第三十九話 戦士、パーティーやめるってよ Thanks my knight
戦士さんは目を点にして、少しの間固まっていましたが、やがて、苦笑いを浮かべながら言いました。
「えっと・・・、俺が止めるって言ったのは、催しの方のパーティー、懇親会のことだったんだけど」
「「・・・は?」」
「いやな、俺たちが一緒に旅するようになって、そろそろ一年経つじゃないか。そこで、勇者パーティー結成一周年記念パーティーを開催しようって、賢者と話してたんだ。えっとなパーティーのためのパーティーってのが、シャレが効いてて面白いかなって、ちょっと思ったんだよ。だけど、後々になって、なんかしょーもないシャレに思えてきて恥ずかしくなってな。それで、賢者に止めるって言ったんだが・・・あれ? どうした二人とも?」
「「紛らわしい話してんじゃない!!」」
私と魔術師さんは、声を揃えて戦士さんにツッコミました。本当に紛らわしいうえになんて人騒がせな。
「はあ・・・、まあーったく、アンタのそっちのセンスの無さはほんとひどいわねーえ。そーゆーのは駄ジャレっていうのよ。武闘家っちの方がまだ面白いこと言うわねーえ」
「あの、魔術師さん、武闘家さんを引き合いに出すのは、さすがに戦士さんがかわいそうです。・・・はあ、そうですか。懇親会のことだったんですか」
もう、戦士さん、驚かせないでくださいよ。
「ところでーえ、そのパーティーは止めることにしたってことよねーえ? それはそれで残念な気もするわねー」
「あ、いや、それがな。俺は主催するのを降りたわけだが、賢者がやっぱりどうしてもやりたいから一人で準備するって言いだしてな。しかも、皆を驚かせたいから他の誰にも言わないでくれって言われてたんだ。だから、今まで黙ってたわけだが・・・」
・・・ゴトゴトゴト、ゴトゴト、ゴトゴトゴトゴト。
なんでしょう? 天井の上から何か重たいものが動いているような音がします。
「なんだか二階が騒がしいわねえ・・・」
「あの辺りは丁度賢者が借りてる部屋だな。もしかしたら、一人でパーティーの準備をしているのかもしれない。一人で大丈夫だって言い張ってたからな。しかし、やっぱり一人で準備させるわけにはいけないと思っていたから、俺もこれから手伝いに行こうとしてたんだが」
・・・・・・ミシッ、ミシミシミシミシッ。
「あー、なーんかイヤな予感するわーあ・・・」
どごごごごごーん!!!
私たちが不審げに天井を見上げていると、突然、轟音とともに天井が抜け落ちて、上から何かが落ちてきました。ですが、辺りには土煙が舞い上がり何も見えません。これは一体何事でしょうか!?
「うにゅ! うにゅにゅ、しまったなのです。床に強化魔法をかけるのを忘れていたなのです」
土煙が治まると、そこにはごろごろとした大きな石が積みあがった山ができていて、その頂上に賢者さんがちょこんと座り、ばつの悪そうな顔をしていました。賢者さんの体には色鮮やかな紙テープと万国旗が絡まっています。
「おい、賢者! なんだこの石の山は? 一体どうしたというんだ!?」
「にゅ? 戦士ちゃん? ・・・うにゅ、実はストーンゴーレムを数体作り出して、例の準備を手伝ってもらっていたなのですが、夢中になってうっかりしてたなのです。床が抜けてしまったなのです。・・・てへぺろ、なのです」
その後、私たちは宿屋のご主人に子供の躾がなってないとこっぴどく怒られました。主に私と戦士さんが。魔術師さんは、気づいた時にはいつの間にかいなくなっていましたし、賢者さんったら、こんな時だけ何もわからない子供のふりをするんです。賢者さんは将来悪女になると思います。神よ、薄情な二人の女にどうか天罰を。
ですが、私の隣で申し訳なさそうな表情をしながら、怒られている戦士さんの顔を見ると、ほっとして思わず笑みが漏れました。そのせいで、宿屋の主人の怒りの火にさらに油を注いでしまいましたが。
それにしても、戦士さんがいなくなってしまわなくて本当に良かった。彼には王国騎士のような威厳も優美さもありませんが、いつも私を助けてくれるこの不器用な人は、きっと私の騎士様です。
この章はこれで終わりです。次章からは、また別の話になります。
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