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このパーティーの中に魔王がいます  作者: らうんどろびん
第五章 ワレイマダモッケイタリエズ
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第二十話 ワレイマダモッケイタリエズ 男の戦い

「むっ、なんだ武闘家、その構えは!? こ、これは、聖天馬座だとっ? 不思議だ、武闘家の背後に聖天馬の羽ばたく姿が見える気がする? いったいその動きからどんな攻撃を仕掛けてくるつもりなんだっ?」


「え? いや、戦う前にこーゆーのやっと、なんかカッコイイだろっ? それだけだぜっ」


「は? そ、その不思議な構えには特に意味がないと・・・?」


「意味ねえことねえぞっ。だから、言ってんじゃねえか、これカッコイイだろっ? って、うわっ、ちょ、ちょっと待ちやがれっ戦士よおっ! まだ途中だって、おいっ、わっ」


 俺が演武のような構えを行い続けながら、戦士の問いに返答していると、あいつは急に斬りかかってきやがった。俺はその斬撃を難なく躱す。しかし、そんな余裕は最初の数撃だけだった。戦士の放つ斬撃が段々と回転数を上げてきやがる。


「ふっ、さすがだな武闘家っ。お前は馬鹿だが、お前のその戦闘能力の高さには尊敬の念を感じるよ。だが、俺もいつまでもお前に後れを取るつもりはないさっ、てやっ」


 戦士の剣はさらにその鋭さを増す、俺はついにそれを全て躱しきれなくなって、手甲で剣を数回はじき返しながら後ずさる。すると、戦士はここぞとばかりに強烈な一撃を上段から打ち下ろしてきやがった。俺はその一撃を両手の手甲でなんとか受け止めようとするんだが、その力を抑えきれず、俺は堪らず後方に大きく飛んで戦士との距離を取った。


「くそっ、おめえもやるじゃねえかっ、戦士よおっ!」


「まったく、お前なあ、戦いの前に無駄な構えをとって、恰好つけようとするから、先手を取られるんだよ」


「へっ、わかってねえな、戦士。カッコイイは正義でジャスティスだぜっ!」


 けっ、戦士は相変わらず真面目くさって面白味のねえやつだぜ。だが、その面白味のねえ剣筋があいつの持ち味であり強さでもあるんだがな。さて、そろそろ戦士にあれを見せつけてやるか。


「戦士よおっ! これから、俺のとっておきを見せてやんぜっ! うおおおおおおおおおおー!!」


 俺は雄叫びをあげ、全身に力をみなぎらせ筋肉を隆起させる。そして、上半身の武道着をほとばしる闘気で吹き飛ばすと、露になった肉体を戦士に見せつけるように仁王立ちしてやった。


「と、闘気で服を吹き飛ばすだと? なんてやつだ!」


 ちがうぜ戦士、そんなこたあどーでもいいんだ。もっとよく見やがれっ。


「ん!? なんだ、そのアザはっ? 胸に七つのアザがあるじゃないかっ? まるで北絶七星のような。・・・武闘家、お、お前の過去に何があったというのだ!?」


「くははははっ、驚いたかよっ、戦士! この七つのアザの秘密を教えてやろう! このアザはなあ、俺が自分でつけたんだぜっ」


「は!? じ、自分でつけたのか?」


「そうだぜっ、これも拍がついてカッコイイだろおっ」


「はあ、お前なあ、そんなアザが何になるって言うんだ?」


「あ? いやだから、カッコイイじゃねえかっ! このアザつけんの結構大変だったんだぞっ。焼きゴテをなあ、一つ一つ当てていったんだ、激痛だったぜっ。七つのアザを作んのに一か月かかったんだぜっ」


「なあ、武闘家。俺はお前がとても無意味なことをしているようにしか思えんのだが・・・」


「そんなことねえって、焼きゴテを自分の体に押し当てんだぜっ。あれが俺の精神をどれだけ鍛え上げたことか」


「はあ、武闘家。お前は相変わらずのイカレ脳筋野郎ってことだな!」


 戦士が俺を挑発している雰囲気だった。だが、俺はそんな挑発には動じねえ。


 脳筋? 俺をそう言って笑うやつはいるが、俺は気にしねえ。なぜなら、俺にとって脳筋とは、真の強さそのものなんだ。


「さてと、冗談はここまでだぜっ。今度はこっちから攻めさせてもらうぜっ」


「え? さっきの冗談だったのか? いや、お前、冗談に体張りすぎだろっ?」


「細けーこと、みみっちく言ってんじゃねーよっ! いくぜえっ!」


 俺は腰を落とした踏み込みから、爆発的な脚力で一気に戦士への距離を詰める。それを迎撃しようと、戦士が瞬時に正眼に剣を構えた。そこから高速連撃の防壁を張るつもりなんだろうな。戦士の守りの体制は一部の隙もなく、難攻不落に見える。だがなあ、戦士よおっ、たとえ鉄壁の完全要塞だろうと、男にゃそれをぶち破ろうってー気概が必要な時があんだよっ!


「おらあああああっ!!」


 俺は戦士目がけて突進すると、全力で闘気を放ち剣の連撃を全てはねのけて、戦士の顔面に向けて拳を打ち抜く、しかし、その寸前で盾で防がれちまった。


「惜しかったな、武闘家。これで、俺の勝ち・・・む!? 消えただと?」


 俺は戦士に盾で攻撃を防がれた瞬間に、地面を全力で蹴り戦士の視界から消えた。 


「むっ、どこからくる? 右か? 左か? 後か?」


 戦士よお、そんなわけねーだろーがっ? 俺の選択肢はこれしかねえぜっ!


「な、なに!? 正面だとおっ!?」


 俺は再び戦士の正面から攻撃をしかける。戦士はそれを迎撃しようと、素早く剣を横なぎに払ったが、俺はそれを姿勢を極限まで下げて躱す。そして、その体制のままさらに戦士との距離を詰め、俺はそこから渾身の一撃を放つ。戦士はそれを盾で防ごうとするが、もう間に合わねえぜっ。


「もらったぜっ、抱腹絶倒拳!!」


 俺は低い姿勢から、戦士のみぞおち目がけて、全身のバネの力を込めた拳を突き上げた。うっしゃ、確かな手応えがあったぜっ。


「うおっ、うぐー、・・・ま、参った。俺の負けだ」


 腹を抱えてうずくまった戦士は、あっさり負けを認めやがった。退くべき時は退く、戦士はそんなやつだ。俺みてえな後先考えずに突っ込むやつとは違う。


「ちっ、戦士、おめえは考えすぎんだっ。考えるんじゃねえ、感じるんだよおっ」


「くっ、そうか、なるほど。確かにさっきの俺の剣には迷いがあったかもしれんな。まったく、お前にこんな指導を受けるとは思わなかったな」


「へっ、指導とかそんなんじゃねえぜっ」


「なーにカッコつけてんのよーお、武闘家っち。あ、ねえ、武闘家っち、たまにはアタシと勝負してみるってのはどーよ?」


 お互いの武を全力でぶつけ合った男同士の熱い語らいの間に、魔術師が割って入ってきやがった。 


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