王妃サトリーヌは、たこ焼きを片手に……?
すべての発端はセシリアだった。
サトリーヌはセシリアに、王妃の資格がないと告げられるが……
◯登場人物
サトリーヌ王妃
25歳。たこ焼き大好き。サスペンス大好きで好奇心旺盛。
セシリア
32歳。サトリーヌの専属女官。
カイン国王
30歳。異世界転移してきたサトリーヌの美貌とその才覚に惚れ、求婚し、めでたく正妻として迎えいれた。
ギルバート王弟
27歳。元々サトリーヌと婚約していたものの、他の女性にうつつを抜かしていたため、結局独り身。兄に多額の借金をしている
サーシャ
26歳。数年前に、ギルバートを誘惑し、サトリーヌとの婚約を破棄させた元凶。王城の炊事などを担当している侍女。
ロザミア
30歳。女性の王国騎士団長。カインの同級生であり、若き頃は良きライバルだった。
リディル
27歳。女性の王国魔術師団長。ギルバートの同級生。王国最強の魔力を誇る。
「あなたのように……優しすぎる人に王妃は向いていないのです。今回の茶番はそれを証明するための茶番です」
サトリーヌは顔を俯けた。
「セッちゃん、あんな……」
セシリアは少し、言い過ぎたかもと少し後悔はしていた。でも、こうでもしなければサトリーヌはずっとこのままでたくさんの邪悪なものを吸収するだけして、自分だけが傷ついてしまうことになってしまう。
「サトリーヌ様……」
「チキンおかわり頼んでもええかな」
「ズコー!!」
本作二回目にして、最後のズコーである。まさかこのシリアスな場面でズッコケることになるとは。セシリアさんも苦労するね……
「脳みそ使いすぎてお腹空いたんですかね……チキンと、あと温かいスープも用意させましょうか」
手早く侍女に指示をして、去らせた。
「そうそう、ウチから聞きたかったんやけど、秘宝を試してみた結果はどうやった? あ、もちろん言いにくいことは言わんでもええんやけど」
セシリアがそれぞれの面談で、隠していたり、秘めている事を聞けたかということだ。
「それがですね……カイン陛下、ギルバート殿下、あとサーシャは秘宝の力は効かないと分かってはいたのですが……あとの二人も、結局効きませんでしたね」
「えっ! そうなんや。意外とみんな仲良しやったんやね」
「まぁ、仲良しっていうか……なので心の声がだだ漏れだったのは、サトリーヌ様だけでしたよ。食べ物のことですが」
セシリアは半笑いで話す。
「そうなんやね。あ、ウチはいつでも王妃は辞めてもいいんやで。さっきも言ってたみたいに、ウチからなりたいってなったわけちゃうし。でもな、セッちゃんや、カインちゃん。ロザっちやリーちゃん。ギルちゃんもサーやんも、そして王国のみんなも。嫌なことあったらこれからもお互い伝えあって。内に秘めるんやなくて、その都度その都度話し合って。もちろん言い合いになることもあるかもやけど、そうやって人間関係って良くしていったらいいんちゃうの?」
久しぶりに長めのセリフを頑張ったので、サトリーヌは一息つく。
「ウチは確かになんの特技も器量も、魔力もないから、誰かの上に立つ人間やないと思う。でも、みんなが助けてくれるから。セッちゃんみたいに寄り添ってくれる人がいるから。ウチは頑張れる気がするで」
カインから貰ったタコ焼きをギュッと握りしめる。
「あまり人のことを信用し過ぎてはダメですよ。あ、私の本性を言いましょうか。カイン陛下と私って、実は昔デキてたんですよ」
「えっ!! そうなんや! なんかカインちゃんが『昔と変わったなお前』みたいなセリフ言うてたのはそれ〜!? うわっ、なんか青春やん、アオハルやん」
セシリアは朗らかに笑う。
「サトリーヌ様には敵いませんね。少しは嫌な気持ちになってくださいよ。あ、せっかくなんでカイン陛下の学生時代のこと教えてあげましょうか? 実はね、めちゃくちゃ泣き虫だったんですよ〜」
「え、やっぱそうなん? ウチと二人きりの時はなんだか甘えん坊なとこあるな、って思ってたんよ。人は見かけによらんよね〜」
◇ ◇ ◇
かくして、王家の秘宝紛失騒動は一件落着した。
一応だが、今回の関係者にひと言ずつもらっておきますか。まず、カイン国王陛下どうぞ。
「まぁ、サトリーヌはどちらかと言うと愛されキャラだからな。俺もその人柄に惚れたこともある。セシリアの計画については聞いてなかったが……元々そんなに心配はしていなかったぞ。もし、何かあっても俺がいるからな。ん? 何だって? 泣き虫……?? 知らんぞそんなことは……」
あれ、陛下少し顔が赤いですよ。お次はギルバート殿下。
「いや〜、セシリアに呼ばれた時はどうしようかと思ったよ。なんか昔の悪さやら、借金のことやら責めたてられて、追い出されるかと……あ、リディルとは学生の時にちょこっと付き合ってただけだよ。今は何もないよ、ホントに。んとね、サトリーヌちゃんには悪かったんだけど、サーシャのこと、これからはホントに大事にしてあげようと思うんだ。もうそろそろしっかりしないと……だもんね」
結局リディルに手ぇ出してたんかい! 次はサーシャさん。
「え、私元々何も悪巧みなんてしてませんよ、ホントに。あ、昔のサトリーヌ様のことはホントに反省しております。ギルバート様の借金のためとは言え、あんな酷いことを……。え、私この王城に連れてこられた時から、ギルバート様一筋ですよ。冷たい態度したりしたのは……もちろん駆け引きです、てへ♪」
そういうことなんかい! えーと、もういらない気がするけど……一応ロザミアさん。
「だから秘宝なんて要らないって言ったじゃないか。そんな人の心を読めるなんてできても、ろくなことないよ。え、カイン陛下の心……? 逆に今読めても仕方ないだろうが。はい、次々〜!」
ありがとうね、まいてくれて。じゃあリディルさん。
「あ、はい。特にないですが……あ、ギルバート殿下につまみ食いされたって言われてますが、実のところ、私がつまみ食いしたほうですよ。魅了の魔術使いました。ここだけの話……ふふふ」
あ、そうなの? まぁギルバートのことだからどうでもいいや〜。あ、なんかサトリーヌちゃんは食べるのに忙しいみたいで、喋れないみたいですね。セシリアさん、最後にひと言どうですか?
「あいつ、相変わらずだな……いや、まぁああいう人だから、上手くいくこともあるかもしれないですね。私はサトリーヌ様に出会えたおかけで、きっと人間らしい心を持つことが出来た気がします。そうそう、食べ物のことばかりと言っていたけど、サトリーヌ様が心の中でよく思っていたことだけ教えておきましょうか。今回はお騒がせして、すみませんでした、今後ともベイルーン王国のことをよろしくお願い致します」
なんか、うまいこと締めてくれたよね。というわけで、サトリーヌちゃんの心の声だけ、最後聞いてもらいましょうか。
『みんなが、笑顔になれたら。それでええやんね』
やっぱお人好しだな。ん? ん? なんか向こうから走ってきたよ。
「デザートまだあるーーーーーん!!?」
もうええわ!
では、また機会があれば、お会いしましょう。
短い間でしたが、本作をお読みくださり、
サトリーヌちゃんと愉快な仲間達にお付き合いいただきありがとうございます。
普段は異世界モノはめったに書かないのですが、またもし書く機会がありましたら、お会いすることもあるかもしれません。
たまに食いしん坊のサトリーヌちゃんのことを思い出していただければ幸いです。
応援していただき、ありがとうございました。




