第二十八話 俺、魔王なんだけど、気が付いたら勇者と体が入れ替わっていた件2 揉んで確認
この章は3章の続編です。
「勇者さん、勇者さんっ! どうしたんですか? 大丈夫ですか?」
気が付くと、俺の前にあるテーブルの向かいに見知らぬ女が座っていて、慌てた様子で俺に話しかけてきていた。
「勇者さん! あ、気が付いたようですね。突然白目を剥いて、気を失ったように見えたので心配しましたよ・・・」
ん? 勇者? この女、この旅の僧侶っぽい身なりの女は、何を血迷ったことを言っているのだろう? 俺を誰だと思っているのだ。・・・ん? いや、この女には見覚えがあるし、この状況にも過去に同じ経験をしたような・・・。う・・・、頭がクラクラして思考がすっきりしない。とりあえず、この女には俺が何者かをわからせてやろう。
「おい、女よ。俺は魔王だ。人間共が恐れ慄く最凶にして、最強の魔族。誇り高き魔族の頂点だぞ」
「え!? 勇者さん、突然そんなふざけた冗談を言って、私をからかう気ですか? よりにもよって、俺は魔王だなんて、いい加減にしてくださいよ。もう、心配させておいて、それはないですよ」
いや、冗談などではなくてだな。この女の方こそ、俺をからかっているんじゃ・・・。
あ!! 思い出したぞ! この女は勇者の仲間の僧侶だ。この状況は、俺が依然勇者の体と入れ替わった時とそっくりじゃないか? ということは、あの小娘賢者がまた魔法を失敗して、俺と勇者の魂を入れ替えてしまったということか。
・・・ん!?
ふと、俺は自分の体に異変を感じた。何だ? 何気なく俯くと、俺の胸元に美しく豊かな双丘が見えた。
え? なにこれ? なんだ? どういうこと!?
「なななっ!? どういうことだ? なぜ勇者の体が女になっているんだっ!?」
「え、どうしたんです、勇者さん? 勇者さんは私の知っている限り、以前からずっと可愛い女の子ですよ」
そんな馬鹿な!? この前入れ替わった時は、勇者の体は間違いなく男だった。どうなっているんだ? さっぱり意味がわからん。
「む・・・」
しかし、改めて俺は自分の胸元をみると、やはり柔らかそうな白い谷間を挟んで並び立つ緩やかな峰が見えた。・・・柔らかいんだろうか? 気づくと俺は自分の手でその峰を触っていた。
「アン・・・」
い、いかん、つい変な声をあげてしまった。
「な!? 勇者さん、何してるんですかっ? そ、そういうことをしてはいけないとは言いませんが、ひ、人のいないところでするものですよ? まさか勇者さんが、私の目の前で、そ、その、自慰行為をするだなんて」
へ? 自慰!?
「いやいやいやっ、誤解だ! こ、これは、ただちょっと確認したくてだな」
「な、何を確認していたのですか?」
「そ、それはあれだ・・・」
俺は脂汗を額に滲ませながら、必死に頭を巡らせる。今回、また俺は勇者と体が入れ替わっているらしい。そして、勇者の体はなぜか女になっている。不思議な状況だが、そこまでを受け入れよう。そして、俺はこの状況から脱出しなければならない。そのためには、おそらくこの宿屋の二階の部屋に小娘賢者が施しているであろう魔法陣に接触しなければならない。
「ふう・・・、えっとだな。実は乳の一部が固くなり、次第にそれが全体に広がって、いづれは体全体が石化してしまうという恐ろしい病気があると小娘賢者に聞いてな。それで、時々こうして確認するようにしているのだ」
俺は僧侶にこう説明した。もちろん、こんなのは今思いついた嘘っぱちの病気の情報だが、しかし、自慰行為をしていたなどと思われるのは心外だ。それは本来の魔王の体でなくとも、俺のプライドが許す筈がない。
「そ、そんな恐ろしい病気があるのですか? そうですか、私も後で賢者さんに詳しく聞いてみることにします」
なんとか誤魔化せたらしい。とりあえず、このまま波風立てぬようにさりげなく会話をやり過ごし、早く二階の部屋にあるであろう魔法陣を目指そう。
「ところで、その確認というのはどうしたらいいのですか? やり方を教えて欲しいのですが」
う、余計なところに食いついてきたな。まあ、仕方ない、それらしい教授をして乗り切るしかないだろう。
「こうやって、両乳を両手で覆ってだな」
「こ、こうですか?」
「そうだ。それから、ゆっくりと全体を満遍なくさわり、硬いしこりが無いかを確認していくんだ」
「なるほどです」
俺が自分の乳を両手でまさぐると、僧侶もそれを見て真似をしていた。それにしても、なんというか、気持ちが悪い。手にはあまり経験したことのないような気持ちいい柔らかな感触があるのだが、乳の感覚が慣れないせいか、手の感覚と乳の感覚との間で、ものすごい不協和音を感じる。やはり、自分の体でないというのを強く自覚した。
「な、何をやっているんだ? 二人とも?」




