しきたりの意味
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これはわざとだ。わざと嫌味を言ったのだ。公爵如きが陛下相手に大丈夫なのかセレナは不安な表情が顔に出そうになる。
「ガイ、気づいているだろう?これは隣の国のしきたりの品だ。」
「えっ・・・しきたり?隣の国って・・・」
国王陛下であるガイよりも先にセレナが反応する。
ー前に本で読んだことがある。確か、
「エルトニア帝国でしょうか?」
「あぁ、その通りだ。」
どうやら隣国のエルトニア帝国のしきたりのようだ。その意味を思い出すと自然と顔が赤くなる。
「でもエルトニアの誰がセレナ嬢に求婚をするんだ?心当たりは?」
「??!」
しきたりが意味するものは男性から女性への親愛のしるしだ。
「セレナ、心当たりはないのか?」
セブルスはセレナの顔を覗くがセレナは目を合わせられない。エルトニア帝国で知り合いなんて1人しかいないからだ。
「・・・ありません。」
ークラウド様だなんて。まさかね。
セレナはクラウドとはしきたりが意味するような感情がお互いにはないと思っている。でもここ数日の出来事を思い出すと婚約相手がマルクスではなくクラウドだったら幸せだろうなとは感じるのだ。
セレナは顔が赤くなるのを隠すために紅茶で口を潤す。
「こほん。セレナ嬢、婚約発表を来週にしよう。」
ガイがセレナを見て微笑む。席を立ちセレナに近づくとセレナの手を取ろうとする。
そこでセブルスから待ったが掛かり、手を払った。
「それは断る。」
「セブルス!!?」
「私の可愛い娘を気持ちのない奴にくれてやるぐらいならエルトニア帝国のセレナを想ってくれる奴に嫁いでくれる方が安心だ。」
セブルスは腕を組み、首を縦に振り、うんうんと自分で自分の言ったことに満足していた。
そういえば今更だが先程から前の2人がため口で話していることに気づいた。
それもそのはずこの2人は生まれた時から乳母が同じで一緒に育ったらしい。1人は王になるため、1人は王の側近になるために育てられたと聞く。
セレナが2人を眺めている間にも話はどんどん進んでいたようだ。
「先に申し込んだのはこちらだ!」
「でも選ぶ権利はある。」
「私は王族だぞ!逆らうのか?!」
「謀反と言うなら公爵の爵位を返上しよう。」
「セブルス!極端な事を言うな!それにセレナ嬢の秘匿の力を国外に差し出すつもりはない!この国のために尽くせ!よく考えろ!」
「セレナの力はもう使わせない。本人の前でもう話すな。」
セブルスは立ち上がり手を差し出したのでセレナもその手を取り、立ち上がる。
「陛下、これで失礼します。」
「陛下、本日はありがとうございました。失礼いたします。」
セレナは淑女の礼をしてからセブルスの後ろを着いていき、部屋を出ようとするが、
「セブルス!話の途中だ!認めないぞ!さっきの話を忘れるな!来週の成人の儀で発表する!」
ーデジャブだわ。
流石親子だ。
つい最近同じ光景を見た。
「陛下、また後ほど本日の決裁書類を部下がお持ちしますのでお待ちください。」
セブルスとセレナが部屋を出ようとした時、挨拶もなく王の私室に入ろうとする者にぶつかりそうになった。
「わっ!ん?セレナか。」
「マルクス様。」
「ん?フォルン公爵も、もう帰るのか?」
気だるそうにマルクスが聞くがセブルスは相手にしない。
「殿下。話はもう終わりました。私どもはこれで失礼させていただきます。」
「終わったのか!それは良かった。」
セブルスとセレナは頭を下げてから王宮の外で待たせている馬車へ向かう。マルクスは喜んで部屋を出ようとするが父親であるガイに呼び止められ護衛騎士に抱えられて部屋の中へ連れて行かれたようだ。
「セレナ、1人で帰られるか。」
「はい、お父様。お勤めご苦労様です。」
「あぁ、話をしたいところだが今日は出来そうもない。夕食には帰る。」
「・・・はい。お待ちしております。いってらっしゃいませ。」
セブルスは身を翻し自分の執務室へと向かった。セレナは馬車へ乗り込むと溜まっていた息を一気に吐き出した。
セレナは先程の会話が気になり、今すぐにでも自分が持つ力について聞きたかった。
ーお父様は何を隠しているの。
国外に出せない力と話していた。そんな危ない力に心当たりがない。
それに、
「クラウド様なの・・・?」
しきたりの品物の贈り主は一体誰なのか謎が深まるばかりだった。
次も楽しみにしててください。




