表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王種  作者: のんびりMUCC
ギガントマキア編
63/104

第59話 恋人達の聖地

マカリオス王国に滞在していた俺とディーテは”ある”場所に向かっていた。


それは、マカリオス王国最北の街にある月への神殿。別名”恋人達の聖地”である。

マカリオス王国の北側はアルトミアの魔法で木端微塵に吹き飛んだはずなのだ。

残っているはずがない。


隣の国の山まで吹き飛ぶ威力の魔法が炸裂し、間違い無く、その範囲に入っていたはずなのに神殿はキレイに残っていたのだ。

これも愛の力なのだろうか…


『グルナ、見ろ。これが愛の力だ』


何故ドヤ顔なのかは聞かないでおくとしよう。だが、俺も神殿には少し興味があった。

前回は意外と時間が無く、ゆっくり見る事が出来なかったからだ。


《ご主人様ー!オルフェ様が刹那ちゃんと出掛けたいって言ってるよー》

「日没までには戻れと言っといてくれ」

《わかったー!》


最近、各国の王達はムックの便利さに気が付いてしまったようだ。

伝言した内容は即座にムック本体を通じて俺に伝わるのだ。


話が逸れたが、神殿は意外と大きく、ちょっとした塔になっている。

最上階に転移装置が有り、各階には大きめの部屋が幾つもある。その部屋は何がある訳でもなく壁面に天使や悪魔等の彫刻が施されているだけだ。そんな部屋を幾つも通り階段を登り、ようやく最上階に辿り着くという面倒臭い造りなのだ。


『グルナ!こう言うのはコツコツ続けるのが大事なのだ!祈るぞ!//』

「……はい」

『何て祈ったんだ?』

「口に出したら叶わなくなるぞ?いいのか?」

『いや、また今度教えてくれ!』


ディーテ…チョロいな。

しかし、アルトミアの魔力でも動かないとは…

この世界に電気は無い。厳密に言えば発生させる事は出来るが、必要無いのだ。

転移装置は石と水晶の柱で出来ていて配線なんかは何も無い。

アルトミアは魔力以外の特別な力が必要とか言ってた様な…


「ディーテ、固有スキルのエーテル操作って何なんだ?」

『それが分からんのだ!魔力以外の何かは感じるんだけど』


試しに、そのエーテルとやらを集めてもらうとしよう。ディーテ曰く極微量しか集まらないらしいが、頑張って水晶の柱に集めてもらうことにした。


『いくぞ!!むーー!!』


ん?何となく水晶が光った様な…いや!薄らとだが確かに光ったのだ!

すごいぞディーテ!

しかし、ディーテは限界の様だ。

『ハァハァ…もういいか?』


これはエーテルってのが鍵かも知れない。

それが分かっただけで十分だ。

今後はエーテル操作の特訓を頑張ってもらおう。もし起動させる事が出来れば、天空の神々の住まう月の神殿に行く事が出来るかも知れないのだ。

まぁ、特別何か目的がある訳ではないのだが。


「ディーテ、そろそろ帰ろうか」


神殿を出ようとした時、オルフェと刹那がやって来たのだ。

(グルナ!隠れるぞ!)

(オルフェのやつ、こんな遠くまで刹那を連れ出してたのか…)


遠目から見る2人は、完全に恋人そのもの…微笑ましい。

そんな2人の邪魔をする事なく、俺達は息を潜め2人が通り過ぎるまで隠れていた。通り過ぎる時オルフェは刹那にこの神殿の説明をしていた。内容は俺達が聞いていたのと、ほぼ同じだったが1つだけ新たな情報が手に入った。

愛し合う2人が月の神殿に行くと、永遠の愛を約束され何者にも邪魔される事無く幸せに暮らせるというものだ。

(グルナ…今の聞いたか?)

(あぁ、バッチリ聞いたぞ…間違いなく聞いてはいけない内容だったな)


勿論、その日からディーテはエーテル操作の習得に励む様になってしまったのは言うまでもない。


「そういえばディーテは何を祈ったんだ?」

『叶わなくなるんじゃないのか?』

「少しだったら大丈夫らしいぞ?」

『…ホントか?私はな、グルナのお嫁さんになれる様に祈ったぞ!//』


正直、誰かに好かれるのは悪い気分ではない。

最近よく思うのだが、最近と言うか今日も…不覚にも…ディーテの事を可愛いやつめと思ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ