表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王種  作者: のんびりMUCC
オリンピック編
72/104

第68話 オリンピック開幕

遂にオリンピック開幕の日を迎えた。


観客席は満員、天気もいい。

選手達は中央に整列しているが国別ではなく、くじ引きで適当に振り分けている。

早速、ディーテから開会の挨拶だ。


『今日は、各国から多くの参加者が集まり、盛大に大会が行われる事を非常に嬉しく思う。

この大会は各国の素晴らしい兵士や種族を讃えるものでもあるが、様々な種族が暮らすこの世界で、国を超え種族を超え、互いを認め合い尊敬し合える、そんな大会になって欲しいと思っている。

このオリンピックは4年に1度開催する。今回敗れた者も勝者を讃える事で、自分に足りない部分が何なのか見出す良い切っ掛けとなるだろう。

勝者を認め、自己を研鑽し更なる高みを目指して欲しい。

健闘を祈る』


会場からは拍手が起こった。

いよいよ、採火だ。

これは俺がやる。


この日の為に、凹面鏡を準備し、松明に採火。聖火台に点火する。

聖火台の炎はムックが維持しているのだ。

日程は、円盤投、槍投、短距離走の予選を今日行い、本戦出場の選手を8名に絞りこむ。

1日目、3種目予選

2日目、3種目本戦

3日目、長距離走

4日目、5日目、戦車競技の予選

6日目、戦車競技本戦

7日目、総合格闘技予選

8日目、総合格闘技本戦

9日目、表彰式と閉会式

10日目は、丸々1日勝者の為の宴だ。


事前に3つのグループに分けておいたので、それぞれ競技場に移動してもらい予選を行う。

距離は、円盤や槍にカラの赤い結晶体を埋め込み計測しする。精度は誤差10mm以内という超高精度だ。ストップウォッチはドワーフ特製、10億分の1秒まで計測出来る優れ物だ。

街のみんなの動きも素晴らしい、滞りなく予選が進んでいる。

因みに、会場の外ではフライドポテトや串焼き肉、ソフトドリンクの販売を行い、本戦ではラミアやメデューサ、ニンフ、エルフ族の美女達がカンパーイガールモドキを行うのだ。

会場を縦横無尽に動き回る彼女達も必見だが、是非、本戦に注目してもらいたものだ。


その時、短距離走の方で歓声が上がった。

カラだ。

記録は6秒フラット。距離は200mなので、前世の世界記録が19秒台…異常である。

因みに、この種目はただ走るだけでは無い。

人型の者は重い盾を持って走り、獣型の者は盾と同じ重さの鎧を装備して走るのだ。


初日の予選も無事に終わり、本戦出場選手が発表された。


短距離

1.カラ(ネモフィラ連邦国)

2.ムック(ネモフィラ連邦国)

3.アレクシア(コルヌコピア王国)

4.ケルベロス(ヘルモス王国)

5.アトラス(ドワーフ国)

6.ニキアス(エトリア国)

7.パメラ(エトリア国)

8.グルナ(ネモフィラ連邦国)


円盤投

1.セレネ(ネモフィラ連邦国)

2.ジーノ(マカリオス王国)

3.クラトス(ヴィエン王国)

4.グルナ(ネモフィラ連邦国)

5.アレクシア(コルヌコピア王国)

6.ニキアス(エトリア国)

7.イオエル(アグロス国)

8.ジーク(ヴィエン王国)


槍投

1.パメラ(エトリア国)

2.アトラス(ドワーフ国)

3.グルナ(ネモフィラ連邦国)

4.セレネ(ネモフィラ連邦国)

5.アレクシア(コルヌコピア王国)

6.ララノア(ネモフィラ連邦国)

7.ジーク(ヴィエン王国)

8.アレス(ネモフィラ連邦国)


となった。

森の国の幹部も善戦しているが、コルヌコピア王国騎士団の副団長アレクシア、エトリア国のニキアス、アマゾネスのパメラ、この辺かなりヤバそうだ。

それと、獣型の者に投げる系は辛かった様なので次回は要改善だ。

いよいよ、明日は本戦。この8名の中で勝者は1名だけなのだ。




………………………



翌朝。


本戦が始まった。

会場は超満員、先ずは短距離からだ。

昨日はトップスピードになる前に終わってしまった…この競技は恐らく、可能な限り早くトップスピードに持っていくべきなのだ。トップスピードの維持など考えてはいけない。


スタートの合図はランスでは無くスタートピストルを装備した暗黒騎士が務める。

闘争心剥き出しのムックとカラが視界に入る。

無視だ、集中するのだ…負ければ婿養子と厳罰が待っているのは俺だけなのだから。


バンッ!!


スタートだ!!

イメージは0から1秒以内に時速1200kmへの加速!

最高のスタートを切り、200m先のゴール目指す。

前を走る者は皆無!

「俺の勝ちだッ!!!!」


結果は


1.カラ

2.ムック

3.グルナ

4.ケルベロス

5.アレクシア

6.イオエル

7.アトラス

8.パメラ


無念だ…ムックもカラも終盤の伸びが凄まじかったのだ。

短距離はカラが勝者となった。

王族専用の客席からディーテの視線が痛い。


次は円盤投だ。

投げる順番はくじ引きで決まり、現在暫定1位はジーノの984m。化物だ。


俺の番がやって来た。

厳罰は確定しているが、刑が軽くなるか重くなるかの材料は重要なのだ。

この種目は遠心力が重要だろう。


円盤の重さ✕軸から指先までの距離✕回転スピード


=遠心力!


自己最速のターンを決めた俺の記録は1109m。


暫定1位に躍り出た。

後は祈るしかない…頼むぞ。

遂に、最後の1人。セレネだ。


徐々にターンのスピードを上げていくセレネ。

踊るようにターンするセレネのフォームは何と美しいのだ…観客席からため息が漏れる。

そして結果発表。


1.セレネ

2.グルナ

3.ジーノ

4.ニキアス

5.ジーク

6.クラトス

7.イオエル

8.アレクシア


因みにセレネの記録は1431m。

森の国に円盤投げの神が降臨したのである。

ジークも大健闘だ。


非常に不味い。

厳罰を超えて拷問されてしまうかも知れない。

いよいよ、2日目最終種目やり投げだ。

この種目は槍を手放すまでに、どれだけ加速させる事が出来るかが肝だ。


トップバッターはアレスだ。


《ぬぅうぉぉぉ!!デラッ!!ベッピンッッッ!!!!》


6mの助走路を使い切り、謎の咆哮を上げて放った槍はみるみる飛距離を伸ばしていく。


「…ッッッ!!!?」


その距離、実に1812m。

観客席から歓声が巻き起こった。


《これが漢の生き様よ!!》


謎な決めゼリフを言い放ち、そのままアレスは暫定1位を維持し続け、遂に、最後俺の番がやって来た。

身体を鞭の様に動かし槍を加速させるイメージ。


助走路を目一杯使い…鞭のように撓らせ…投げるッ!!


ドカッ!!ビイィィン…


「…………… 」


地面に刺さっていた…

念の為言っておくが、わざとではない。

観客席が静まり返り、記録の発表が行われた。


《グルナ選手、記録3.91m!》


手を離すタイミングが遅れてしまったのだ。

観客席が爆笑の渦に包まれた。

セレネは何も言わなかったが、口元が爆発しそうになっていた。何も言わなくても、目は口ほどに物を言うのだ。

[どんまいw爆]

セレネの目から伝わって来たのはコレだ…


1.アレス

2.パメラ

3.セレネ

4.ララノア

5.アトラス

6.アレクシア

7.ジーク

8.グルナ


《グルナ!これ飲んで早く寝るのだ!!》

森の回復薬をいただいてしまった…体調不良だと思われてしまったが違うのだ。

やり投げは兎も角、他の種目は周りがハイレベル過ぎるのだ。


2日目終了の時点で既に追い込まれてしまったが諦めてはいない。

その日は、早めに部屋に帰り内省したのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ