は首を振った。


「パーティだと、古代遺跡以外のクエストにも行く必要が出るだろ」


「……ああ、なるほどね」


「俺たちは、古代遺跡にしか潜らない」


その言葉が落ちた直後。


背後から、低い声がかかった。


「生きてるな」


振り返ると、

ギルド長が立っていた。


「……死ぬ気は、元からないです」


そう返したのは、彼だった。

淡々と言い切りながら、ふいにこちらを見る。


目が合う。


胸が、どきっと跳ねた。


ギルド長の視線も、自然と私へ向く。

そして、ふっと表情を緩めた。


「幸運に、感謝するんだな」


言葉の意味は、はっきりしている。


時間を遡る魔術陣。

王国どころか、世界が欲しがるはずの情報。


それでも、この男は――

報告を上に上げていない。


なぜ?


「古代遺跡踏破、興味ないんですか?」


私が問うと、ギルド長は鼻で笑った。


「元神殿がダンジョン化したからといって、お宝が湧くと思うか?」


……まあ、そうだ。

けれど、わかっているのに、この人は話をずらした。


「信仰が無くなったわけじゃない。新しい神殿は、もう建っている」


古代遺跡――

かつての神殿。


「時と共に埋もれるのは、当たり前だ」


放置されて、三百年以上。

わざと、ダンジョン化するように放置された。


ダンジョンブレイクの危険を承知の上で。

魔物は素材になる。

コアが残れば、魔素は巡る。


壊さなければ、利益は出続ける。


「……ぼちぼち頑張れ。死なない程度にな」


ひらひらと手を振り、ギルド長は去っていった。


「だから、ダンジョンを長年踏破しない国があるのね」


「そうだな。俺も、裏側を知って驚いてる」


この街のギルド長は、

とても良い人だと、私は思った。


そして――

彼は、純粋で。


私がいないと、だめだな。

そんなことを、改めて思ってしまう。


シュタットで、当たり前のように立ち寄る本屋。

私はレシピ本を眺める。


彼が「美味しい」と笑って食べる姿が、可愛いから。


ちらりと見ると、

彼は店主と真剣な顔で話し込んでいた。


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