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おはようございます。土日は時間関係なく更新出来ればと思います^_^

❇︎❇︎❇︎


屋敷には昼前に着き、セレナは自分の部屋でくつろぐが頭の中の整理がつかない。

側でマリーが心配そうにセレナを眺めお茶を淹れていた。


「旦那様が今朝、昨日届いた品物を受け取ることにしたから片付けるようにと話されました。何かお話しはされましたか?」


「!」


セブルスは王宮に行く前からエルトニア帝国の品物を受け取りマルクスとの婚約を断る気だったのかもしれない。


「お相手がどなたか存じ上げませんがきっとセレナお嬢様のことが好きなんでしょうね。」


「どうしてそう思うの?」


「箱1つ1つにメッセージカードがついていました。今は旦那様の机にありますが確認されたらセレナお嬢様に渡されるかと。」


セレナは胸が熱くなった気がした。誰からのどんなメッセージかわからない。でもクラウドからかもしれないと想像すると次会う時にどんな顔をすればいいのか恥ずかしさでドキドキしてしまう。


「マリー、私食欲があまりないからお昼は軽食を部屋に持ってきてもらえる?今日はゆっくりするわ。」


「かしこまりました。お加減が悪いのでしたら先生に診て頂いた方がよろしいのでは?」


「大丈夫、疲れただけなの。心配ないから安心して?」


他のことを考えようと白い装丁の本を捲るのだった。


❇︎❇︎❇︎


夕食の時間になり、家族が顔を合わせると兄カインが矢継ぎ早に質問攻めしていた。


「親父、セレナの婚約はどうなったんだ?あとあのプレゼントの山の贈り主は?セレナだって気になるだろ?」


セレナも気にはなるが父にも考えがあるんだろう。


「私はお父様のタイミングがあるでしょうから良い頃合いにお話をお待ちしております。」


「そうかそうか。俺には無理だ。家族に気を遣うなんて、胃に穴が開くぞ〜」


「カイン!セレナを少しは見習え。次期公爵としての態度をとれるようにしろ。」


「はぁ〜。息が詰まる。」


「おい。」


「はい。申し訳ございません。父上。」


皆運ばれた食事をとっていると、


「贈り主はエルトニア帝国の第一王子だ。」


「王子だと??!」


カインは立ち上がり、セレナは驚きで声が出ない。会ったことがない人からの贈り物に困惑する。でも貴族の結婚とはこんなものかもしれない。


「荷物と一緒に手紙がついていたのだ。荷物を開けさせたのが今朝だったから気付くのが遅くなってしまった。」


「お父様、そこにはなんと書かれていたのでしょうか?」


セレナが恐る恐る聞く。


「結婚を申し込みたいと、近日中に挨拶に来ると書いていた。」


セレナは驚きと残念な気持ちが入り混じっていた。相手がわかった驚きとクラウドではなかったという残念な感情。クラウドは公爵令息であり、王子ではないからだ。


ー私、クラウド様をお慕いしてるんだわ。


セレナはこの気持ちが恋だと気づいた。

まだ付き合いは浅いが図書館では意気投合したし、一緒にいて楽なのだ。そんな異性が今まで存在しなかった。

胸が苦しくなる。もう好きな人とは結婚できないのだ。


「セレナはどうしたい?」


「えっ?決めて良いのですか?」


「あぁ、セレナだから間違ったことにはならないだろう。考えなさい。」


相手は隣国の王族だ。断るなんて出来ないはず。それでもセブルスは娘に優しく聞いてくれているのだ。セレナは自然と目頭が熱くなるのを感じた。


「ありがとうございます。お返事は明日の夕食までお待ちいただけますか?」


「あぁ、考えなさい。」


セブルスは食事を早く済ませるとまた王宮に戻るようだった。


「親父は最近いつもより忙しいのは何故なんだ?」


「それは機密だから話せない。もっとお前の役職が上になれば話は別だ。」


「げっ・・・」


宰相の息子であるカインも成人の儀を済ませた1年前から学校の休みに合わせて王宮での職を与えられ始めた。今は父とは別の管轄らしい。


「では行って来る。屋敷は頼むぞ、カイン。」


「いってらっしゃいませ、父上。」


「いってらっしゃいませ、お父様。ご無理はなさらないでくださいませ。」


父を見送ると食事を続けるが食べれそうもない。


「第一王子は噂だと聡明な方だと聞いたことがあるな。年齢は俺らと同じくらいのはずだ。」


「そうなの?」


少し安心した。年が離れ過ぎていたら不安だし、聡明と言われるにはそれなりの功績や人望が厚い方なのかもしれない。


「まぁ調べてみるか。」


「どうやって?王族の情報なんて入りにくいんじゃ・・・」


「公爵家の情報収集能力を侮ってはいけない。」


ニヤリ。悪い顔だ。

カインは食事を終えると執事を呼び、自分の部屋に戻った。


セレナも部屋に戻るが気持ちは暗くなるばかり。結婚を断ったとしてもクラウドとは結婚は出来ないのだ。なんせクラウドの国の王子との結婚を断るのに公爵令息と結婚するわけにはいかないだろう。

白い装丁の本に触れるだけでクラウドの笑った顔を思い出し、気持ちが穏やかになる気がした。

読んで頂きありがとうございます。

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